ダンマス(異端者)

AN@RCHY

文字の大きさ
上 下
1,477 / 2,518

第1477話 地雷処理に失敗か!?

しおりを挟む
 ん~サクサク視察が終わるのって便利だな。

「シュウ様、視察に行かれてどうでしたか?」

 俺は全部の街の視察が終わった次の日、執務室でグリエルたちと向かい合って話している。ちなみに、獣人たちの住む街には行っていない。あそこは俺が作ったが、俺たちが管理する街ではなく獣人たちの自治区になっているからだ。

 基本的には、あの街で起こるトラブルには首を突っ込まない。だけどあの街が、戦争をしかけられたり仕掛けようとすれば、俺たちも動く事になる。

 仕掛けられたときは守る側に回るが、仕掛ける側になった場合は街を攻める方に回る事になっている。これは建設時には無かった取り決めだが、グリエルたちが自治区の長たちと話して決めた事である。

 自治区には、人間に恨みの強い獣人が多い。だからといってむやみやたらに戦争をされては困る。俺が手間をかけて救い出したのに勝手に死に急ぐな! ということだ。それに戦争がしたいのであれば、他の街へ行くように要請している。自分たちで作った街でなら勝手にしてもいいよ! ということだ。

 大分前にだが、助長した獣人たちがいて、それをディストピアの兵士や冒険者たちが止めた経験から生まれた決まりみたいなものだ。

 それはさておき、視察の感想だな。

「これだけ簡単に行けるなら、月に1回でも簡単にいけるね!」

「それは現場への迷惑になるので、本当に止めてください」

 ヤバい雰囲気を醸し出しながら、ガリアが俺に止めてくれと懇願してきた。

「さすがにそんなことしないよ。でも、半年に1回くらい行きたいかな? 欲をかけば、季節の変わり目に1回ずつ、3ヶ月に1度位は街を見ておきたいかな? って思うくらいだな」

「半年に1度……3ヶ月に1度、確かに季節の変わり目で、行ってみたいのは理解できますね。自分たちも時間が取れれば行きたい所ですが、どうですかね?」

 グリエルは、同席していた秘書に確認をとっている。ちなみに秘書の数だが俺には1人、グリエルとガリアには4人ずつついている。4人の内訳は、女性1人男性3人である。

 何でこんな内訳なのかと言えば、女性の1人はタイムキーパー……スケジュール管理と時間の調整などをしている。本来のタイムキーパーとは違うが、何故かそう呼ばれることが多い。理由は分かっていない。

 残りの3人は、グリエルたちの仕事を代理する者たち。領主代行やその地位に近い位置で働く人たちの最終実地訓練みたいな感じである。ここでの仕事が問題なければ、はれて見習いから卒業ということになる。まぁ、この人たちは上級管理職になるので、一般とはかなり扱いが違う。

 ただ、この中で一番能力が高いのは誰かと聞かれれば、タイムキーパーの女性だろう。領主代行も口をそろえて、自分たちより有能だというほどに恐れているらしい。

 自分以外の3人の能力を完全に把握しており、割り振っても問題ない仕事を的確に割り振り、能力以上の物を割り振ることもあるが、それは自分でしっかり処理できるかの確認でもある。

 もし自分で処理できないと判断した物があった場合、どのように対応するのかを見るのだとか。同僚に相談、それでも解決できなければ上司であるグリエルたちに……と言う形で、最終実地訓練の実質的な試験管である。

 そのタイムキーパーの秘書たちが、タブレットを取り出し何やら確認を行っている。

「そうですね、半年のであれば同行は可能ですね。監査部の件がありましたが、必要数以上の人材は確保できていますので、シュウ様が新しい街を3~4程一気に手に入れなければ、余裕を持って対応できるのではないかと判断します」

「へ~部下たちも育ってきてるんだな。じゃぁ、グリエルたちも長い休暇をとれそうか?」

「2人とも同時にとなるとさすがに厳しいですが、お1人ずつで問題なければ、今すぐにでも可能だと思います。シュウ様の仕事が増える事になりますが」

 どんな仕事が増えるのかと思ったら、報告書関係の書類チェックだってさ。さすがに秘書たちもできるのだが、最終的に判断しなきゃいけない部分が増えるのだとか。グリエルたちでできても、秘書たちには出来ない物も多いのだとか。

「そっか、グリエルとガリア、俺が命令して休ませるのも何か変だから、3ヶ月以内に最低でも2週間はまとまった休暇をとってくれ。そこら辺はお互いで話し合って決めてほしい。君たちは休みをとれるかい?」

「2人がいる時であれば、問題ないと思いますが、どうでしょうか?」

「そうですね。タイムキーパーに仕事を割り振られなくても、自分たちで判断できるようになるのは、大切かもしれませんね。その方向で考えてみますか?」

 グリエルとガリア、タイムキーパーの2人はにこやかに話しているが、残りの6人の顔色がダイブ悪くなっている気がする、頑張れ!

