遅発性Ω

枝浬菰

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第三章

嫉妬

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家に帰ると眠たそうにゆっくり体操着を脱ぐ。
「航平、先にお風呂入らない?」

「うーん」
もう寝そうだ。

どろんこまみれなので、簡単に風呂にいれた。


「ただいまー」
風呂場のドアが開けられる。

「あ、おかえりなさい」
「どうだった?」

「航平、かけっこで1位だったよ、すごく頑張ってたから驚いちゃった。
「そっか、よかった、俺のことなにか言ってた?」

「特には、あ、運動会行きたくないって駄々こねてただけ」
「そっか、着替えてくるな」

「うん」
航平を洗ったので拭き上げ寝室に寝かせた。
「よく、頑張りました」
頭を撫でた。


「恭平さん、これからごはん!!?」
ずいっとこちらにきた。

「なに?」

「誰の臭い?」
「におい?」

首筋を嗅ぐ。
「え? ちょっ」
舌が首筋を這った。
ビクリと体が疼く。

「もしかしたら、運動会の時に航平のお友達、瑠衣くんのお父さんと一緒にいてその人αだったからそれのにおいかな?」


くんくんと自分で嗅ぐがあまり分からない。


「航、こっちきて」と風呂場に連れていかれた。

服を脱がされ、頭からお湯をかけられる。
「全身、そいつの臭いしてヤダ」

もしかして嫉妬してる?


わしゃわしゃと髪の毛を洗われ、体も綺麗に洗われ、ソファーで髪の毛をドライヤーで乾かし、恭平さんが抱き着いてきた。

「これで俺の匂いになった」

満足したのか風呂に入っていった。

……。

「ぷはっ」
面白くて笑ってしまった。
恭平さんでも嫉妬してくれるんだと。

よし! 夜ごはん作ろう!!


航平が目を覚まし、起きてきた。
「お母さん」
「ん?」

「僕、いつの間にお家帰ってきたの?」
「運動会終わって帰ってきたんだよ」

「そうなの?」
「うん、航平今日はよく頑張りました、大好きなスパゲッティ作ったよ」
「わぁーい!! やった!!」

「航平、運動会お疲れ」
「お父さん、おかえりなさい!! 僕ね僕ね」

航平が恭平さんを見つけたとたん、走って抱き着き、抱っこしてもらい。
「ご飯食べながらしよっか」
「うん」


「僕ね、今日かけっこで1位とったんだ」
「え!? それはすごいじゃないか、もちろん動画は?」
「あるよ」

「後で一緒に見ような」

「うん!!」

上映会をしてその日が終わった。

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