イフライン・レコード ファンタジー地球に転移した俺は恩寵(ギフト)というぶっ壊れ能力で成り上がっていく!

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第二章

070「ソラの生還」

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「皆、止まれぇ!!」

 突然、先頭の炎呪が声を掛けると討伐隊は進行をストップした。

何か・・が⋯⋯⋯⋯近づいてくる」
「「「「「っ!!!!!」」」」」

 炎呪の言葉に隊に緊張が走った。すると、


「あれ? 炎呪さん?」


 そこには、キョトン顔で炎呪に声をかけた新屋敷ソラの姿があった。


********************


「ソ、ソラ君⋯⋯なのかっ!?」

 炎呪はソラのあまりにも普通のテンションに理解が追いついていなかった。

「はい。いや~疲れましたよ~。あれだけの魔物相手に戦うのは初めてだったので大変でしたよ~。まーでも、その分すっごいレベリングできたのでホクホクですけどね!」
「へ? レベリングできた? そ、それって、一人で魔物暴走スタンピードの魔物を倒した⋯⋯⋯⋯ってこと?」
「え? あ、はい。後半は魔物が上層へ逃げるので追っかけてばっかりで疲れました! いや~、魔物でも逃げるってことあるんですね! 知らなかったな~⋯⋯」
「え? あ、うん⋯⋯え? じゃ、じゃあ、魔物はもういないってこと⋯⋯なのかな?」
「はい。魔物暴走スタンピードは終わりました」
「なっ?! ま⋯⋯まさか⋯⋯」

 炎呪はソラの言葉をいまだ信じられずにいた。そんな呆然とする炎呪の横から、

「ソラっ!」
「ソラ君っ!!」
「お? 唐沢、胡桃沢!」

 唐沢と胡桃座がソラのところへやってきた。

「お、おい、大丈夫なのか、ソラ!」
「ケガはしてない? 大丈夫?!」
「ああ、大丈夫、大丈夫。問題ないよ」

 唐沢と胡桃座は泣きながらソラに「どれだけ心配したか!」とか「もう一人で残るとか言うのはやめろ!」などと説教されていた。しかし、

「でも、お前は⋯⋯お前にとっては⋯⋯あの魔物暴走スタンピードは止められるという自信があった⋯⋯てことなのか?」

 ここで唐沢が妙な含みのある聞き方をしてきた。まるで『俺の強さ』を図るような⋯⋯。だから俺は、

「ああ、そうだ。確信に近い自信があった・・・・・・・・・・・から一人で残るっていったのさ」
「⋯⋯そうか」
「⋯⋯そうだ」

 俺は唐沢の目をまっすぐと見ながらそう告げる。唐沢は何か納得したような顔をしてニコッと笑った。

「ちょっと! あんたたち二人で何やってるのよ! 私も混ぜなさい!!」

 すると、横から胡桃沢が間に入ってきた。

「ソラ君、ごめんね⋯⋯。私最初、君が自分の強さを『過信』していたんじゃないかって思っていたの」
「⋯⋯胡桃沢」

 胡桃沢が申し訳なさそうな顔でそんなことを呟く。すると、

「お、俺もだ、ソラ。俺もお前が自分の強さを見誤っていると思っていた」
「⋯⋯唐沢」

 唐沢もまた胡桃沢と同じように謝罪する。

「⋯⋯でも、それは私たちのほうが間違いだった! ソラ君の強さを見誤っていたのは私たちのほうだったわ!」
「ああ! 胡桃沢の言う通りだ! すまない、ソラ!!」

 そう言って、二人が頭を下げる。俺は⋯⋯、

「ハッハッハ! うむ、苦しゅうない! 苦しゅうないぞ、二人とも!」

 そう言って、カラカラと笑い出したソラ。

「ま、俺は俺でちゃんと自分の強さは把握しているつもりだ。今回のことでわかってくれただろ?」

 俺は少しイタズラな質問を二人にする。

「あ、ああ!」
「そ、そうね!」

 そして、二人は納得した返事を返す。

「まー本当に協力して欲しいときはちゃんと二人にお願いをするから。⋯⋯その時はよろしくな」
「あ、ああ、こちらこそだぜ!!」
「もちろんよ! これからもよろしくね、ソラ君っ!!」

 そうして、三人はお互いの肩を組んだスクラム状態で笑い合った。


********************


「⋯⋯ということで、自分疲れたので家に帰りますね。お疲れっす~」

 どさくさに紛れて帰ろうとするソラ。しかし、

 ムンズっ!

「お疲れっす~⋯⋯⋯⋯じゃないよ、ソラ君?」

 そこには、目が全く笑っていない笑顔の倶利伽羅炎呪がいた。

「話⋯⋯聞かせてくれるよね?(ニコリ)」
「お、おっけーだもの⋯⋯」

 どさくさに紛れて帰るなど当然許されなかったソラは、炎呪にしっかりと腕をホールドされギルド本部へと連行されることとなった。



 こうして、突如発生した日本の魔物暴走スタンピードは、16歳のD級ランカー一人の手によって解決となった。
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