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第4問 死神と駅の中で【エピローグ】

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 観音開きの扉がゆっくりと開かれる。まず真っ先に飛び込んできたのは、気味が悪いほどに輝くネオン管だった。きらびやかでありながら毒々しいそれは【クイズ 誰がやったのでSHOW】との文字列を作り上げていた。安っぽいBGMが鳴り響き、たった1人による手拍子が聞こえ始める。

「さぁ、お待たせいたしました! いよいよ登場です。9人目の解答者――小野寺心さんです!」

 自分の名前が声高々に紹介される。どうやらスタジオの中央に立つ見慣れた男――藤木によって紹介されたようだった。解答席のほうへと視線をやると、空席はあるものの解答者達が座っている。

「ほら、行くぞ。解答席のほうに向かえ。空席があるから、好きな席に座ればいい」

 出雲に言われて歩き出す。まだ銃口は突きつけられたまま。小野寺は言われるがままである。頭の中ではパニックに次ぐパニックが生じていたが、今はとにかく出雲に従うしかなかった。

 解答席に向かうためには、スタジオの中央を通る必要がある。そちらのほうに向かう小野寺のことを、さらに深く掘り下げて紹介する藤木。

「小野寺心さんは、東京都練馬区在住。現在は無職ですが、かつては刑事をしていらっしゃいました。しかし、数年前に事故に遭ってしまい、重い記憶障害が残っておられます。これまでは別室にて、この番組を見守っていただいておりました! さて、なぜ彼が今になって解答者として参戦するのか? それは解答者の皆さんで解き明かしてください!」

 察するに、これから小野寺は解答者として番組に参加することになるらしい。その理由はおそらく――まだ信じられはしないが、自分が悪徳刑事であったという過去と関係があるのだろう。

 スタジオの中央に差しかかったところで、出雲が小野寺から離れる。思わず振り返るが、出雲に「いいから行け」と指示をされ、そのまま解答席へと向かった。背後では藤木のマイクパフォーマンスが続く。

「そして、9人目の解答者の方と一緒に登場されました謎の男。この男の正体は果たしてなんなのか? ご本人の口から明かしていただきましょう!」

 空いていた席に座る小野寺。座ったのは、かつて司馬が座っていた席だった。当たり前だが、解答者達からの視線が集まり、実に居心地が悪い。それでも、小さく溜め息をつくと着席する小野寺。出雲へとマイクが渡り、そしてBGMがぴたりと止まった。しばらく間を置いてから、出雲はマイクに向かって――いいや、小野寺を含む解答者へと向かって、こう言い放ったのであった。

「あー、どうも。黒幕の……出雲健永です」


【第4問 死神と駅の中で ―完―】
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