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第三章 惨殺による惨殺【過去 高田富臣】
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「鏑木――お前達、こういうところで冗談とかやめろよ」
動いた――ような気がする茂みのほうへと向かって声をかけてみる。しかしながら、まるで反応がない。由美香は由美香で不安げな表情を向けてくる。これでは、確かめないわけにはいかないではないか。
茂みのほうへと向かって足を踏み出す。すると、由美香が腕をぐっと掴んできた。いや、むしろ腕を掴むというか、腕を組むと表現したほうが正しいのかもしれない。
「や、やめとこ? ここ、ミノタウロスの森だから、何が起きるか分からないよ?」
恐ろしいからなのか、ぐっと体を寄せてくる由美香。嫌でも、胸の膨らみが感じられる。下はミニスカートであるし、目のやり場に困る。
「いや、だからって鏑木と細川を放っておくわけにはいかないだろ?」
自ら意識をそらそうとする高田。なんだか、由美香の様子がおかしいと思うのは気のせいなのか。
「あの2人は私の後ろにいたから、もしかしたら帰ったのかもよ」
意識をそらそうとすればするほど、見ないようにすればするほど、由美香の胸元や脚が気になってしまう。
「いや、でも俺達を置いて帰った――なんてことはあり得ないと思うぜ」
必死になって話をそらそうとする。由美香の体から離れようとする。しかしながら、意思と切り離された本能が、それを邪魔する。
「私さ、前から高田のこといいかもって思ってたんだよね」
由美香が腕を伸ばし、首の後ろへと手を回してくる。背伸びをした彼女の胸元はぱっくりと開いており、色白な肌が見えていた。
「待った……。ほら、鏑木達が隠れて見てるかもしれないから」
なんとか言い訳をしようとする口が、由美香の唇によって塞がれた。正直な話、嫌な気はしない。でも……こんなところで。と、いう気持ちもあった。
「大丈夫だって。ここなら誰も来ないし」
確かに由美香の言う通り、ここに来るような人間はいないことだろう。けれども、鏑木達が近くにいることは間違いない。それなのに、どうして由美香はこんな大胆なことができるのか。
もう一度、唇を塞がれる。ねっとりと舌が入ってきて、それに高田も絡ませる。
すぐ近くの茂みが、がさりと音を立てた。それも、一度ではない。二度、三度と。しかし、快楽に身を任せてしまった高田は聞こえないふりをした。それはきっと由美香とて同じであろう。
ミノタウロスの森での夜は、妖艶に――それでいて狡猾に、ゆっくりと更けていく。
動いた――ような気がする茂みのほうへと向かって声をかけてみる。しかしながら、まるで反応がない。由美香は由美香で不安げな表情を向けてくる。これでは、確かめないわけにはいかないではないか。
茂みのほうへと向かって足を踏み出す。すると、由美香が腕をぐっと掴んできた。いや、むしろ腕を掴むというか、腕を組むと表現したほうが正しいのかもしれない。
「や、やめとこ? ここ、ミノタウロスの森だから、何が起きるか分からないよ?」
恐ろしいからなのか、ぐっと体を寄せてくる由美香。嫌でも、胸の膨らみが感じられる。下はミニスカートであるし、目のやり場に困る。
「いや、だからって鏑木と細川を放っておくわけにはいかないだろ?」
自ら意識をそらそうとする高田。なんだか、由美香の様子がおかしいと思うのは気のせいなのか。
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意識をそらそうとすればするほど、見ないようにすればするほど、由美香の胸元や脚が気になってしまう。
「いや、でも俺達を置いて帰った――なんてことはあり得ないと思うぜ」
必死になって話をそらそうとする。由美香の体から離れようとする。しかしながら、意思と切り離された本能が、それを邪魔する。
「私さ、前から高田のこといいかもって思ってたんだよね」
由美香が腕を伸ばし、首の後ろへと手を回してくる。背伸びをした彼女の胸元はぱっくりと開いており、色白な肌が見えていた。
「待った……。ほら、鏑木達が隠れて見てるかもしれないから」
なんとか言い訳をしようとする口が、由美香の唇によって塞がれた。正直な話、嫌な気はしない。でも……こんなところで。と、いう気持ちもあった。
「大丈夫だって。ここなら誰も来ないし」
確かに由美香の言う通り、ここに来るような人間はいないことだろう。けれども、鏑木達が近くにいることは間違いない。それなのに、どうして由美香はこんな大胆なことができるのか。
もう一度、唇を塞がれる。ねっとりと舌が入ってきて、それに高田も絡ませる。
すぐ近くの茂みが、がさりと音を立てた。それも、一度ではない。二度、三度と。しかし、快楽に身を任せてしまった高田は聞こえないふりをした。それはきっと由美香とて同じであろう。
ミノタウロスの森での夜は、妖艶に――それでいて狡猾に、ゆっくりと更けていく。
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