魔☆かるちゃ～魔王はこたつで茶をすする～

１５２３．町長

「ちょっと待て、俺らにこいつらを国境まで連れて行けって言うのか？」

　剣士は町長に詰め寄るが、町長は頭を下げたままで答えない。

「それとも俺らでこいつらを殺せとでも言うのか？」

　町長は微動だにしない。
　剣士は町長の胸ぐらを掴んで頭を引き起こした。

「何黙り決め込んでんだ？　今ここでこいつらを解き放ってもこっちは構わないんだぞ？」
「私は君達もこの町の住人であり、この街を愛していると信じている」

　町長は臆面もなく言った。

「は！　そうかよ。だったらそっちこそ先に愛とやらを見せて貰おうか」

　剣士は手に持ったロープを町長に括り付ける。
　暴れる町長は槍士が取り押さえた。
　続けて槍士、ハンター、ヒーラーが手にしていたロープも括り付ける。
　こうなるともう町長は身動き取れなかった。

「そう言うことで後は任せたぜ」
「ま、待て！　待ってくれ！」

　町長の悲鳴に似た叫びには一瞥もくれず、４人は役場を後にした。