ことわざ人生

くさなぎ秋良

文字の大きさ
上 下
48 / 64

昔取った杵柄

しおりを挟む
 『昔取った杵柄』とは、かつてしっかりと鍛えた腕前や技なので、腕に覚えがあるということ。

 私自身は『登録販売者』と『調理師』の資格を持っています。腕に覚えがあるかといわれるとすぐには頷けないものの、登録販売者の知識は自分自身が薬局で買い物するときに役立つことがあります。仕事で半ば強制的に取得させられた資格ですが、今ではとって良かったなと思います。

 そして夫は現在では違う業種ですが、もともとは理容師でした。
 彼の実家は三代続く床屋で、もうすぐ創業100年なんだとか。昔ながらの小さな店で、現在は舅が山奥にてひっそりと営業中です。

 舅のみならず姑も理容師で、当然のように息子である夫も理容師の資格を持っています。昔は住み込みで他店で修業したんだそうです。
 なんでも内緒でそこのお嬢さんと恋仲になったこともあったそうな。創作に是非使わせていただきたいネタですが、ちょっと時代が古い……。

 そんな家だと知ったときは「え、理容師の免許持ってない嫁でいいの?」と思いましたが、夫はもうずっと前に手を故障しまして、理容師を続けられなくなったそうなので、店はここで途絶えるらしい。

 舅は夫の妹一家の髪を無料で切っています。手に職を持っているって強い。
 姑は普段は店に出ていませんが、老人ホームなどにボランティアで髪を切りにいっているそうです。

 うちの息子も髪を切ってほしいんですが、舅と姑は勝手に切ったら怒るかなぁと私に遠慮しているようです。いえいえ、どんな髪型でも黙っているのは今のうちなので、どんどん切ってほしいんです。けれど、こちらからタダで切れというのも言いにくいので、黙っています。

 夫などはじっとしていられない子にハサミを向けるのが怖いみたいで、結局私が切っています。
 大胆に、お風呂場にてスキハサミでざっくざくです。素人ですから、最初はカッパのようになり、二度目は『おさるのジョージ』そっくりの仕上がりになりました。思春期だったら口きいてもらえないレベルです。何も知らない息子はにこにこしながら、切った髪をいじっています。
 うぅん、髪型にこだわり始めたら一緒に美容室に行こうねと、心の中で詫びた母なのでした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

詩策記~谷川俊太郎さんとのこと~

詩川貴彦
エッセイ・ノンフィクション
谷川俊太郎さんとのことです。 これだけは書き残しておきたいことです。 これだけはみなさんに知っておいてほしいことです。 それが「谷川俊太郎さんとのこと」なのです。

花言葉かるた

くさなぎ秋良
エッセイ・ノンフィクション
花言葉のかるたで紐解く小話。 イラストは无域屋さんです。

1976年生まれ、氷河期世代の愚痴

相田 彩太
エッセイ・ノンフィクション
氷河期世代って何? 氷河期世代だけど、過去を振り返ってみたい! どうしてこうなった!? 1976年生まれの作者が人生を振り返りながら、そんなあなたの疑問に答える挑戦作! トーク形式で送る、氷河期愚痴エッセイ! 設定は横読み推奨というか一択。 エッセイとは「試み」という意味も持っているのである。 オチはいつも同じです。

気がつけば、おマサさん

くさなぎ秋良
エッセイ・ノンフィクション
嫁ぎ先は、とんでもなくワイルドで毒舌ばあちゃんが育てた一族だった。 群馬を舞台に繰り広げられる、パワフル一族の一コマ。

くろいやつのくろいつらつらですわ~

黒幸
エッセイ・ノンフィクション
くろいゆきという謎生物がつらつらとしたものを書き連ねていくだけですですわ~。 日記は三日坊主になるので不定期更新になると思われたら、毎日、更新してますわね。 不思議ですわ~。 6/4現在、何を思い立ったのか、急にお嬢様言葉で書き綴ることになりましてよ。 6/8現在、一話からお嬢様言葉に変換中ですわ~! そして、短編から長編に変えておきました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

混迷日記2024【電子書籍作家の日々徒然】

その子四十路
エッセイ・ノンフィクション
高齢の母と二人暮らし。 電子書籍作家『その子四十路』のまったく丁寧じゃない、混迷に満ちた暮らしの記録。 2024年10月〜

処理中です...