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「……アは……父…、」
誰かの声が聞こえる。
うすらぼんやり目を開けると扉の近くで誰か二人が話しているのが見えた。
一人はバスローブ姿の男で、もう一人はかっちりとダブレットを着こなした男性だった。
徐々に覚醒してくると、バスローブは何だか陛下そっくりで、ダブレットはルシウス兄上にそっくりである。
なんで自分の部屋に二人がいるのか不思議に思う。
目を擦りながらゆっくりと起き、肩までかかった上掛けがパサリと落ちていく。
「ん…、ちちうえ……?あにうえ…?」
兄上の方を見ると、驚きの表情をしたまま固まってしまっている。
まだ寝ぼけ半分の自分に陛下が近づき、シーツをかけ直してきた。無表情だがどこか機嫌良さげである。
「セシリア。今日お前の仕事は全てキャンセルだ。ここで寝てなさい」
「……? シアは元気です……」
寝起きのせいか声が掠れて上手く出てこないけれど、身体は起こせる。けど確かにどうしてか気怠い。しかし休むほどではない。
「…………はあ。父上は公務をなさってくださいね」
「執拗いぞ。午後から行く」
「いーえ、午前からで! 全ての皺寄せは家臣に来るのです。そこにいる可愛い弟も含まれております!」
いつも優しい兄上から厳しい声が聞こえて首を傾げた。
父が怖くないのだろうか。父はそんな兄上に何も言い返そうとせず黙ったまま自分の頭を撫でてくれた。気持ちよくてスリ、と自分から父の手に頬擦りした。
「はあああぁ……まさか、そうだとは……やけにセシリアに報告書を言いつけることが多いし、皆震えながら報告する中セシリアだけ恐れていないと思っていたら……!」
セシリアに対しての嫌がらせや、セシリアも単に肝が据わっているだけなのかと。と言いながら溜息をつく兄上。
「とにかく、父上!この後必ず戻ってきてください! もう時間は詰まっております!」
「煩いルシウス。本当にお前は可愛くないな」
「可愛くなくて結構!」
バタン、と勢いよく扉がしまった。ルシウスが怒りに任せて閉めたのだ。
その音に驚き、ぱちくりと瞬きした。
「……ちち、うえ? あれ? シア、じゃない、私……」
シア、とは幼い頃自分のことをそう呼んでいた名残だ。いやそんなことはどうでもいい。
さーっと血の気が引いた。
寝台は陛下のものだ。キングサイズの広さに心地よい寝心地だった。しかも自分は裸だ。裸で、さっき上掛けが落ちたのを兄上に見られた。というか、兄上に、陛下と共寝したことがバレた。共寝所じゃない。真っ裸なのだ。父もバスローブを着てるとはいえ、さっきまで裸だったことはモロに分かる。
状況証拠がありすぎて、兄上に誤魔化しも出来ない。
「目が覚めたか」
「あ……あ……ち、父上……ご、ごめ、ごめんなさ」
「いい。アイツが勝手に入ってきただけだ。気にするな」
気にする。
本当なら恐らく事が終わった時点で部屋に戻らなくてはならなかったのに、いつの間にか気を失ってしまっていた。
激しく、そして長い情事に体が耐えきれなかったのだ。
兄上にバレた。
「わ、私、へ、部屋に…、あいたっ」
慌ててベッドから降りようとしたが何故か尻もちをついた。急いで立ち上がろうとしても足に力が入らない。
父が脇に手を入れて起こされ、ベッドに戻された。
「落ち着け。良いから寝ていなさい」
「でも、でも……っ」
「セシリア、またここで犯されたいか」
「……っ」
ピタ、と動きを止めた。父を見上げると怒ってはいないが、かなり本気の目をしている。
「ぁ……」
昨日のように、また。
このベッドで、父の太くて長いモノに貫かれ、幾度となく達した。射精できる限界はすぐに訪れ、ぷしゃぷしゃと小水のようなものを吹き出すようになった。それでも責め手は緩まず、後ろからも前からも、時には折りたたまれるくらいに上から突かれたり、ベッドにうつ伏せにさせられて体重をかけるように突かれもした。
昨日の事を思い出して恥ずかしくなって俯く。かあぁ、と顔が火照ってくるし、沢山注がれた子種を思い出して腹がキュンと疼いた。
「…………お前には罰にならんな。今日は寝ていろ。いいな」
呆れたような口振りだか、微かに笑っていた。
兄にバレたにも関わらず、父は平然としている。それを見ていたら自分もなんとかなるか、という気持ちになってくる。
こくん、と小さく頷き、横になってシーツを手繰り寄せた。
「ああ。あと尻は洗ったから安心しろ」
