男子校に入学しても絶対そっち側には行かないって思っていたのに、助けてくれた先輩が気になってます

天冨 七緒

文字の大きさ
50 / 72

雨なんて大っ嫌い

しおりを挟む
目が覚めればソファで先輩に抱き締められていた。

「んん゛ふん…せんぱぃ」

「…起きたのか」

「うん…俺どのくらい眠っちゃってた?」

「三十分くらいか」

「そっか」

良かった。
凛との約束守れそう。

「シャワー浴びないと」

「…」

俺の言葉で家に帰る気がある事を悟ったのか、抱き締めている先輩の腕に力が入ったのが分かった。
そんな事されたら、離れにくいよ。

「また直ぐ来るから、ねっ」

おまけにチュッと唇の端にした。
起き上がりお風呂場に向かった。
当然のように先輩も一緒に。
お尻のを掻き出すのに先輩がやってくれたが、そこにエッチな雰囲気は無かった。
なんだか先輩が淋しそうに見えた。
そんな顔しないで。

シャワーを終え、制服に着替えることにした。
先輩もバイトの為一緒にマンションを出た。
途中で先輩と分かれバスには乗らず歩いて帰ることにした。
ふと、携帯が気になった。
俺携帯鞄に入れたっけ?
鞄のなかを探すも見当たらない。
ん゛ー。

「あっ、ソファー」

エッチに雪崩れ込む前に凛と電話してて、その後携帯の存在をすっかり忘れていた。
ソファーのどっかに有るかも。
戻らないと。
先輩からの合鍵も…うん、ちゃんと有る。
戻って携帯取りに行こう。
再び先輩のマンションに向かうも肌寒さを感じた。
空も急に暗くなったように見えた。
まさか、降らないよね?
不安になったので早足で歩き始めたが、俺が先輩のマンションに着くよりも早く雨が降り始めた。
突然の豪雨に襲われ雨宿りするにも出来そうな場所が見当たらず走り続けた。
足腰が本調子ではないためそんなに早く走れず、マンションに着く頃にはびしょ濡れになってしまった。
ワイシャツもズボンもびしょびしょでベッタリと肌に張り付いていた。
エレベーターが来る間、震えながら待った。
これだとシャワーを浴びないと風邪を引く。
今日は何回シャワーを浴びることになるんだ。
エレベーターに乗り込み振り帰れば、同じように濡れた男性がいた。
仲間だと思いながら回数ボタンを押せば、その男は1階下のボタンを押した。

