遅発性Ω

枝浬菰

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第三章

くーくんの治療

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「……ガタガタだ」
反対の耳を見ると、汚いのがよくわかる。

「あーーー」

ガクりと机に顔を擦り付ける。


「どうしたの?」
航平がこちらにきた。

「ごめん航平、お耳うまくなおせなかった」
くーくんを渡すと、じーっと見ている。


「でもお耳なおってるよ」
我が子が優しすぎて本当に泣きそうだ。

「なおってる、これで大丈夫??」
「うん、だってお母さんがなおしてくれたんだもん」

天使!! ぎゅっと抱きしめる。


「お母さん、苦しい」
「ごめんね」

「そうだ、余ったフェルトでくーくんのお友達作ろうか!!」
「え! やったー!!」

天使にまたふわりと花が咲き、笑顔が見たいためにできないことをやり始めた。


「くまの型紙コピーして、これで縫い合わせればいいんだよね……、かがり縫い……ってなに?」

ネットで調べるとよく、クッションなどに用いられる技法らしい。

「なるほど、そんなに難しくなさそうだ」


そしてまた針に糸を通すところに直面した。
「うぐぐっ……」

「お母さん?」
「ちょっと待ってね」

「僕、やろうか?」
「大丈夫、もうちょっとだから」

「んじゃ俺がやるよ」
ひょいっと恭平さんにとられ、またしてもすっと気持ちよく入っていくのを目の当たりにした。

……。

もうなにも言い返せない。


「で、次はなにすんの?」
「くーくんのお友達を作るんだよ!!」

「すごいじゃん、航のアイデア天才!!」
「……この型紙を合わせて作るみたいなんだけど、恭平さん、わかる?」

「ん? 俺はそういう系やったことないから分からん」

じゃぁなんで糸通せるんだよ!!

「ふぅー、やるぞ!!」

30分後
「お母さん? 糸出てるよ」
「かぁー!! 難しい」

「航がカラスになったww」


最後まで縫い終わって気づいたことがある、いつ中に入れるんだ?

「ぺちゃんこなの?」

「いや、綿を……って買うの忘れた!!」
「アハハ、いろいろ忘れてるじゃん」


「うう……なんか柔らかいの入れようか」
と探しに行くと

「お母さんこれは?」
「お! このプチプチいいじゃん! 航平ナイスアイディア」

綿の代わりにプチプチを入れる、そうだ、糸外さなきゃ。

がっくりとしたが、航平の笑顔のためなら。
と作りなおした。

「で、できた」

「でも、お母さん、糸」

「そこは、見ないで」

糸が出ているのが気になる航平と見られたくない俺。

「でもお母さんが作ってくれたくまさん可愛い」
咲き誇る笑顔が可愛すぎてぎゅっと抱きしめた。


「お名前どうする?」
「くーちゃん?」

「いいんじゃないか?」
「そうだね、じゃぁくーちゃんにしようっか」

「お母さん、あひるさんもほしい」
「あひるさんも!!?」

突然な申し出で戸惑いながらもくーちゃんにあひるを付けたストラップが完成した。
出来はまぁまずまずだが航平が喜んでくれることが一番なので、少しずつうまくなれるように頑張ります。


ということで
航が作った「くーちゃん(あひる付き)」がラ○マとBOO○○にて販売しています。

ってのをやってたんですけど売れなかったので没になりましたwwww
by枝浬菰
くーちゃん↓↓
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