その言葉に、昨日の情事よりも恥ずかしくなって爆発しそうなほど悶えることになった。
誰かの声が聞こえる。
うすらぼんやり目を開けると扉の近くで誰か二人が話しているのが見えた。
一人はバスローブ姿の男で、もう一人はかっちりとダブレットを着こなした男性だった。
徐々に覚醒してくると、バスローブは何だか陛下そっくりで、ダブレットはルシウス兄上にそっくりである。
なんで自分の部屋に二人がいるのか不思議に思う。
目を擦りながらゆっくりと起き、肩までかかった上掛けがパサリと落ちていく。
「ん…、ちちうえ……?あにうえ…?」
兄上の方を見ると、驚きの表情をしたまま固まってしまっている。
まだ寝ぼけ半分の自分に陛下が近づき、シーツをかけ直してきた。無表情だがどこか機嫌良さげである。
「セシリア。今日お前の仕事は全てキャンセルだ。ここで寝てなさい」
「……? シアは元気です……」
寝起きのせいか声が掠れて上手く出てこないけれど、身体は起こせる。けど確かにどうしてか気怠い。しかし休むほどではない。
「…………はあ。父上は公務をなさってくださいね」
「執拗いぞ。午後から行く」
「いーえ、午前からで! 全ての皺寄せは家臣に来るのです。そこにいる可愛い弟も含まれております!」
いつも優しい兄上から厳しい声が聞こえて首を傾げた。
父が怖くないのだろうか。父はそんな兄上に何も言い返そうとせず黙ったまま自分の頭を撫でてくれた。気持ちよくてスリ、と自分から父の手に頬擦りした。
「はあああぁ……まさか、そうだとは……やけにセシリアに報告書を言いつけることが多いし、皆震えながら報告する中セシリアだけ恐れていないと思っていたら……!」
セシリアに対しての嫌がらせや、セシリアも単に肝が据わっているだけなのかと。と言いながら溜息をつく兄上。
「とにかく、父上!この後必ず戻ってきてください! もう時間は詰まっております!」
「煩いルシウス。本当にお前は可愛くないな」
「可愛くなくて結構!」
バタン、と勢いよく扉がしまった。ルシウスが怒りに任せて閉めたのだ。
その音に驚き、ぱちくりと瞬きした。
「……ちち、うえ? あれ? シア、じゃない、私……」
シア、とは幼い頃自分のことをそう呼んでいた名残だ。いやそんなことはどうでもいい。
さーっと血の気が引いた。
寝台は陛下のものだ。キングサイズの広さに心地よい寝心地だった。しかも自分は裸だ。裸で、さっき上掛けが落ちたのを兄上に見られた。というか、兄上に、陛下と共寝したことがバレた。共寝所じゃない。真っ裸なのだ。父もバスローブを着てるとはいえ、さっきまで裸だったことはモロに分かる。
状況証拠がありすぎて、兄上に誤魔化しも出来ない。
「目が覚めたか」
「あ……あ……ち、父上……ご、ごめ、ごめんなさ」
「いい。アイツが勝手に入ってきただけだ。気にするな」
気にする。
本当なら恐らく事が終わった時点で部屋に戻らなくてはならなかったのに、いつの間にか気を失ってしまっていた。
激しく、そして長い情事に体が耐えきれなかったのだ。
兄上にバレた。
「わ、私、へ、部屋に…、あいたっ」
慌ててベッドから降りようとしたが何故か尻もちをついた。急いで立ち上がろうとしても足に力が入らない。
父が脇に手を入れて起こされ、ベッドに戻された。
「落ち着け。良いから寝ていなさい」
「でも、でも……っ」
「セシリア、またここで犯されたいか」
「……っ」
ピタ、と動きを止めた。父を見上げると怒ってはいないが、かなり本気の目をしている。
「ぁ……」
昨日のように、また。
このベッドで、父の太くて長いモノに貫かれ、幾度となく達した。射精できる限界はすぐに訪れ、ぷしゃぷしゃと小水のようなものを吹き出すようになった。それでも責め手は緩まず、後ろからも前からも、時には折りたたまれるくらいに上から突かれたり、ベッドにうつ伏せにさせられて体重をかけるように突かれもした。
昨日の事を思い出して恥ずかしくなって俯く。かあぁ、と顔が火照ってくるし、沢山注がれた子種を思い出して腹がキュンと疼いた。
「…………お前には罰にならんな。今日は寝ていろ。いいな」
呆れたような口振りだか、微かに笑っていた。
兄にバレたにも関わらず、父は平然としている。それを見ていたら自分もなんとかなるか、という気持ちになってくる。
こくん、と小さく頷き、横になってシーツを手繰り寄せた。
「ああ。あと尻は洗ったから安心しろ」
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