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最終問題 クイズ 誰がやったのでSHOW【エピローグ】

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「で、他に真新しい情報はねぇのかよ? これじゃ、ほとんど近況報告じゃねぇか」

 定例会だなんていったところで、主たる情報源は長谷川を頼るしかない。むしろ、小野寺がどうなったのか、またビルの取り壊しが決まったなど、情報が入ってくるだけありがたいと思わねばならないだろう。けれども、そろそろ定例会の意義に疑問を感じ始めているのも事実だ。

「仕方がないだろ。あの事件は、俺達がどう足掻いたって、集団拉致監禁事件で済まされていたんだ。特に少数よりも大勢の声が大きい国だからな。俺達がどんなに事件のことを訴えたって、揉み消されたうえに掻き消されて終わりだ。もうどうしようもないんだよ」

 本末転倒なことを言ってしまう長谷川。それでは、わざわざこうして定例会で集まっていること自体、まるで意味がないではないか。

「そろそろ、この定例会もお開きかな。こうして集まったところで、何か進展があるわけじゃないし、仮に何かを掴めたとしても、私達一般市民の話なんて、誰も聞いてくれないだろうから」

 何度主張しても、どれだけ訴えても、警察はこちらの言い分をまるで聞いてくれなかった。そんな扱いを受けてしまったからこそ、どうしても後ろ向きになってしまう。

「――本当に、あの番組が実在したって証拠があれば、きっと隠蔽されたりしないんだろうがな」

 ふと、思い出す。あの番組は、一度録画したものを、時間をずらして小野寺に見せていたはず。本人が言っていたのだから間違いない。となると、録画した映像が残っていたりしないのだろうか。

「あの時の映像――あれってどうなったんだろうな?」

 ぽつりと漏らした言葉。どうしてこれまで気づかなかったのだろうとばかりに、アカリと長谷川が顔を見合わせる。

「あの映像さえあれば、さすがに警察も蔑ろにはできなくなるだろうな。まぁ、今さらかもしれないがな」

 長谷川の言葉にアカリが続く。

「私達が脱出する時、カメラってどこにあったっけ?」

 言われて当時の記憶を掘り起こす。がしかし、少なくとも脱出する直前には、どこにも見当たらなかったような気がする。もし視界に入っていれば、それこそカメラを持って外に出るという発想になったかもしれないし。

「記憶にないというか、あの時は外に出ることに必死だったからなぁ。そんなことにまで頭が回らなかったよ」

 長谷川の言葉に自然と頷く九十九。あの状況下であれば、誰だってカメラにまで注意を払わなかったであろう。
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