「シュウ様。もし長期休みをとる場合ですが、あの別荘を借りたりすることはできるのですか?」

「あの別荘? あぁ、湖になる孤島の別荘のこと? もちろんいいよ。家族で行ってくるといいよ。別に週末でも休みの日だったら貸し出すよ。ほとんど使ってないしね。クルーザーだって貸し出してもいいよ」

「あの! それは、私たちにも貸し出していただけるということですか?」

「もちろん。君たちにも苦労かけているからね。事前に申請すれば利用できるように話しておくよ」

「あぁ、彼氏とあそこでゆっくり過ごせるかもしれないのか……」

 たしかこの娘たちって、20歳ちょっと過ぎたくらいだっけ? 有能だけど、平民の出だからって酷い扱いを受けているのを拾って来たとか言ってたよな。それが3年くらい前だっけ? その時18とか、そのくらいだったような?

 見習い君たちより大分下なのだが、恐れられている彼女たちである。

 この子たち彼氏がいたんだな……仕事ばかりしているから、縁遠いかと思ってたけどそうでも無いみたいだな。

「何言ってるのよ、彼氏なんていないでしょ! 私たちに寄ってくる男なんて、他所の街の屑貴族の次男や三男とかよ。私は、出会いが欲しいわ」

 おっと、いけない所に踏み込んでしまった気分だ。どうすればいい? 綾乃でもってあいつじゃ、何の役にも立たねえな。

 どういったタイプの男性が好きなのだろうか? 聞いてもいいものか悩むな。確か妻たちと仲良くしている姿を見た事あるから、今度妻たちに話を聞いてみよう。

 一先ず、危険な話を隅において、建設的な話をする事にした。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

性奴隷を飼ったのに

お小遣い月3万
ファンタジー
10年前に俺は日本から異世界に転移して来た。 異世界に転移して来たばかりの頃、辿り着いた冒険者ギルドで勇者認定されて、魔王を討伐したら家族の元に帰れるのかな、っと思って必死になって魔王を討伐したけど、日本には帰れなかった。 異世界に来てから10年の月日が流れてしまった。俺は魔王討伐の報酬として特別公爵になっていた。ちなみに領地も貰っている。 自分の領地では奴隷は禁止していた。 奴隷を売買している商人がいるというタレコミがあって、俺は出向いた。 そして1人の奴隷少女と出会った。 彼女は、お風呂にも入れられていなくて、道路に落ちている軍手のように汚かった。 彼女は幼いエルフだった。 それに魔力が使えないように処理されていた。 そんな彼女を故郷に帰すためにエルフの村へ連れて行った。 でもエルフの村は魔力が使えない少女を引き取ってくれなかった。それどころか魔力が無いエルフは処分する掟になっているらしい。 俺の所有物であるなら彼女は処分しない、と村長が言うから俺はエルフの女の子を飼うことになった。 孤児になった魔力も無いエルフの女の子。年齢は14歳。 エルフの女の子を見捨てるなんて出来なかった。だから、この世界で彼女が生きていけるように育成することに決めた。 ※エルフの少女以外にもヒロインは登場する予定でございます。 ※帰る場所を無くした女の子が、美しくて強い女性に成長する物語です。

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい

一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。 しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。 家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。 そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。 そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。 ……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──

幼馴染み達がハーレム勇者に行ったが別にどうでもいい

みっちゃん
ファンタジー
アイ「恥ずかしいから家の外では話しかけて来ないで」 サユリ「貴方と話していると、誤解されるからもう2度と近寄らないで」 メグミ「家族とか気持ち悪、あんたとは赤の他人だから、それじゃ」 義理の妹で同い年のアイ 幼馴染みのサユリ 義理の姉のメグミ 彼女達とは仲が良く、小さい頃はよく一緒遊んでいた仲だった… しかし カイト「皆んなおはよう」 勇者でありイケメンでもあるカイトと出会ってから、彼女達は変わってしまった 家でも必要最低限しか話さなくなったアイ 近くにいることさえ拒絶するサユリ 最初から知らなかった事にするメグミ そんな生活のを続けるのが この世界の主人公 エイト そんな生活をしていれば、普通なら心を病むものだが、彼は違った…何故なら ミュウ「おはよう、エイト」 アリアン「おっす!エイト!」 シルフィ「おはようございます、エイト様」 エイト「おはよう、ミュウ、アリアン、シルフィ」 カイトの幼馴染みでカイトが密かに想いを寄せている彼女達と付き合っているからだ 彼女達にカイトについて言っても ミュウ「カイト君?ただ小さい頃から知ってるだけだよ?」 アリアン「ただの知り合い」 シルフィ「お嬢様のストーカー」 エイト「酷い言われ様だな…」 彼女達はカイトの事をなんとも思っていなかった カイト「僕の彼女達を奪いやがって」

【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する

雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。 その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。 代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。 それを見た柊茜は 「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」 【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。 追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん….... 主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します

勝負に勝ったので委員長におっぱいを見せてもらった

矢木羽研
青春
優等生の委員長と「勝ったほうが言うことを聞く」という賭けをしたので、「おっぱい見せて」と頼んでみたら……青春寸止めストーリー。

処理中です...