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年上王妃は嫁ぎ先を模索する
しおりを挟むとある小説の中で、恋の障害として存在する年上王妃マーガレット。だけど彼女は悪役ではなく、歳の離れた王子の姉的存在として王子の幸せを願い身を引く。
最初からマーガレットに相談していれば主人公達は葛藤や、すれ違いもなく円満解決だった訳なんだけど。
マーガレットがなまじ優しいから、情が湧いている王子はマーガレットの立場も考えると言い出せなかったようだ。
でもね、そんなマーガレットの人柄ゆえ、離縁後の後日談の中に登場したときには、どこぞの辺境伯爵の元で溺愛されているとか。
白い結婚ならば、そんな可能性も生まれたけれど私は最近白い結婚ではなくなった。果たして離縁後、人のお下がりとも言える私を溺愛してくれるまともな紳士はいるか不安になってきた。
そういう訳で、気になりすぎた私は一足先に、小説に出てくる辺境伯爵が誰なのかを探る事にした。
小説によると特徴は物腰柔らかなペリドットの瞳をもち、大型犬のように人懐っこそうで人の良さそうな辺境伯爵らしい。名前は忘れた。
そのくらいの情報な訳なんだけど…。信用できる人手を使って調べた結果、ペリドットの瞳をした辺境伯爵は1人しか居ないようで直ぐに見つかった。
ヴォーレン・バウセラム ミストロイア辺境伯爵。20歳。
(確かに、笑顔が素敵だし感じの良い方…人気ありそう。
あの人は何故か未だ独身な訳なんだけど…何故かしら。もう結婚しても良い年頃なのに…)
舞踏会場で、人と談話しているところを見つめていると、ふと私と視線があってしまった。途端に頬を赤らめて、頭をかきながら目を背ける。
(あ、もしかして…あの人は元々ー…)
話しかけようかと、足を踏み出したその時。
「何してるの?マーガレット。」
後ろからクリス王子の声が聞こえて振り向くと、ニコニコと私の元へ近寄ってきた。
「あ、王子…」
「クリスで良いと何度も言ってるよね?今日からで良いからちゃんと呼んで。」
今までは慣れないからと〝王子〟と呼ぶのをしぶしぶだけど許してくれたのに急にどうしたんだろう。確かに「そのうち呼んでね」とは言ってたけど…
ヒロインが登場したとき、このファーストネームで呼び合うのもヒロインを傷つけてしまうのだ。
出来れば、無闇に人を傷つけたく無いのよね…。
「いえ…あの。それは…」
口籠っている私に、空気の読める王子は切り替えるように無邪気な声で言った。
「ねぇ、ちょっと外に出てみない?僕、会場の熱気に当てられちゃったなぁ…」
ーーーーーー
ーーーーーーーーーー
舞踏会場の外に出ると、すっかり辺りは夜の景色で明かりは所々に点在している洋燈だけだった。
なのに…。
「お、王子、ここで休憩するのはやめましょうか。」
私はすぐに気が付いた。暗がりなのを良い事に、茂みでガサガサと音を立て、夜の営みをしている声を。
(もぉぉぉぉ! 王子の教育にわるいんだから!やるなら人に見られない所でやってよもぉ!)
顔を熱らせつつも王子の腕を引っ張り続ける。
「ねぇ、マーガレット。」
「はい!?」
「もうここ、明かりが殆どないよ。足元見えなくて転んじゃうよ?」
「え?」
言われて気がつくと、洋燈の明かりは先程よりも極端に少なく、明らかに休憩するための場所ではない。
「す、すみません!王子!引き返しましょ…っきゃあ!」
方向転換した瞬間、何かにつまずいて王子に抱きつく形になってしまった。12歳になった王子は、成長が早いのか、それとも私の背が低いせいか。15の時に成長が止まった私より頭ひとつぶんも違わない。
(成長されたのね…)
そうマーガレットがしみじみしていると、背中に手が回ってきて、抱き合っている状態になり、我にかえった。
「すみませ「大胆だなぁ、マーガレットは。」
マーガレット首筋に吸い付くクリスの唇を感じて「ヒッ!」と声を上げる。
「安心してね、こんな外で何か悪戯しようなんて思ってないから。」
そう言いつつも、回された手はマーガレットの腰やお尻のラインをなぞっている。
(いや…これは…たまたま。あたってるだけ?)
