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「リリゼットちゃん、縁談の事考えてくれた?」
エドアールからとうとう発された言葉だった。
「僕は正直愛してる、とか言えないけど。このドルバックって家が好きでね。その家の娘である君の事も気に入ってるし。前向きにかんがえてほしいなって思って」
リリゼットは意外と平静であった。
「エド先生の事は、嫌いではないです。………でも、エド先生、なんです」
リリゼットは少しためらいながら言葉にした。
「だから………縁談としては私は考えてません」
「ニコルが嫁げと言ったら?」
「………それは仕方ないと思ってます」
ここでリリゼットの天然が発せられる。
「でも、エド先生、そんな無茶言う人じゃないと思ってるので」
これを意図もなく言えるの、本当、天然だよなぁ、手練手管なんかより一発の天然の方が怖いとつくづくエドアールは思った。
「そっか。ま、これまで通りによろしく」
エドアールがにっこり笑う。エドアールはリリゼットが隙を見せたらばっくりいってやるさ、と大人の余裕で思っていた。扉が開いてルイが入ってきてリリゼットが出て行った。
「エドにーちゃん、リリゼットねーちゃんは鈍いしもっと押さないと」
といっぱしの事を言う。ニコルに聞いているがルイにも数件縁談が入っているらしい。ニコルの時はさっくりドルバックの血縁から嫁が決まったので、繊維系の産業を持っている家が必死にルイへのアプローチを開始してるようで、このところ毎週末はお茶会に招かれているらしい。
「今度うちでお茶会するんだって。ママが張り切ってるけど………使用人のみんながあんまり協力的じゃなくて困ってるみたい。パパは侍女頭さんに仕切りを頼むって言ってるけど。ママには準備の一環としてお招きした令嬢方の家の家紋の刺繍のハンカチを作ってもらうって。12家の15人来るからママ、今から必死に刺繍してギリギリじゃないかな」
ルイはそんなことを言いながらおやつのタルティーヌをぱくつく。北方で食べたのほど簡素ではなくバターだけのもの、ジャムを塗ったもの、色とりどりである。エドアールはオレンジのマーマレードを塗ったものを口にしながら紅茶を飲む。
「素面だったんだけどなぁ」
と呟く。ルイはぽんぽんとエドアールの肩甲骨あたりを叩く。
「リリゼットちゃんにはにーちゃんの魅力は早かったんだよ。リリゼットちゃん色々おっかなびっくりで周り見る余裕なんかないもの」
ルイはずっとこの気のいい兄の友人、エドアールを見ていたしリリゼットを気に入ってるのもわかっている。
「エドにーちゃんにはもっと甘えてくれる人がいいと思うなー。僕が女の子ならエドにーちゃんところ行くんだけどね!」
エドアールは苦笑しつつ、ルイの頭を撫でた。
「って事で俺は綺麗にふられた」
酒を飲み、ニコルにエドアールは報告する。
「うーん、実は俺もあんまり本気にしてなかったんですが、先輩」
エドアールはニコルの答えに脱力している。
「兄妹、似たような反応をする。リリゼットちゃんに『ニコルに俺に嫁げって言われたら?』って聞いたら『仕方ない』って言った後に『でも、エド先生、そんな無茶言う人じゃないと思ってるので』だよ。天然怖い」
エドアールの言葉にニコルは不思議そうな顔で答える。
「え?エド先輩そういう事する人じゃないでしょう?」
エドアールはこの兄妹は…、と溜息をついた。
「ニコルもリリゼットちゃんと同じくらい可愛いよ」
エドアールはそう言ってもう一度盛大な溜息をついて手元の強めの蒸留酒を一気にあおった。
エドアールからとうとう発された言葉だった。
「僕は正直愛してる、とか言えないけど。このドルバックって家が好きでね。その家の娘である君の事も気に入ってるし。前向きにかんがえてほしいなって思って」
リリゼットは意外と平静であった。
「エド先生の事は、嫌いではないです。………でも、エド先生、なんです」
リリゼットは少しためらいながら言葉にした。
「だから………縁談としては私は考えてません」
「ニコルが嫁げと言ったら?」
「………それは仕方ないと思ってます」
ここでリリゼットの天然が発せられる。
「でも、エド先生、そんな無茶言う人じゃないと思ってるので」
これを意図もなく言えるの、本当、天然だよなぁ、手練手管なんかより一発の天然の方が怖いとつくづくエドアールは思った。
「そっか。ま、これまで通りによろしく」
エドアールがにっこり笑う。エドアールはリリゼットが隙を見せたらばっくりいってやるさ、と大人の余裕で思っていた。扉が開いてルイが入ってきてリリゼットが出て行った。
「エドにーちゃん、リリゼットねーちゃんは鈍いしもっと押さないと」
といっぱしの事を言う。ニコルに聞いているがルイにも数件縁談が入っているらしい。ニコルの時はさっくりドルバックの血縁から嫁が決まったので、繊維系の産業を持っている家が必死にルイへのアプローチを開始してるようで、このところ毎週末はお茶会に招かれているらしい。
「今度うちでお茶会するんだって。ママが張り切ってるけど………使用人のみんながあんまり協力的じゃなくて困ってるみたい。パパは侍女頭さんに仕切りを頼むって言ってるけど。ママには準備の一環としてお招きした令嬢方の家の家紋の刺繍のハンカチを作ってもらうって。12家の15人来るからママ、今から必死に刺繍してギリギリじゃないかな」
ルイはそんなことを言いながらおやつのタルティーヌをぱくつく。北方で食べたのほど簡素ではなくバターだけのもの、ジャムを塗ったもの、色とりどりである。エドアールはオレンジのマーマレードを塗ったものを口にしながら紅茶を飲む。
「素面だったんだけどなぁ」
と呟く。ルイはぽんぽんとエドアールの肩甲骨あたりを叩く。
「リリゼットちゃんにはにーちゃんの魅力は早かったんだよ。リリゼットちゃん色々おっかなびっくりで周り見る余裕なんかないもの」
ルイはずっとこの気のいい兄の友人、エドアールを見ていたしリリゼットを気に入ってるのもわかっている。
「エドにーちゃんにはもっと甘えてくれる人がいいと思うなー。僕が女の子ならエドにーちゃんところ行くんだけどね!」
エドアールは苦笑しつつ、ルイの頭を撫でた。
「って事で俺は綺麗にふられた」
酒を飲み、ニコルにエドアールは報告する。
「うーん、実は俺もあんまり本気にしてなかったんですが、先輩」
エドアールはニコルの答えに脱力している。
「兄妹、似たような反応をする。リリゼットちゃんに『ニコルに俺に嫁げって言われたら?』って聞いたら『仕方ない』って言った後に『でも、エド先生、そんな無茶言う人じゃないと思ってるので』だよ。天然怖い」
エドアールの言葉にニコルは不思議そうな顔で答える。
「え?エド先輩そういう事する人じゃないでしょう?」
エドアールはこの兄妹は…、と溜息をついた。
「ニコルもリリゼットちゃんと同じくらい可愛いよ」
エドアールはそう言ってもう一度盛大な溜息をついて手元の強めの蒸留酒を一気にあおった。
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