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一章 ヴォジャノーイ
八
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そうして四つの季節が一巡りし、ノーイはエロトラップダンジョンの雑用係として働いていた。主な仕事は、体力や魔力を搾り取られて瀕死になった冒険者の救助と事後の清掃。清掃に関しては最近やたら繁殖している、人間の体液を主食とする触手たちが頑張っているので、ノーイの仕事としては前者がほとんどだが。
最初の頃は人間の限界や助け方がわからず死なせてしまったこともあったが、今では余程のことがない限り生きて帰せている。ノーイは数多存在するモンスターの中でも、自分が最も人間についてわかっているだろうと思っていた。
「よしよし、怖かったな、もう大丈夫だぞ」
「う、うぅ、うぁあああ~!!」
そうして今日も今日とて救助活動中である。本日の被害者は、胸部と股間のみを守る鎧を纏った女戦士。ノーイは冒険者ギルドに紛れ込んだ時から、何故女戦士の一部はあんなに薄っぺらく防御箇所も少ない鎧を選ぶのかと疑問に思っていたが、彼女を見てようやくその疑問が解けた。
彼女が纏う鎧はレアアイテムで、防具としてこの鎧だけを着込んだ場合にのみ強力な魔力障壁が発生するというものだった。ノーイは素直に馬鹿かなと思ったが、レアアイテムはこのように、個性が尖ったものが多い。だから仕方のないことであった。
「ほら、食べろ。栄養は足りてただろうけど、お腹に何か入れたら安心するから」
「あり、あ、ありがとうございましゅ……」
「ちゃんとふーふーして、火傷しないようにな?」
ノーイが彼女に差し出したのは、木の椀に注いだ汁物。救助活動の間に、色々な野菜と干した牛肉をことことじっくり煮込んで作った自信作だ。というより、ノーイが何も見ずに一人で作れるのはこれと他数品しかない。
未だ小さく震えている女戦士は、呂律が回らないながらも礼を言ってその椀を受け取った。ふーふー、とノーイに言われた通りに息を吹きかけ、ゆっくりゆっくり口をつける。その目がぱぁ、と輝いたのを見たノーイは、ふふん、と内心でどやっていた。
最初はじっくりと、やがてがつがつと貪るように汁物を平らげた女戦士は、体の中から温まったこともありうとうとと眠りかける。ノーイはそんな彼女を毛布で包んでやり、よしよしと頭を撫でて寝かしつけた。
「……ん、今日もちゃんとうまいな」
それから自分の分をよそい、ずっ、と一口。まずくなりようがない材料を使っていることもあるが、中々にうまい。ノーイは自身の腕前を自賛しつつ、残りの汁物を口に入れた。
最初の頃は人間の限界や助け方がわからず死なせてしまったこともあったが、今では余程のことがない限り生きて帰せている。ノーイは数多存在するモンスターの中でも、自分が最も人間についてわかっているだろうと思っていた。
「よしよし、怖かったな、もう大丈夫だぞ」
「う、うぅ、うぁあああ~!!」
そうして今日も今日とて救助活動中である。本日の被害者は、胸部と股間のみを守る鎧を纏った女戦士。ノーイは冒険者ギルドに紛れ込んだ時から、何故女戦士の一部はあんなに薄っぺらく防御箇所も少ない鎧を選ぶのかと疑問に思っていたが、彼女を見てようやくその疑問が解けた。
彼女が纏う鎧はレアアイテムで、防具としてこの鎧だけを着込んだ場合にのみ強力な魔力障壁が発生するというものだった。ノーイは素直に馬鹿かなと思ったが、レアアイテムはこのように、個性が尖ったものが多い。だから仕方のないことであった。
「ほら、食べろ。栄養は足りてただろうけど、お腹に何か入れたら安心するから」
「あり、あ、ありがとうございましゅ……」
「ちゃんとふーふーして、火傷しないようにな?」
ノーイが彼女に差し出したのは、木の椀に注いだ汁物。救助活動の間に、色々な野菜と干した牛肉をことことじっくり煮込んで作った自信作だ。というより、ノーイが何も見ずに一人で作れるのはこれと他数品しかない。
未だ小さく震えている女戦士は、呂律が回らないながらも礼を言ってその椀を受け取った。ふーふー、とノーイに言われた通りに息を吹きかけ、ゆっくりゆっくり口をつける。その目がぱぁ、と輝いたのを見たノーイは、ふふん、と内心でどやっていた。
最初はじっくりと、やがてがつがつと貪るように汁物を平らげた女戦士は、体の中から温まったこともありうとうとと眠りかける。ノーイはそんな彼女を毛布で包んでやり、よしよしと頭を撫でて寝かしつけた。
「……ん、今日もちゃんとうまいな」
それから自分の分をよそい、ずっ、と一口。まずくなりようがない材料を使っていることもあるが、中々にうまい。ノーイは自身の腕前を自賛しつつ、残りの汁物を口に入れた。
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