生活魔法は万能です

浜柔

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248 変な言い方

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 ルキアスは相変わらず接触の多いシャルウィをぽかんと見やる。エリリースも目を瞬かせて驚いている。

「あの、その方は?」
「シャルウィだ。第四階層で知り合った。で、彼女はエリリース。どっちかっつーとルキアスの縁だな」

 ザネクはエリリースの問いに答えると、シャルウィに向けてエリリースとリュミアの紹介もした。
 この時エリリースはシャルウィが自身と入れ替わりでパーティーメンバーになるのではと危機感を抱いた。無論杞憂であるが、その辺りを全くフォローしていないルキアスやザネクの落ち度でもあるだろう。

「そうなんだ! ルキアスのねー? こんな可愛いお嬢様と縁があるなんて、ルキアスも隅に置けないわね」

 シャルウィはルキアスに下世話な笑みを向ける。

「ちょ、ちょっと! 変な言い方しないでよ!」

 しかしルキアスの反論は無視だ。エリリースに擦り寄ってその手を取った。

「あたしシャルウィ。仲良くしましょ!」
「は、はい……。エリリースです。よろしくお願いします?」

 エリリースは距離の近さに困惑するが、シャルウィの言葉で自身もパーティーから外されないと判って内心ホッとする。
 対するシャルウィはどこかぎこちなさの出ているエリリースの様子にはどこ吹く風でにんまりと笑みを作る。

「近くで見ると益々可愛い! ちょっと嫉妬しちゃうかも!」
「そ、そんな……」

 こうストレートに言われればエリリースも照れてしまう。その様子を見たシャルウィはまたにんまりと笑う。そして視線をずらすと、リュミアに擦り寄ってその手を取った。

「リュミアさんですよね? お噂はかねがね伺ってます! お近づきになれて光栄です!」
「それは良かった……わ」

 リュミアについては紹介される前から知っていたらしい。
 ルキアスはシャルウィの言う噂が判らない。その辺りに疎いルキアスなのだ。だからザネクに尋ねてみる。

「ねぇ、噂って?」
「リュミア姉ちゃんは割と有名人なんだ。姉ちゃんに限らず、初心者講習の講師をするのは有名人が多いみたいだぜ」

 初心者講習の講師をするには十分な実力と知識を必要とする。そう言った人物は自然と名が売れるものだ。

「そうなんだ」

 ルキアスが相槌を打ちながら講師陣を思い返してみると、確かに一角の人物に思えた。そうして改めてリュミアを見ると、いつもより存在感を増して見えてしまうのは不思議である。
 ただルキアスはまだよく判っていない。身近にもっと有名な人物が居るのを。

「それはそうと、昨日さっさと帰ったのはシャルウィに会いに行ったからなの?」
「まあな。あまり遅くなるのも何だからな」
「遅くなるのはね……。でもいつの間にそんな仲に……」
「そ、そこはほっとけ」

 奇妙に照れるザネクの様子にルキアスは苦笑いだ。
 そして二人の傍ではこの会話を小耳に挟んだエリリースが昨日のザネクが早く帰ったのはシャルウィに会うためだったのだと知って安堵する。
 ともあれ、これで四人パーティーだ。これでも尚負担を重く感じるなら上の階層からやり直しになる。
 ルキアスもザネクもそうならないことを期待しつつ今日の探索に出発した。
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