10 / 72
後頭部を殴られるような痛みとはこの事か
しおりを挟む
あのキスを思い出すと幸せになれた。
けど、その喜びは長続きはしなかった。
今日も先輩は空き部屋にいる。
知らない人と一緒に。
もちろんそういうことをしてしている。
俺はその空き部屋に乗り込む…
なんてできるはずもなく静かにその場を離れた。
落ち込んで、気付けば裏庭に一人で座っていた。
暖かいのに身体が冷えていき体温が奪われていった。
その日からあの空き部屋に行くのを躊躇ってしまう。
先輩は行かなくなった俺の事を何か思ってくれるかな?
十日ぶりに先輩の所に行ってみた。
先輩は既に空き部屋にいて、今日は一人みたいだった。
あの頃のような気持ちで浮かれて空き部屋に入る事はできなかった。
無言のまま先輩の近くに座る。
けど、前とは違う距離。
なんで何も話してくれないの?
俺が居なかった事に何も感じなかったの。
「先輩はどうして俺とキスしたんですか?」
「…なんとなく」
な、なんとなく。俺とのキスってなんとなくでしたの。
「なんとなくでキスするんですか?」
「する」
「サイテー」
「なら、お前は?」
やっと先輩が俺を観てくれた。
観てくれたのに全然嬉しくない。
「お、俺は…」
言いたくない。
自分でも、もう分かってる。
助けてくれたあの日から気になってる。
先輩が誰かといる事に嫉妬して、誰にも触れて欲しくない。
自覚したくなかったこの気持ち。
だけど、あの日のキスで先輩も同じ気持ちなんだって期待した。
期待したのに、違ってた。
先輩は変わらず俺じゃない人とあの空き部屋でしていた。
「普通キスってその人としたい、その人をもっと感じたいとかそう言う思いでするんだと」
好きな人って言葉は使いたくなかった。
好きってバレたくない。
「ふーん。なら俺はあの時お前としたかった」
「瞬間ではなく、ずっとそう思える相手とするんです」
少し先輩が顔を歪めたように見えた
「ずっとねぇ、俺そういうのわかんねぇーわ。ずっと、一生、永遠とかそう言う気持ち無いと思ってる」
先輩の言葉は悲しくなる。
どうしてそんな事言うの?
「あるよ。ずっとはある」
「必ずいつかは終わる、ずっとは無い。俺は信じてない」
先輩の声が鋭くなったように感じた。
「お前今日はもうどっか行け」
初めて先輩に追い出された。
こんな風になるくらいなら今日来なければ良かった。
けど、その喜びは長続きはしなかった。
今日も先輩は空き部屋にいる。
知らない人と一緒に。
もちろんそういうことをしてしている。
俺はその空き部屋に乗り込む…
なんてできるはずもなく静かにその場を離れた。
落ち込んで、気付けば裏庭に一人で座っていた。
暖かいのに身体が冷えていき体温が奪われていった。
その日からあの空き部屋に行くのを躊躇ってしまう。
先輩は行かなくなった俺の事を何か思ってくれるかな?
十日ぶりに先輩の所に行ってみた。
先輩は既に空き部屋にいて、今日は一人みたいだった。
あの頃のような気持ちで浮かれて空き部屋に入る事はできなかった。
無言のまま先輩の近くに座る。
けど、前とは違う距離。
なんで何も話してくれないの?
俺が居なかった事に何も感じなかったの。
「先輩はどうして俺とキスしたんですか?」
「…なんとなく」
な、なんとなく。俺とのキスってなんとなくでしたの。
「なんとなくでキスするんですか?」
「する」
「サイテー」
「なら、お前は?」
やっと先輩が俺を観てくれた。
観てくれたのに全然嬉しくない。
「お、俺は…」
言いたくない。
自分でも、もう分かってる。
助けてくれたあの日から気になってる。
先輩が誰かといる事に嫉妬して、誰にも触れて欲しくない。
自覚したくなかったこの気持ち。
だけど、あの日のキスで先輩も同じ気持ちなんだって期待した。
期待したのに、違ってた。
先輩は変わらず俺じゃない人とあの空き部屋でしていた。
「普通キスってその人としたい、その人をもっと感じたいとかそう言う思いでするんだと」
好きな人って言葉は使いたくなかった。
好きってバレたくない。
「ふーん。なら俺はあの時お前としたかった」
「瞬間ではなく、ずっとそう思える相手とするんです」
少し先輩が顔を歪めたように見えた
「ずっとねぇ、俺そういうのわかんねぇーわ。ずっと、一生、永遠とかそう言う気持ち無いと思ってる」
先輩の言葉は悲しくなる。
どうしてそんな事言うの?
