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17 ランプ
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日が暮れた。
「やっぱり遠すぎた……」
ルキアスの「ギリギリ行けるかな?」なんて淡い期待は完全に裏切られた。
トリムの町の灯さえまだ見えない。町には在るだろう街灯も街道まではさすがに無く、辺りはもう真っ暗だ。
(『ランプ』を点けたものかな……)
生活魔法『ランプ』は暗がりなら数歩先までを見通せる程度の灯りを点す魔法だ。真っ暗と言っても月明かりが仄かに照らしていて足下が全く見えない訳でもないこの状況。どこまで効果が有るのかも定かでないとなれば悩ましい。
ルキアスが気になっているのは、再びの狼の出現だ。いつも出て来るようなものでないと判っていても、また昨日のように遭遇しないとも限らない。もしも『ランプ』を点したら、それを目印に狼が近付いて来る可能性が考えられる。
一度気になり始めたら、『ランプ』を点したくても点せなかった。
(いや、まあ、ここは反省しよう。
見込みが甘かった。
だけど道中に日数を掛けたくもないんだ。
あ、でも、あれに見えるのは……)
「町の灯だ」
色々考える間に町が見える距離に到達していたのだった。
トリムの町はタードに比べれば極めて大きい。ところが日が暮れたからか静まり返っている。人通りも殆ど無く、寂れていると感じられる。
少なくともルキアスからはそう見えた。
街灯も少なく、建物の陰で真っ暗な場所まである。町の灯が近くまで来ないと見えなかったのはこれが理由だと思われた。
(しかし月明かりの街道より暗いんじゃ……。
仕方がないから『ランプ』を点けよう)
ルキアスは左手の親指の先に『ランプ』を点した。
点す場所は別にどこでも良いと言えばどこでも良いが、魔法は普段手を通して使うため、手に対してが感覚的に使い易い。そうすれば使う魔力も少なくて済み、疲れも少ない。それに手ならどこへでも向けられる。そして親指だったらポケットに突っ込んだりして手を隠さない限りは光が見えなくなることも無い。
そして『ランプ』を点ければ町の様子が少しだけはっきり見えた。
ひび割れた舗装。薄汚れた路地。傾いたままの看板。
「廃墟じゃ……、ないよね……」
ルキアスは初見で寂れていると思ったものの、廃墟のようだとまでは思っていなかった。
(暗いから余計に廃墟のように見えるのだとは思うけど……)
よくよく見れば傾いたままの看板の建物の中にも仄かに灯が点いている。廃墟ではなかった。
(いや、それはそれとして、とにかく寝る場所を探そう。
お? 道の先に広場が在るような気がする。
暗くてはっきり見えないからまだ「気がする」レベルでしかないけど。
とにかく行ってみよう。
うん、近付けば近付くほど広場っぽい)
「どわっ!」
「ひゃっ!」
(びっくりした!
心臓がバクバク言ってる!
今の声何!?
ぼくまで思わず悲鳴上げちゃったよ!)
ルキアスは突然の叫び声に、自らも叫び声を上げた。
「やっぱり遠すぎた……」
ルキアスの「ギリギリ行けるかな?」なんて淡い期待は完全に裏切られた。
トリムの町の灯さえまだ見えない。町には在るだろう街灯も街道まではさすがに無く、辺りはもう真っ暗だ。
(『ランプ』を点けたものかな……)
生活魔法『ランプ』は暗がりなら数歩先までを見通せる程度の灯りを点す魔法だ。真っ暗と言っても月明かりが仄かに照らしていて足下が全く見えない訳でもないこの状況。どこまで効果が有るのかも定かでないとなれば悩ましい。
ルキアスが気になっているのは、再びの狼の出現だ。いつも出て来るようなものでないと判っていても、また昨日のように遭遇しないとも限らない。もしも『ランプ』を点したら、それを目印に狼が近付いて来る可能性が考えられる。
一度気になり始めたら、『ランプ』を点したくても点せなかった。
(いや、まあ、ここは反省しよう。
見込みが甘かった。
だけど道中に日数を掛けたくもないんだ。
あ、でも、あれに見えるのは……)
「町の灯だ」
色々考える間に町が見える距離に到達していたのだった。
トリムの町はタードに比べれば極めて大きい。ところが日が暮れたからか静まり返っている。人通りも殆ど無く、寂れていると感じられる。
少なくともルキアスからはそう見えた。
街灯も少なく、建物の陰で真っ暗な場所まである。町の灯が近くまで来ないと見えなかったのはこれが理由だと思われた。
(しかし月明かりの街道より暗いんじゃ……。
仕方がないから『ランプ』を点けよう)
ルキアスは左手の親指の先に『ランプ』を点した。
点す場所は別にどこでも良いと言えばどこでも良いが、魔法は普段手を通して使うため、手に対してが感覚的に使い易い。そうすれば使う魔力も少なくて済み、疲れも少ない。それに手ならどこへでも向けられる。そして親指だったらポケットに突っ込んだりして手を隠さない限りは光が見えなくなることも無い。
そして『ランプ』を点ければ町の様子が少しだけはっきり見えた。
ひび割れた舗装。薄汚れた路地。傾いたままの看板。
「廃墟じゃ……、ないよね……」
ルキアスは初見で寂れていると思ったものの、廃墟のようだとまでは思っていなかった。
(暗いから余計に廃墟のように見えるのだとは思うけど……)
よくよく見れば傾いたままの看板の建物の中にも仄かに灯が点いている。廃墟ではなかった。
(いや、それはそれとして、とにかく寝る場所を探そう。
お? 道の先に広場が在るような気がする。
暗くてはっきり見えないからまだ「気がする」レベルでしかないけど。
とにかく行ってみよう。
うん、近付けば近付くほど広場っぽい)
「どわっ!」
「ひゃっ!」
(びっくりした!
心臓がバクバク言ってる!
今の声何!?
ぼくまで思わず悲鳴上げちゃったよ!)
ルキアスは突然の叫び声に、自らも叫び声を上げた。
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