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02 どうする
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クリア特典の各キャラクターの豪華スチルもコンプリートした。私にとってはなんとも二度おいしいゲームだった。
ここが乙女ゲームだとして……パズルゲームの部分は何がどうなってるんだろう……すっごく気になる。
ヒロインと攻略対象者がエンカウントしたら、悪役令嬢である私の前に巨大なパズル盤面でも現れるのだろうか。
マージする部分はどうなる?
みんなでお菓子をぶつけ合うのか?
「わたくしとバトルいたしましょう!」とヒロインに戦いを挑むのだろうか。
……正直ものすごく気になるが、自らが悪役令嬢だと分かっていてそのバトルに足を踏み入れる気はない。
存在が断罪みたいな悪役令嬢なのだ。もう息をするように断罪されてしまうに違いない。
「この不毛な断罪をなんとしても回避しないといけないわ。どうする、私……!」
ベッドの上で坐禅を組むようにストレッチをしながら瞼を閉じる。
――まずはシンプルに考えよう。普通に学園に行って、ヒロインを回避する。
うーん、これはあまり効果的ではないかもしれない。
だって、悪役令嬢が回避しようともヒロインが攻略対象者にエンカウントすれば終わりなのだ。
相手がかつての私のような好戦的なヒロインだった場合、きっと何をしても挑まれる。急にお菓子投げ合いゲームに参加させられるなんてたまったもんじゃない。えっ普通にイヤだ。
――だったらいっそ、学園に行かないのはどう!?
そう考えてみたが、よっぽどの理由がないかぎり、貴族たちは子女を学園に行かせる決まりがあるらしい。
行かないとむしろ""問題あり""のレッテルを貼られ、その後の結婚が難しそうだ。
家庭教師をつけるパターンもあるにはあるが、病弱だったり外に出られない場合に限られる。
どう考えてもロズニーヌは健康優良児なので、今更病弱なフリをするのは難しそうだ。いらぬ心配をかけてしまうのも避けたい。
勉強が大事なのは前世でも身に染みて感じた。なんだろうね、学生の頃は遊びたかったのに、大人になるともっと学びたかったと思うねじれ……。
勉強は絶対やりたい。これもパス!
王子の婚約者になってしまえば、当然ヒロインとのバトルは避けられない。
もう全力でパズルゲームに興じるしかないのか……いや、私ならいけるかもしれないけど……謎の自信と共に諦めの色も濃くなってきたとき、ハッと閃いた。
「そうだ、結婚したらいいんじゃない……!?」
カッと目を見開く。
思いついたのは""断罪の場に上がる前にさっさと結婚もしくは婚約をしておく""ということだ。
「学園が始まる頃には王子と婚約していたことは確定だけど、今の記憶ではまだ婚約していないわ」
ロズニーヌは幸いにも、幼い頃から婚約をしているタイプではなさそうだ。
今は婚約者はいない。
学園が始まるまでにそんなに猶予がないから、もしかしたら近いうちに婚約に関する出来事があるのかもしれない。
「急いで調べないと……一刻を争う事態だもの!」
ベッドから飛び降りた私は、この世界の結婚と婚約について調べることにした。
まずは結婚できる年齢から。
「十六歳から結婚できて、婚約は何歳からでもオッケーなのね、なるほど」
私は再来月には十六歳だ。そして、学園を卒業するのは十八歳だったはず。その卒業パーティーで断罪される運命。
うん、結婚しよう。
まずは婚約でもいい。
なんなら期間限定でもいい。とにかくマージバトルだけはいやだ。
私は善は急げとお父様の書斎に駆け込んだ。
ここが乙女ゲームだとして……パズルゲームの部分は何がどうなってるんだろう……すっごく気になる。
ヒロインと攻略対象者がエンカウントしたら、悪役令嬢である私の前に巨大なパズル盤面でも現れるのだろうか。
マージする部分はどうなる?
みんなでお菓子をぶつけ合うのか?
「わたくしとバトルいたしましょう!」とヒロインに戦いを挑むのだろうか。
……正直ものすごく気になるが、自らが悪役令嬢だと分かっていてそのバトルに足を踏み入れる気はない。
存在が断罪みたいな悪役令嬢なのだ。もう息をするように断罪されてしまうに違いない。
「この不毛な断罪をなんとしても回避しないといけないわ。どうする、私……!」
ベッドの上で坐禅を組むようにストレッチをしながら瞼を閉じる。
――まずはシンプルに考えよう。普通に学園に行って、ヒロインを回避する。
うーん、これはあまり効果的ではないかもしれない。
だって、悪役令嬢が回避しようともヒロインが攻略対象者にエンカウントすれば終わりなのだ。
相手がかつての私のような好戦的なヒロインだった場合、きっと何をしても挑まれる。急にお菓子投げ合いゲームに参加させられるなんてたまったもんじゃない。えっ普通にイヤだ。
――だったらいっそ、学園に行かないのはどう!?
そう考えてみたが、よっぽどの理由がないかぎり、貴族たちは子女を学園に行かせる決まりがあるらしい。
行かないとむしろ""問題あり""のレッテルを貼られ、その後の結婚が難しそうだ。
家庭教師をつけるパターンもあるにはあるが、病弱だったり外に出られない場合に限られる。
どう考えてもロズニーヌは健康優良児なので、今更病弱なフリをするのは難しそうだ。いらぬ心配をかけてしまうのも避けたい。
勉強が大事なのは前世でも身に染みて感じた。なんだろうね、学生の頃は遊びたかったのに、大人になるともっと学びたかったと思うねじれ……。
勉強は絶対やりたい。これもパス!
王子の婚約者になってしまえば、当然ヒロインとのバトルは避けられない。
もう全力でパズルゲームに興じるしかないのか……いや、私ならいけるかもしれないけど……謎の自信と共に諦めの色も濃くなってきたとき、ハッと閃いた。
「そうだ、結婚したらいいんじゃない……!?」
カッと目を見開く。
思いついたのは""断罪の場に上がる前にさっさと結婚もしくは婚約をしておく""ということだ。
「学園が始まる頃には王子と婚約していたことは確定だけど、今の記憶ではまだ婚約していないわ」
ロズニーヌは幸いにも、幼い頃から婚約をしているタイプではなさそうだ。
今は婚約者はいない。
学園が始まるまでにそんなに猶予がないから、もしかしたら近いうちに婚約に関する出来事があるのかもしれない。
「急いで調べないと……一刻を争う事態だもの!」
ベッドから飛び降りた私は、この世界の結婚と婚約について調べることにした。
まずは結婚できる年齢から。
「十六歳から結婚できて、婚約は何歳からでもオッケーなのね、なるほど」
私は再来月には十六歳だ。そして、学園を卒業するのは十八歳だったはず。その卒業パーティーで断罪される運命。
うん、結婚しよう。
まずは婚約でもいい。
なんなら期間限定でもいい。とにかくマージバトルだけはいやだ。
私は善は急げとお父様の書斎に駆け込んだ。
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