上 下
649 / 1,394

992.泣いた

しおりを挟む
 ヒーラーの肉体はマッチョとまでは行かないが、鍛えられて引き締まっている。
 そんな逞しい肉体に春めいたワンピースの清楚さはそぐわない。
 清楚なワンピースが似合うのは線の細い乙女だろう。
 ところが本人はまだ乙女のつもりだ。気合を入れるとついつい乙女チックな品物を選んでしまうのだ。

「うおおーん!」

 ヒーラーは泣いた。

「何、獣みたいに泣いてるのよ?」

 魔法使いは冷めた目で突っ込んだ。

「だって、だって……」

 ヒーラーはこれぞと思った服を「似合わない」と言われた悲しさを切々と訴えた。
 すると魔法使いの目がますます冷めた。

「鏡を見なさい。あんたは清楚から程遠いわよ」
「きゅう……」

 ヒーラーは奇妙な声を上げて気を失った。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

今度こそ穏やかに暮らしたいのに!どうして執着してくるのですか?

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:29,849pt お気に入り:3,441

異世界ゆるり紀行 ~子育てしながら冒険者します~

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:44,531pt お気に入り:35,287

本当はあなたを愛してました

m
恋愛 / 完結 24h.ポイント:4,657pt お気に入り:218

女教師・潤〜絶望の寝取られ教師〜

大衆娯楽 / 連載中 24h.ポイント:21pt お気に入り:30

ある国の王の後悔

恋愛 / 完結 24h.ポイント:2,891pt お気に入り:101

街角のパン屋さん

SF / 完結 24h.ポイント:2,257pt お気に入り:2

盗賊とペット

BL / 連載中 24h.ポイント:461pt お気に入り:98

黒の瞳の覚醒者

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:14pt お気に入り:507

処理中です...