遅発性Ω

枝浬菰

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第一章

肉体美

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「あのー」
バックヤードに顔を出す島根

「どうした?」
「柊さん、澤田様がお呼びです」

「わかった、ありがとう」
「おい、大丈夫か?」

「はい」

心配する杉本の顔が見えたがバックヤードを後にする。


スイートルームに向かい部屋をノックする。
「来てくれてありがとう」
と澤田様が迎え入れた。

澤田様がこちらを向いている。
「あれ? なんかつけた?」
「え? いえ、先ほどまで他のお客様のところにいたので、その香水でしょうか」


「香水…」
と考えている、もしかしてΩの匂いか? 
と心配になる。

「ちょっと疲れたから肩揉んでほしいんだけど」
「かしこまりました」

「さっきフロントに連絡してマッサージ師をって頼んだら、柊くん、上手ですよって言われちゃってさ」

「そうだったのですね、ありがとうございます」
うつ伏せになる澤田様。

オイルなどは風呂場に完備されているのでそれを持ってきて手に塗るが
あっヤベ。

上半身捲り忘れた。

「あの、澤田様、大変申し訳ございませんが」
「ん?」

「オイルを手に塗ってしまいましたので、上半身脱いでいただいてもいいですか?」
「ふふっ柊くんもドジることあるんだね」

「ハハっ」
と苦笑いをし肉体美が露になる。

「ん?」
「すごい、筋肉ですね」

「あー、仕事柄ね」
あれ? 仕事は翻訳者じゃなかったのか?
と疑問な顔をしていると


「あーなんかたまに肉体労働なこともするからさ、それで鍛えてるんだ」
と答えた。

「そうだったんですね」
「うん」

「では」
と背中にオイルを塗りこむが、すごい筋肉、少し興味がわいてしまう。

肩にもオイルをつけて力を入れるがビクともしない。
「あのーこれでマッサージできてますか?」

「うん、大丈夫だよ、なんか眠くなってきちゃうな」

「寝ててもいいですよ」
「うーん、そういえば、他のお客さんにもこういうことしてるの?」

「こういうことはマッサージですか?」
「うん」

「はい、仕事なので」
「そっか」

ぐいっと引っ張られる。
え?

俺は本日2回目のベッドに仰向けになっている。

「あの?」
「なんか妬けちゃうな」

「え?」
「ねぇこのまま俺のここ触ってよ」
と手を掴まれ、胸筋を触る。

「ボコボコしてますね」

「うん、こういうこともできるよ」
胸筋が動く。

面白くて笑ってしまう。
「ほら、そういう顔」
と覗き込まれる。

「柊くん、変な男に捕まらないようにね」
俺の上からどき、
「もうマッサージ終わり、夕飯まで一人でいたいからまた呼ぶね」
といい俺を部屋から出した。

・・・。
ん?

澤田様はいったいなにをしたかったのか疑問が浮かぶ、夕飯まで一人と言っていたのでバックヤードに戻るか。
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