ETDの雑用係

とりい とうか

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四章 ショク

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「今度は何買ったの!! オレは何を覚えさせられるの!!」
「日々の清浄や修復は自動でできるようにしたから安心ダヨ~」
「そうじゃなかったら返品させてる!! 覚えられることだって無限にはないのに!!」

 チーズをかけた芋だけでは単調になりがちなので、干した肉やら果物やら、シェムハザのインベントリから出てきた追加の肴を食みながら飲んでいた面々に、食ってかかったのは帰還したノーイだ。
 ノーイは知っている。この商人、ショクが来た後は何かしらの新しい仕事が増えるということを。キレそうキレてる。この間だって触手三角木馬とかいう訳の解らない罠が増やされて、扱いを間違えた結果股間を強打して悶絶するはめになった(本来は触手で木馬に拘束して快楽責めを加える仕様だったとのこと。床から勢いよく飛び出したそれは完全に物理で殺す気の罠だったとノーイは思っている)。
 だもので、ショクは幼子をあやすように面倒などないと言い募る。過去にノーイの猛反対によって駄目になった商談もあるため、慎重かつ勢い良く。商人に必要なのは、度胸と頭と口車である(諸説あり)。

「今回のはネ~、見て! コレ!」
「これは……宝石箱ですか?」

 シェムハザが感嘆の溜め息を漏らすのも無理はない。それは目にも鮮やかな、煌びやかな宝箱。

「とあるモンスターの擬態に天啓を得て作りましたるがこちらの箱デ~ス!!」
「擬態……ってことはミミック?」
「そう!! ミミック!!」

 宝箱などに化けて冒険者を惑わせるのが、ミミックと呼ばれるモンスターの性質である。彼等は数多の尾を持つ小さな獣のような姿をしていて、変化と幻惑を得意としている。
 また、群れることを好まず、基本的にダンジョン内なら一階層に一体、そうでなければ彼等の魔力探知が届く限り、いわゆる縄張りが重ならないように一体ずつしか存在しない。

「コレはねぇ……こんな風に……」

 床に置かれた宝箱に向けて、自身が作り上げたアーティファクトの一つである囮人形を向かわせるショク。魔力を込められた人形はぎこちなく立ち上がり、宝箱に近づき――ばちん、と開いた箱の中から飛び出した鎖によって拘束され、抵抗も虚しく引き摺り込まれる。
 ばちん、と閉じた宝箱はしばらくじたばたと動いていたが、徐々にその動きは弱くなり、やがて沈黙する。再び宝箱が開き、吐き出された人形はぴくりとも動かない。

「……ふむ、状態異常附与。筋力低下……違うな、抵抗力低下か? 他にもいくつかあるな」
「流石御目が高い! コレはここに合うよう調整してるケド、他にも雷とか毒とか、仕込む魔法で効果は変えられるヨ!」
「中層から高層にかけて、サキュバスたちがいる階層に設置した方が活かせるな」
「そう! いやぁ、頭が良い方との話はぽんぽん進むから気持ちいいデスネ!」

 ダンジョンの主人に対する胡麻擂りを隠しもせず、手揉みしながら商品説明にかかるショク。ノーイは、主とショクの会話を注意深く、というより正直にいえば疑い深く聞きながら、自分の仕事が増えないかどうかを考えていた。
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