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1668.体力

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 男は体力が乏しかった。
 勢いで比加礼太を負ぶったまでは良かったが、幾らも歩かない内に息が上がる。

「すいません。休憩させてください」
「それより、持っていたら水を貰えないか?」
「あ! うっかりしてました! どうぞ」

 男はアイテムボックスから水、ついでに携帯食を取り出して渡した。

「今、どっから出した!?」
「アイテムボックスですけど」
「え!? げほっ、げほっ、げほっ」

 礼太は驚いた拍子に咳き込んでしまった。

「だ、大丈夫ですか!?」
「あ、ああ……。喉が渇きすぎて調子が悪いだけだ」

 礼太はとにもかくにも先に水を口に含むようにゆっくり飲んだ。
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