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313 痛っ
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久しぶりのソロ探索のため、ルキアスは最初から第六階層へ向かったザネクと別れ、肩慣らしに第二階層での探索をする。
ところが長らく後方の警戒ばかりだったせいか前方の警戒が疎かになっていたらしい。
「痛っ!」
前からゴブリンに攻撃されるまで気付かなかった。これを慌てて倒す。
魔石を抜いたら、前方にも注意を払いつつ探索を続ける。
「痛っ!」
今度は後方からだ。これをまた慌てて倒す。
ルキアスは戦慄した。
どうして後方まで警戒が疎かになっていたか。後方警戒しているつもりでできていなかったのではないか。
ルキアスが理由を探し求めると、曲がり角からひょっこり顔を覗かせる女性の姿が浮かんだ。
(リュミアさん……)
リュミアが後から付いて来ていたせいで、後方からの魔物は全てリュミアへと向かったのだろう。思い出せば週末以外に後方から襲われた覚えが無い。
(いや、ぼくか)
一瞬リュミアのせいにしようとして思い直した。リュミアがどう動こうと警戒が疎かになった理由にはならない。ルキアスは一つ頬を叩いて手で顔を拭い、気合を入れ直す。
程なくして警戒の勘も戻り、ホッと一安心。第六階層へ行こうと螺旋回廊へ向かう。
途中で戦闘音が近くに聞こえた。周囲を探ってみると、木陰の向こう、コボルトの群と戦っているパーティーが居る。ルキアスはこっそり離れるが、そのパーティーの危なげなく無駄の無い動きが酷く印象に残った。
螺旋回廊に達してから途中で見たパーティーの戦闘を回想する。
パーティーにはどこか見覚えがあった。よくよく思い出せば、前回の魔物大発生の時に会ったパーティーだ。あれからかなりの日数が過ぎているのに未だに第二階層に居るのを意外に思った。
だが彼らの動きはルキアスとザネクの二人パーティー、あるいはエリリースとシャルウィが加わった四人パーティーとは比べものにならないくらいスムーズだった。声を出さなくてもお互いにどう動くか判っているかのようだった。
(ぼく達との違いは何なのだろう……?)
思い返せば自分達の動きには無駄が多かったように感じられる。しかし今はその理由を考えてもしょうがない。暫くはソロ探索をするのだから理由など追々考えれば良い。
ルキアスは第六階層での探索を始めた。だが直ぐに十字路手前で足を止める。
(ザネクが慎重になる筈だよ)
ザネクに任せっきりだったせいで理由が判っていても実感が伴っていなかったルキアスだ。
(魔物がいきなり出て来たらと思ったら怖い……)
見通しの利かない道に不安は尽きない。
ところが長らく後方の警戒ばかりだったせいか前方の警戒が疎かになっていたらしい。
「痛っ!」
前からゴブリンに攻撃されるまで気付かなかった。これを慌てて倒す。
魔石を抜いたら、前方にも注意を払いつつ探索を続ける。
「痛っ!」
今度は後方からだ。これをまた慌てて倒す。
ルキアスは戦慄した。
どうして後方まで警戒が疎かになっていたか。後方警戒しているつもりでできていなかったのではないか。
ルキアスが理由を探し求めると、曲がり角からひょっこり顔を覗かせる女性の姿が浮かんだ。
(リュミアさん……)
リュミアが後から付いて来ていたせいで、後方からの魔物は全てリュミアへと向かったのだろう。思い出せば週末以外に後方から襲われた覚えが無い。
(いや、ぼくか)
一瞬リュミアのせいにしようとして思い直した。リュミアがどう動こうと警戒が疎かになった理由にはならない。ルキアスは一つ頬を叩いて手で顔を拭い、気合を入れ直す。
程なくして警戒の勘も戻り、ホッと一安心。第六階層へ行こうと螺旋回廊へ向かう。
途中で戦闘音が近くに聞こえた。周囲を探ってみると、木陰の向こう、コボルトの群と戦っているパーティーが居る。ルキアスはこっそり離れるが、そのパーティーの危なげなく無駄の無い動きが酷く印象に残った。
螺旋回廊に達してから途中で見たパーティーの戦闘を回想する。
パーティーにはどこか見覚えがあった。よくよく思い出せば、前回の魔物大発生の時に会ったパーティーだ。あれからかなりの日数が過ぎているのに未だに第二階層に居るのを意外に思った。
だが彼らの動きはルキアスとザネクの二人パーティー、あるいはエリリースとシャルウィが加わった四人パーティーとは比べものにならないくらいスムーズだった。声を出さなくてもお互いにどう動くか判っているかのようだった。
(ぼく達との違いは何なのだろう……?)
思い返せば自分達の動きには無駄が多かったように感じられる。しかし今はその理由を考えてもしょうがない。暫くはソロ探索をするのだから理由など追々考えれば良い。
ルキアスは第六階層での探索を始めた。だが直ぐに十字路手前で足を止める。
(ザネクが慎重になる筈だよ)
ザネクに任せっきりだったせいで理由が判っていても実感が伴っていなかったルキアスだ。
(魔物がいきなり出て来たらと思ったら怖い……)
見通しの利かない道に不安は尽きない。
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