魔☆かるちゃ～魔王はこたつで茶をすする～

１２８４．悲鳴

　女猟師が声の方を見れば、巨大な癌細胞の塊に人の顔が貼り付いたような身の毛もよだつクリーチャーが涎を垂らしていた。

「きゃああああああっ！」
「「ぎゃああああああっ！」」

　一瞬遅れて雑巾を引き裂くような野太い悲鳴も上がった。
　戦闘態勢を取ることもできない。本能的な怖気に理性が撃破されている。
　悲鳴は男２人の方が先に止んだ。
　理性を取り戻したのではない。クリーチャーに永遠の眠りに就かされただけだ。
　クリーチャーは女猟師に顔を近付け、彼女の顔を舐め回すように見た後で長く舌を伸ばして舐め回す。
　男には用が無いが女には用があるらしい。
　女猟師は喉が痙攣したようになってもう悲鳴も出せない。
　間近で見るクリーチャーの顔は男ののものらしかった。
　そんなクリーチャーが女猟師の防具に手を掛け、にたりと笑った。