「お…王子。その…手が私の…」
「でもね、浮気をしようとしているお嫁さんにお仕置きをしないと駄目だと思うんだ。」
「へ?」
お尻に何かされるのかと思い、慌てて両手でお尻を隠すと、予想外にも胸を包んでいた布地が勢いよく下げられて大きな乳房が反動しながら露わになり外気にあたる。
「…きゃ!?」
隠そうとするマーガレットの両手を壁に縫い付けると、
暗がりの中少ない洋燈明かりが艶かしく白く露わになった胸を照らしている。暗くてクリスの顔は見えないけれどじっとマーガレットのそれを見ている。
「良い眺めだね。マーガレット。」
「やめてください。王子。きゃっ!」
ペロリと白い部分を舐められて声をあげる。
「王子ではなく、クリスだよ?」
(こ…これは。言う通りにしなかったら…)
「く…クリス…殿下。辞めて、くださいませ。こんな、外で…」
「うん、君が良い子だったならこんな所で何もしないよ。
でも最近の君はとても悪い子だから。」
「…??」
「ペリドットの瞳をした辺境伯について調べているよね?
何でかなぁ…とか思ったんだけど…。」
「そ…それは…。」
「調べるだけじゃなくて話しかけようとしてたよね?
あんな、マーガレットに下心丸出しの辺境伯に。何考えてるの?」
「そ…れは…ん。」
乳房に音を立てながらキスをされて変な声が出てしまった。
「ねぇ、君は本当に悪い子だよ。そう思わない?」
ちゅっちゅと引き続き卑猥な音をたて、何度も胸の至る所に口付けられる。それもだんだん乳首に近寄ってくる。けれど、乳首には触れない。
「んっ、めんなさ…」
クルクルと舌先で乳輪をなぞられて、息遣いがだんだん荒くなる。身体の奥が切なく疼く。
「ねぇ?君は悪い子だよね?違う?悪い事したら謝らないとだめってマーガレットが教えてくれたんだよ?罰としてちゃんと〝マーガレットは悪い子です。もうよそ見しません〟って言ってごらんよ。」
(ゆ…言えないよ。私いい歳してそんな…しかも目の前にいるのはクリス王子。私は、王子の頼りになる姉として…)
「~…っ」
唇をかみながら快楽にあらがい、何も言わないマーガレットの様子に、今度はもう片方の乳房を揉みしだかれ、その乳首をやんわりと擦られた。
(だめ…最近弄られすぎて敏感になってるのに。や、辞めさせないとっ。)
「~…っま、〝マーガレットは悪い子です。もうよそ見をしません〟!」
先程まで、避けられていた頂きをジュッと吸われて、同時にもう片方の乳首をグリッと引っ張られた。途端に脳が痙攣するみたいに電流が駆け巡る。
「ぁっぁぁぁん!」
(わ…たし。もしかして…これだけでいっちゃったの?
最近ここばかり弄られてたから…私の身体。変になったの??)
荒い吐息を吐きながら、へなへなと力の抜けていくマーガレットの腰を支えて、ゆっくりと地面に座らせたクリスは、マーガレットの頭を撫でながら笑みを浮かべた。
「良く出来ました。僕のマーガレット。
その言葉、信じているからね。」
薄暗い中、間近に見えるその顔は、少年から大人に変ってゆく男の妖艶さを醸し出し、マーガレットはその瞳の奥に鋭く光るものに捉われそうになっている自分を感じた。
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