「へぇー、ここに住んでんだ」

突然の声に男の顔をみれば、最も会いたくない男がいた。
あのチャラ男コンビニ店員。

「………」

驚きの余り声がでなかった。

「エロいね、もしかして誘ってる?」

男の視線を辿れば、ピッタリくっついたワイシャツ越しに俺の胸の突起がハッキリと分かる。

「なっ」

慌てて両手で隠し背を向けたが、男のニヤケ顔が不快だった。

「一緒に風呂入る?」

「結構です」

早くエレベーターを降りたかった。
早く着いて早く着いて早く着いて。

「ぎゃっ」

「寒いだろ?」

背を向けていたため男が近づくのが分からず、後ろから男の腕に抱き入れられていた。
濡れたワイシャツ越しに男の体温が伝わり別の震えが生じた。

「震えてる、俺が暖めてやるよ」

耳元で喋んなっ、気持ち悪い。
あんたの所為で震えてんの。

「やめて、離してっ」

抵抗するも男は全く離さないどころか力が込められた。

「やぁっ」

首筋を舐められた。
舐められた瞬間ゾワゾワと嫌悪感が身体中を走った。

「おっいいねぇ、その反応」

「ちょっといい加減にして」

「初めてじゃないだろ、こんなに痕付けて。それとも無理矢理やられんのが好きなの?」

首筋を舐めながら舌でワイシャツの襟をずらされ肩を晒される。
そこはつい先程、先輩に噛まれた所。

「ちがっ」

「噛み痕もある、結構激しいんだな。いいよ、俺もそういうの好きだから」

「あんたの好みなんて聞いてないっもう、離してっ」


ポーン


「ほら、着いたっ早く降りてぇ」

「なぁ、まじで俺の部屋来いよ」

「やだぁ、行かない」

「なら、俺が行こうか?」

「来んなぁ、先輩の家が穢れる」

「あーん、彼氏の部屋かぁ」

「………」

しまった。
先輩の家ってばらしちゃった。

「なら、やっぱり俺の部屋だな」

「本当にやめて」

無理矢理下ろされそうになった。
開いていたドアが閉まろうとするのを男が足でドアを押さえた。

「そんなにイヤ?」

男の問いに何度も頷いた。

「彼氏がいるから?それとも俺が好みじゃないとか?」

「両方っ」

なんなのこの人。
好みじゃない?好みじゃないに決まってる。
どっから来るんだよその自信。
あんたなんか先輩の足元にも及ばないよ。
いい加減離せこの野郎。

「ふーん…」

「…い゛や゛っ」

ガブっと肩を噛まれた。
先輩に噛まれた場所と同じところを。
更に同じ場所をキツく吸われた。
痕を上書きされてるって理解するも男の腕が強すぎて全く抜け出せないでいる。
やだっ先輩助けてぇ。
どのくらいなんて分からないけど、長く強く吸われた。
絶対濃い痕が残ってるし、先輩にバレる。
男の息も舌も気持ち悪い。早く離れてよ。
涙目になりながら男が離れるのを待った。
何度も何度も同じ場所を吸われた。
気か済んだのか男の唇が離れたと気を抜いてしまった、吸っていた場所からベロっと肩から首筋うなじまでを舐められた。
油断していたため実際よりも舐められた感覚があった。

「俺、3Pでもいいから、彼氏に言っといてよ」

耳元で囁き耳を気持ち悪く舐められ口に含まれた。
満足したのか漸く腕から解放され男は出ていった。
ドアは閉まり先輩の部屋の階に着いた。
ドアが開き急いで鍵を使い部屋へ入った。
鍵を閉めて、直ぐにお風呂場に直行してシャワーで流した。
石鹸で力強く洗った。

「気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い」

泣きながら首筋や肩、耳を洗いまくった。



しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

アイドルくん、俺の前では生活能力ゼロの甘えん坊でした。~俺の住み込みバイト先は後輩の高校生アイドルくんでした。

天音ねる(旧:えんとっぷ)
BL
家計を助けるため、住み込み家政婦バイトを始めた高校生・桜井智也。豪邸の家主は、寝癖頭によれよれTシャツの青年…と思いきや、その正体は学校の後輩でキラキラ王子様アイドル・橘圭吾だった!? 学校では完璧、家では生活能力ゼロ。そんな圭吾のギャップに振り回されながらも、世話を焼く日々にやりがいを感じる智也。 ステージの上では完璧な王子様なのに、家ではカップ麺すら作れない究極のポンコツ男子。 智也の作る温かい手料理に胃袋を掴まれた圭吾は、次第に心を許し、子犬のように懐いてくる。 「先輩、お腹すいた」「どこにも行かないで」 無防備な素顔と時折見せる寂しげな表情に、智也の心は絆されていく。 住む世界が違うはずの二人。秘密の契約から始まる、甘くて美味しい青春ラブストーリー!

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

今日もBL営業カフェで働いています!?

卵丸
BL
ブラック企業の会社に嫌気がさして、退職した沢良宜 篤は給料が高い、男だけのカフェに面接を受けるが「腐男子ですか?」と聞かれて「腐男子ではない」と答えてしまい。改めて、説明文の「BLカフェ」と見てなかったので不採用と思っていたが次の日に採用通知が届き疑心暗鬼で初日バイトに向かうと、店長とBL営業をして腐女子のお客様を喜ばせて!?ノンケBL初心者のバイトと同性愛者の店長のノンケから始まるBLコメディ ※ 不定期更新です。

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

同僚に密室に連れ込まれてイケナイ状況です

暗黒神ゼブラ
BL
今日僕は同僚にごはんに誘われました

【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】

彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』 高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。 その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。 そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?

兄貴同士でキスしたら、何か問題でも?

perari
BL
挑戦として、イヤホンをつけたまま、相手の口の動きだけで会話を理解し、電話に答える――そんな遊びをしていた時のことだ。 その最中、俺の親友である理光が、なぜか俺の彼女に電話をかけた。 彼は俺のすぐそばに身を寄せ、薄い唇をわずかに結び、ひと言つぶやいた。 ……その瞬間、俺の頭は真っ白になった。 口の動きで読み取った言葉は、間違いなくこうだった。 ――「光希、俺はお前が好きだ。」 次の瞬間、電話の向こう側で彼女の怒りが炸裂したのだ。

処理中です...