「そうだ、結婚しよう!」悪役令嬢は断罪を回避した。

ミズメ

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04 幼なじみ騎士

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 兄の友人であるエヴァン様が、何故か息を切らせてそこに立っていた。後ろで侍女が青い顔をしているため、さっきの音は聞き間違いではなかったようだ。

「あら、エヴァン様。どうされましたか?」

 ソーウェル伯爵家のご令息であるエヴァン様は、燃えるような赤髪とキリリとした金の瞳をお持ちの方だ。三つ歳上。
 騎士としても活躍していると聞いているとおり、鍛えられた体躯は服の上からでも分かる。

 なんというかこう、しっかりとした肩幅と、キュッと締まった腰元が逆三角形で素敵だ。
 そう、私は筋肉が好きなので。

 昔からよくこの家に出入りしていたので、顔見知りだ。とはいえ、こうして部屋に突然飛び込んでくるなんて、普通じゃない。

 そう思っていると、エヴァン様はテーブルに並べられた釣書をものすごい顔で凝視していた。

「……ロズニーヌ、結婚相手を探しているというのは本当か?」

「まあ! お兄様から聞いたのですか?」

「君は殿下の婚約者候補に名乗りを上げていただろう。てっきり、王妃になりたいのかと思っていたが」

「あっ、ああ~! ぜーんぶ若気の至りですわ! 私、やっぱり普通の家庭がいいなと思いましたの。愛し愛される夫婦がよくって!」

 嘘だけど嘘はついていない。
 王族はお家断絶をしないために、複数の妃を持つことがある。貴族でも愛妾を持つ人はいるが、そんなのは絶許なのだ。

「……そうか」

 身振り手振りを加えてそれらしい理由を並べてみたところで、エヴァン様はホッと息を吐いたように見えた。
 納得していただけたようだ。

「では、結婚相手の目星はついたのか?」

「それが……難航しております。お父様はロズニーヌの好きにしていいと言ってくださるのですけど、お相手の方のことをよく知りませんし」

「どういう相手ならいいんだ?」

「そうですね……まずはこう気兼ねなくお話が出来る方がいいですわ。身分は気にしません。あとはお仕事もしっかりされている方がいいです」

「騎士などの職もありか?」

「ええ、もちろん! 逆にありがたいですわね、筋肉は」

「そ、そうか」

 なぜかそこでエヴァン様は顔を赤らめる。
 そ、そんな風に照れられると、性癖語りをしているこちらも恥ずかしくなってくるので是非やめて欲しい。

 ――エヴァン様、本当にどうしたのかしら。

 そう思って見つめると、彼の金の瞳とパチリと目が合った。じっとりと熱く、強い眼差しが刺さる。
 なんだか直視できずに、私はパッと目を逸らした。頬が熱い。

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