魔☆かるちゃ～魔王はこたつで茶をすする～

１３０５．キュッと

　女猟師が不穏な気配に振り向けば、クリーチャーが居た。
　これにはさしもの女猟師も尻の穴がキュッと窄まって心胆が冷える。

「きゃああああ！」

　初心な乙女のような悲鳴を上げた。
　逃げようにもクリーチャーから伸びてまとわり付く触手は『絶対防御』が弾いても直ぐに代わりが来る。
　『絶対防御』も万能ではなかった。
　ここで颯爽と助けに入る男でも居れば良かったのだが、クリーチャーとなった彼の後ろから女猟師の尻を追い掛けていた男達は蜘蛛の子を散らすように逃げてしまった。
　さっきまで付いて来ていた男達は何だったのよ、と女猟師は内心で叫ぶ。
　内心なのは口から出るのがただの悲鳴になるためだ。
　その叫びは絶望の色を滲ませ始めた。