次代の魔王は生まれた翌日運命の恋に落ちる

ルコ

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あれから六年

アスラ 2

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 そんなある日、ルイくんとベルが瞬間移動で俺を訪ねて来た。まず城の前まで来て、きちんと取り次ぎをしてもらってから、客間に通されたルイくんとベル。うん、ちゃんとしてて偉いね。あれ?珍しくショウくんが居ない。

「どうしたの?ルイくんだけって珍しいね?」

「アスラ様、ちょっと秘密の相談があるので二人だけになりたいんですが・・・」

「それはリイとベルにも秘密って事?」

「ベルはもう知っている話です。リイ様も他の精霊に繋がってなければ問題ないんですが、いきなりだとそうもいかないでしょ?リイ様をお一人にするのも失礼ですからベルに付き合わせます。」

ん?待って??ルイくん五歳だよね?こんなしっかりした喋り方してたっけ??しかも性格も変わってない?天然無垢な天使じゃなくない??

「リイ、ベルと隣の部屋に行ってて。で、レイにはそのまま伝えていいよ。後で俺からキョウに説明するからって伝言もお願い。」

「りょ」

相変わらずの返事をして、リイはベルとともに隣の部屋に行った。俺は二人分のお茶を淹れてルイくんの前にも置いた。

「で、どうしたの?」

「アスラ様は・・・冬崎明日楽先生ですよね?」

「ブハっ?!はいぃぃっ???!!」

「・・僕は、月影瑠依です。十五歳まで日本で過ごした記憶が、五歳の誕生日に戻りました。」
 
「ど、どういう事になってんの???」

ルイくんに前世のその後を教えてもらった。

俺の前世の記憶は十七歳まで。それ以降の話になる。その三年後に、瑠依くん、翔弥くん、神楽ちゃんが生まれたらしい。

う~ん、あのまま香久夜ちゃんはカイさんと結婚までしたんだなぁ・・・
で、ランさんは、ジュンさんの会社の社長の月影 広夢さん(長の叔父でもある)と出会って再婚したんだ。

俺はキョウと同じ大学に受かり、国文科に入った。卒業してからも、しばらく研究室に残った後、非常勤講師として働いていたようだ。それと並行して小説も書いていて、な、な、なんと、ラノベ的なファンタジーが何冊か本として出版もされているらしい!!

ルイくんも昔から本が好きで、俺の本も読んでくれていたんだって。ファンだって言われて今照れまくってるw
で、どこにも公表していないこの世界を書いた処女作も俺本人に読ませてもらったらしく、身近な人が登場するのも含めおもしろくて夢中になったとの事。

で、公表しない事を条件に俺に許可をもらって、ひっそりと続きを書いていたらしい。そこでのルイくんたちは五歳で、魔王候補として育てられるという設定。

つまり今。

「ちょうど五歳になったからでしょうか?思い出したのは本当に前世の記憶なんですかね?」

「う~ん、実は俺にもよく分からないんだよ。けどここは間違いなく現実で、俺が書いていない未来も普通に続いているからね。記憶が戻る前の俺もこの世界にちゃんと存在していたし。
ここは俺たちが書いた物語なんかじゃない、ちゃんとした現実だって受け止めた方がいいよ?」

「それは、はい。大丈夫です。ここが今の僕にとっての現実だって事は理解してます。ただ・・・」

「ん?どうしたの??」

「あの・・ショウの性格が違いすぎて・・・」

よくよく聞いてみると、前世でのショウくんは今みたいに甘々ではなく、小さい頃はよくルイくんをいじめていたらしい。それは好きな子をいじめてしまう男の子の典型的なパターンで、ルイくんもそれが分かっていたけど、やっぱり悲しかったんだって。

十五歳になっても、お互いを意識はしているものの、まだ付き合うには至っていないらしい。男のカップルは身近に溢れているのでそこには抵抗ないみたい。
あっ、コウくんとリンくんは前世でも付き合ってるんだって。こちらと違い、歳はルイくんたちと五歳しか離れていない。流石に十戦勝負はしてないけど、コウくんがリンくんに認めてもらうまでは前世でもかなり時間がかかったらしいよ。

「そのもどかしさが辛くて前世の僕は、小説の中のショウを素直に愛情表現をしてくれる男にしたんですよ。そしたらこの有様で・・・なんか記憶が戻ってから素直に受け入れられないんですよね。僕が勝手にショウの性格を変えてしまった気がして。しかも十五歳の記憶もあるし、素直な五歳児には戻れないって言うか・・・」

「う~ん、俺は十七歳が十五歳になっただけだから違和感なく過ごせたけど、十五歳が五歳になったら確かにキツいね。
ショウくんに関しては、性格は本来のものっぽいし気にしなくてもいいと思うけど・・基本、前世とこの世界とは人の性格は然程変わりないよ?」

「はい。だから余計に僕がショウの性格を変えてしまった気がして・・・」

「でも、設定と違う事もあるよ?無理矢理な設定は、ある程度前世に近いように戻ってる気がするし。前世のショウくんも付き合ったら今みたいな感じになるんじゃない?
俺だって、前世ではけっこうな年月キョウに無視されてたしさ。なのに付き合ってからは今みたいな溺愛モードになったよ?」

「えぇっ??!あの魔王様がアスラ様を無視?!」

「うん、だからさ、前世でも付き合ったらショウくんの性格も変わってたんじゃないかな?」

「・・・そう思う事にします。アスラ様、これから僕はどう振舞ったらいいんでしょうか?流石にあの無邪気なルイには戻れませんよ。」

「う~ん、全員に前世の話をするわけにもいかないしなぁ・・俺もキョウとリイ、母さんにしか言ってない・・・」


突然バタン!!とすごい音がして・・・


「ルイっ!!めちゃくちゃさがしたんだよ??!」

ショウくんとマルが乗り込んで来た。
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