「あるよ。ずっとはある」
「必ずいつかは終わる、ずっとは無い。俺は信じてない」
先輩の声が鋭くなったように感じた。
「お前今日はもうどっか行け」
初めて先輩に追い出された。
こんな風になるくらいなら今日来なければ良かった。
4
お気に入りに追加
424
あなたにおすすめの小説
森光くんのおっぱい
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
「下手な女子より大きくない?」
そう囁かれていたのは、柔道部・森光の胸だった。
僕はそれが気になりながらも、一度も同じクラスになることなく中学校を卒業し、高校も違う学校に進学。結局、義務教育では彼の胸を手に入れることはできなかった。
しかし大学生になってから彼と意外な接点ができ、意欲が再燃。攻略を神に誓う。
悪役令息の兄には全てが視えている
翡翠飾
BL
「そういえば、この間臣麗くんにお兄さんが居るって聞きました!意外です、てっきり臣麗くんは一人っ子だと思っていたので」
駄目だ、それを言っては。それを言ったら君は───。
大企業の御曹司で跡取りである美少年高校生、神水流皇麗。彼はある日、噂の編入生と自身の弟である神水流臣麗がもめているのを止めてほしいと頼まれ、そちらへ向かう。けれどそこで聞いた編入生の言葉に、酷い頭痛を覚え前世の記憶を思い出す。
そして彼は気付いた、現代学園もののファンタジー乙女ゲームに転生していた事に。そして自身の弟は悪役令息。自殺したり、家が没落したり、殺人鬼として少年院に入れられたり、父に勘当されキャラ全員を皆殺しにしたり───?!?!しかもそんな中、皇麗はことごとく死亡し臣麗の闇堕ちに体よく使われる?!
絶対死んでたまるか、臣麗も死なせないし人も殺させない。臣麗は僕の弟、だから僕の使命として彼を幸せにする。
僕の持っている予知能力で、全てを見透してみせるから───。
けれど見えてくるのは、乙女ゲームの暗い闇で?!
これは人が能力を使う世界での、予知能力を持った秀才美少年のお話。
【完結】遍く、歪んだ花たちに。
古都まとい
BL
職場の部下 和泉周(いずみしゅう)は、はっきり言って根暗でオタクっぽい。目にかかる長い前髪に、覇気のない視線を隠す黒縁眼鏡。仕事ぶりは可もなく不可もなく。そう、凡人の中の凡人である。
和泉の直属の上司である村谷(むらや)はある日、ひょんなことから繁華街のホストクラブへと連れて行かれてしまう。そこで出会ったNo.1ホスト天音(あまね)には、どこか和泉の面影があって――。
「先輩、僕のこと何も知っちゃいないくせに」
No.1ホスト部下×堅物上司の現代BL。
目が覚めたら、妹の彼氏とつきあうことになっていた件
水野七緒
BL
一見チャラそうだけど、根はマジメな男子高校生・星井夏樹。
そんな彼が、ある日、現代とよく似た「別の世界(パラレルワールド)」の夏樹と入れ替わることに。
この世界の夏樹は、浮気性な上に「妹の彼氏」とお付き合いしているようで…?
※終わり方が2種類あります。9話目から分岐します。※続編「目が覚めたら、カノジョの兄に迫られていた件」連載中です(2022.8.14)
多分前世から続いているふたりの追いかけっこ
雨宮里玖
BL
執着ヤバめの美形攻め×絆されノンケ受け
《あらすじ》
高校に入って初日から桐野がやたらと蒼井に迫ってくる。うわ、こいつヤバい奴だ。関わってはいけないと蒼井は逃げる——。
桐野柊(17)高校三年生。風紀委員。芸能人。
蒼井(15)高校一年生。あだ名『アオ』。
それはきっと、気の迷い。
葉津緒
BL
王道転入生に親友扱いされている、気弱な平凡脇役くんが主人公。嫌われ後、総狙われ?
主人公→睦実(ムツミ)
王道転入生→珠紀(タマキ)
全寮制王道学園/美形×平凡/コメディ?
俺以外美形なバンドメンバー、なぜか全員俺のことが好き
toki
BL
美形揃いのバンドメンバーの中で唯一平凡な主人公・神崎。しかし突然メンバー全員から告白されてしまった!
※美形×平凡、総受けものです。激重美形バンドマン3人に平凡くんが愛されまくるお話。
pixiv/ムーンライトノベルズでも同タイトルで投稿しています。
もしよろしければ感想などいただけましたら大変励みになります✿
感想(匿名)➡ https://odaibako.net/u/toki_doki_
Twitter➡ https://twitter.com/toki_doki109
素敵な表紙お借りしました!
https://www.pixiv.net/artworks/100148872
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる