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最悪
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二人でエレベーターに乗り込む。
すぐ下の階で止まった。
扉が開けば一人の男と目があった。
最悪の男。
この世で一番会いたくない男。
咄嗟に凛を庇う。
「へぇ、こんにちは」
男はニヤついた顔で近づいてくる。
「ふん」
あからさまにシカトした。
「?こんにちは」
ひょこっと顔をだし、この無礼な男に挨拶してしまった。
人に会った時は挨拶するのは良い子だけど、今はそんな常識棄ててしまって。
「凛、挨拶しなくて良いから」
「もしかして喧嘩中なの?」
喧嘩処か知り合いにもなりたくない人。
詳しく話すにはこのエレベーターで起きたことを話さなければならない。
そんなこと凛は知らなくて良い。
「知らない人と話しちゃいけません」
「酷いなぁ、凛ちゃんて言うの?宜しく。俺は佐伯亮司」
「凛、こんな人の名前なんか覚えなくて良いよ」
「ひでぇ兄ちゃんさぁ名前教えてくんないの、凛ちゃん教えてくんない?兄ちゃんの名前」
凛との距離を詰めてくる。
「教えなくて良いから、それにうちの弟を凛ちゃんとか呼ばないでくれます?」
「おっ、なら凛て呼んで良いってこと?」
「気安く名前を呼ぶなっ」
ポーン
着いたっ。
「凛、早く降りて」
「そんな急がなくてもよくない?」
凛は俺たちの会話からなにかを察し、口を挟むことはなく大人しくしていた。
「凛のお兄ちゃん、少し話さねぇ?」
「話しません」
「へぇ、あの事凛ちゃんに話すよ?エレベーターでの逢い引き。もしかしたら凛ちゃん誘えばやらしてくれっかも」
耳元で囁きゲスな顔で囁かれる。
気持ち悪さで顔が引き攣って居たが、最後の発言で怒りが込み上げる。
あの日のことが瞬時に頭に浮かんだ。
思い出したくない記憶。
それを凛にしようっての?
不潔極まりない。
顔も見たくないし声も聞きたくない。
けど、俺の所為で凛が狙われるのはダメ。
「り、凛先に行っててすぐ追い付くから」
「兄ちゃん大丈夫?」
心配してくれる心優しい凛を守るため。
兄ちゃんは平気だよ。
「うん、先に行ってて」
素直に従う凛の後ろ姿を見送った。
「で、なにか?」
「うわぁっ、そんな低い声出るんだね」
からかってるのがわかると余計にイライラする。
「用件は?」
「そんな顔も良いな、快楽に溺れていく瞬間の顔が愉しいんだよ」
そんな気持ち悪い話し聞きたくない。
話さないならもう行くぞ、という思いで男を睨み付けた。
睨み付けてるのにニヤけ続けるこの男が憎らしくてたまらない。
「なぁ、まじでダメ?」
「何がっ?」
「えー忘れちゃった?」
「さっさと言って」
「だから三Pの話し、俺としては凛ちゃんともしてみたいなぁ」
「っ、するわけ無いだろっ」
なに言ってんの?この男は。
そんな話の為に呼び止めたの?
