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466.飲み水

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 銭湯の建物は巨大だ。ただその体積の9割以上が水とお湯のタンクで占められている。容量約2千トン。1日千トンの水やお湯を使うとして、その2日分。魔王が毎日補充すれば十分間に合う量である。
 お湯も水も蛇口は付けず、垂れ流しにしている。5人パーティーのように蛇口だけ有れば水が幾らでも出ると勘違いする者が多発したら収拾が付かない。
 そんな銭湯、いち早く利用し始めたのは普段から清潔さを保っている者達だ。軽食1食分程度でお湯を存分に使えるとあったら放ってはおかない。
 そして直ぐに気付く。流れて来る水やお湯は飲めるし洗濯もできる。特に飲み水は水筒にでも詰めて持ち帰れば他で買うより遥かに安い。それどころか、飲み水を買うつもりになれば銭湯代を出してもお釣りが来た。

「マジか?」
「マジだ」

 話を聞いて半信半疑の男が銭湯を利用する。

「マジだった」

 そうして銭湯の常連が増えていった。
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