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第五章
少女の本音
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マドレーヌの願いを叶える為にフロランは動いた。まず父親に今日のことを伝える。
「ジョアン……」
ウージェーヌは頭を抱える。
「で、……メイド長がオフクロ煽ってるのかなぁって」
「エリクにもそれを伝えた。どうもメイド長だけ神官の治療をうけてないようだった」
エリクに見せられた治療する使用人リストがメイド長自身の手で書き換えられてメイド長の名前が抜かれていた。
「問い詰めても話にならんしジョアンがかばうだろうからな。エリクが花の宴でなんとかするって言うしな。……花の宴って何をするんだろう」
するりと精霊がフロランの口を借りて説明する。人間が治癒を使うときは体の前面をかっと明るくして治療場所、病の根源を探る。これができるのエリクレベルの術者なのだと。精霊はその一歩上を行く。全体を全方向から照らして陰になる部分を作らずに病の根源をつかまえて滅する。依頼があればそれを捕獲してエリクに渡す、という。
人た人の心の中を診るときに精霊と同じことをするとその治癒者自身が壊れるよと精霊は告げてするっとフロランに体の自由を渡した。
「エリクは精霊と同じことができる?」
ウージェーヌが精霊に尋ねる。フロランは精霊が答えたことを父親に伝えた。
「神官長みたいに己が正義だと思ってない人はやっちゃだめだって。そして己の正しさを疑わない人はどれだけ魔力量があっても自滅するってさ。人は己を偽って生きてるから。精霊はやりたいことしかやらないしできないから。人とは違うんだよって」
ウージェーヌが納得いった顔になった。
「ああ、だから精霊の使役は罪になるんだな」
「そういうことだって」
フロランの精霊が思い切り同意しているのはウージェーヌにも視えていた。
「でもメイド長の方がやばくない?」
フロランの言葉にウージェーヌが頷く。
「そうさな。……家に来た時からメイドのもめごとの真ん中にメイド長がいたけどジョアンが徹底的にかばったからな」
「オフクロって気に入った人間にはとことん甘いな」
「……そうだな」
ウージェーヌは目を瞑って溜息をついた。学生時代、少し人間関係に不器用ででもまっすぐだったジョアンを懐かしく思い出していた。北の侯爵の気持ちが少しわかる気もした。北の侯爵の奥方は実家に引き取られていった。シスコンの弟が姉が悪いと言いながら北に置いておけない、後は俺が面倒をみると連れて帰ったのだ。ただし、離縁は外聞が悪いので夫人は療養ということで、と偉そうにいうので婚姻期間の横領からこれからの生活費を引いたものを変換してもらう、無理なら離縁と慰謝料の支払いというところでせめぎあっているのが現状だった。夫人の横領は1年二年で返せる額ではなく、下手をすれば夫人の実家は失われることになるやもしれない。この辺りはさすがにウージェーヌが口を出せる話ではない。
「なんだか一気に辺境に離婚の風が吹きそうだ」
父親の呟きにフロランは何も言わなかった。
その日は休日でマドレーヌが指定したカフェはまさにマリアンヌ好みの少女趣味なそれでいて茶も菓子も美味しいので男の一人客も居たりする店であった。
そこのテラス付きの二階の個室をマドレーヌは抑えている。そしてアルが付き添いであった。マドレーヌとアルが部屋に入ってからしばらくするとクロードがマリアンヌを連れて入ってきた。
「マドレーヌ!」
「マリアンヌ!」
少女たちは手に手をとってきゃっきゃとはしゃぎだした。
「ジョアン……」
ウージェーヌは頭を抱える。
「で、……メイド長がオフクロ煽ってるのかなぁって」
「エリクにもそれを伝えた。どうもメイド長だけ神官の治療をうけてないようだった」
エリクに見せられた治療する使用人リストがメイド長自身の手で書き換えられてメイド長の名前が抜かれていた。
「問い詰めても話にならんしジョアンがかばうだろうからな。エリクが花の宴でなんとかするって言うしな。……花の宴って何をするんだろう」
するりと精霊がフロランの口を借りて説明する。人間が治癒を使うときは体の前面をかっと明るくして治療場所、病の根源を探る。これができるのエリクレベルの術者なのだと。精霊はその一歩上を行く。全体を全方向から照らして陰になる部分を作らずに病の根源をつかまえて滅する。依頼があればそれを捕獲してエリクに渡す、という。
人た人の心の中を診るときに精霊と同じことをするとその治癒者自身が壊れるよと精霊は告げてするっとフロランに体の自由を渡した。
「エリクは精霊と同じことができる?」
ウージェーヌが精霊に尋ねる。フロランは精霊が答えたことを父親に伝えた。
「神官長みたいに己が正義だと思ってない人はやっちゃだめだって。そして己の正しさを疑わない人はどれだけ魔力量があっても自滅するってさ。人は己を偽って生きてるから。精霊はやりたいことしかやらないしできないから。人とは違うんだよって」
ウージェーヌが納得いった顔になった。
「ああ、だから精霊の使役は罪になるんだな」
「そういうことだって」
フロランの精霊が思い切り同意しているのはウージェーヌにも視えていた。
「でもメイド長の方がやばくない?」
フロランの言葉にウージェーヌが頷く。
「そうさな。……家に来た時からメイドのもめごとの真ん中にメイド長がいたけどジョアンが徹底的にかばったからな」
「オフクロって気に入った人間にはとことん甘いな」
「……そうだな」
ウージェーヌは目を瞑って溜息をついた。学生時代、少し人間関係に不器用ででもまっすぐだったジョアンを懐かしく思い出していた。北の侯爵の気持ちが少しわかる気もした。北の侯爵の奥方は実家に引き取られていった。シスコンの弟が姉が悪いと言いながら北に置いておけない、後は俺が面倒をみると連れて帰ったのだ。ただし、離縁は外聞が悪いので夫人は療養ということで、と偉そうにいうので婚姻期間の横領からこれからの生活費を引いたものを変換してもらう、無理なら離縁と慰謝料の支払いというところでせめぎあっているのが現状だった。夫人の横領は1年二年で返せる額ではなく、下手をすれば夫人の実家は失われることになるやもしれない。この辺りはさすがにウージェーヌが口を出せる話ではない。
「なんだか一気に辺境に離婚の風が吹きそうだ」
父親の呟きにフロランは何も言わなかった。
その日は休日でマドレーヌが指定したカフェはまさにマリアンヌ好みの少女趣味なそれでいて茶も菓子も美味しいので男の一人客も居たりする店であった。
そこのテラス付きの二階の個室をマドレーヌは抑えている。そしてアルが付き添いであった。マドレーヌとアルが部屋に入ってからしばらくするとクロードがマリアンヌを連れて入ってきた。
「マドレーヌ!」
「マリアンヌ!」
少女たちは手に手をとってきゃっきゃとはしゃぎだした。
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