ふざけんなぁー。
「うわぁっ」
怒りばかりで男がこんなにも近くに居たことに反応が遅れ、面と向かって抱き締められた。
イヤァー気持ち悪い。
離して。
「なぁ、やろうぜぇ」
片方の手がゆっくり愉しむようにお尻を触る。
気持ち悪さにゾワゾワと悪寒が続く。
以前と同じで離れたいのに男の力が強すぎて太刀打ち出来ない。
指がググッと中に入りたそうにしてる。
「なぁ、ここに俺の入れさせてくんない?」
「や、やだぁ」
その場所をグリグリと刺激され続ける。
ポーン
エレベーターが着いた音で男の腕が緩んだのを見逃さなかった。
勢いよく突飛ばし、一目散に走り去った。
扉が開き誰が出てきたのか確認なんてしなかった。
「んぁ?」
「あ、すいませぇん」
俺を襲った男はへらへらと笑いながら歩き出す。
エレベーターに居たのが先輩だったなんて全く気付かなかった。
俺が走り去る姿を目撃されていたなんて。
すぐ下の階で止まった。
扉が開けば一人の男と目があった。
最悪の男。
この世で一番会いたくない男。
咄嗟に凛を庇う。
「へぇ、こんにちは」
男はニヤついた顔で近づいてくる。
「ふん」
あからさまにシカトした。
「?こんにちは」
ひょこっと顔をだし、この無礼な男に挨拶してしまった。
人に会った時は挨拶するのは良い子だけど、今はそんな常識棄ててしまって。
「凛、挨拶しなくて良いから」
「もしかして喧嘩中なの?」
喧嘩処か知り合いにもなりたくない人。
詳しく話すにはこのエレベーターで起きたことを話さなければならない。
そんなこと凛は知らなくて良い。
「知らない人と話しちゃいけません」
「酷いなぁ、凛ちゃんて言うの?宜しく。俺は佐伯亮司」
「凛、こんな人の名前なんか覚えなくて良いよ」
「ひでぇ兄ちゃんさぁ名前教えてくんないの、凛ちゃん教えてくんない?兄ちゃんの名前」
凛との距離を詰めてくる。
「教えなくて良いから、それにうちの弟を凛ちゃんとか呼ばないでくれます?」
「おっ、なら凛て呼んで良いってこと?」
「気安く名前を呼ぶなっ」
ポーン
着いたっ。
「凛、早く降りて」
「そんな急がなくてもよくない?」
凛は俺たちの会話からなにかを察し、口を挟むことはなく大人しくしていた。
「凛のお兄ちゃん、少し話さねぇ?」
「話しません」
「へぇ、あの事凛ちゃんに話すよ?エレベーターでの逢い引き。もしかしたら凛ちゃん誘えばやらしてくれっかも」
耳元で囁きゲスな顔で囁かれる。
気持ち悪さで顔が引き攣って居たが、最後の発言で怒りが込み上げる。
あの日のことが瞬時に頭に浮かんだ。
思い出したくない記憶。
それを凛にしようっての?
不潔極まりない。
顔も見たくないし声も聞きたくない。
けど、俺の所為で凛が狙われるのはダメ。
「り、凛先に行っててすぐ追い付くから」
「兄ちゃん大丈夫?」
心配してくれる心優しい凛を守るため。
兄ちゃんは平気だよ。
「うん、先に行ってて」
素直に従う凛の後ろ姿を見送った。
「で、なにか?」
「うわぁっ、そんな低い声出るんだね」
からかってるのがわかると余計にイライラする。
「用件は?」
「そんな顔も良いな、快楽に溺れていく瞬間の顔が愉しいんだよ」
そんな気持ち悪い話し聞きたくない。
話さないならもう行くぞ、という思いで男を睨み付けた。
睨み付けてるのにニヤけ続けるこの男が憎らしくてたまらない。
「なぁ、まじでダメ?」
「何がっ?」
「えー忘れちゃった?」
「さっさと言って」
「だから三Pの話し、俺としては凛ちゃんともしてみたいなぁ」
「っ、するわけ無いだろっ」
なに言ってんの?この男は。
そんな話の為に呼び止めたの?
ふざけんなぁー。
「うわぁっ」
怒りばかりで男がこんなにも近くに居たことに反応が遅れ、面と向かって抱き締められた。
イヤァー気持ち悪い。
離して。
「なぁ、やろうぜぇ」
片方の手がゆっくり愉しむようにお尻を触る。
気持ち悪さにゾワゾワと悪寒が続く。
以前と同じで離れたいのに男の力が強すぎて太刀打ち出来ない。
指がググッと中に入りたそうにしてる。
「なぁ、ここに俺の入れさせてくんない?」
「や、やだぁ」
その場所をグリグリと刺激され続ける。
ポーン
エレベーターが着いた音で男の腕が緩んだのを見逃さなかった。
勢いよく突飛ばし、一目散に走り去った。
扉が開き誰が出てきたのか確認なんてしなかった。
「んぁ?」
「あ、すいませぇん」
俺を襲った男はへらへらと笑いながら歩き出す。
エレベーターに居たのが先輩だったなんて全く気付かなかった。
俺が走り去る姿を目撃されていたなんて。
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