成り上がり令嬢暴走日記！

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（……待って？　あれ？　そもそもうちは、ボスハウト家は大丈夫？　ユリアの願い通り私が悪役で退場、レオンと結婚。　ーーなんやかんや上手くいって、レオンが王太子になっちゃった場合はヤバそう。　ーーでも、娘が未来の王太子妃に嫌がらせをした為お家お取り潰し……ーーとかは流石に無いよね？　現王太子妃なら話は変わるだろうけど、今のユリアはただの伯爵令嬢……ユリアが私を嫌ってようと憎んでようと、勝手に取りつぶしには出来ない……よね……？　ーーそもそも……ユリアとレオンが結婚して、レオンが王太子とかなれるのかなぁ……？　レオンがーーというか、ユリアが王太子妃にならなきゃ、家うちは取り潰されたりしない……？）

　そこまで考えたところで、ビアンカに名前をよばれ、リアーヌは驚いたように大きく目を見開いた。

「ーーずいぶんな顔を披露していらっしゃるけれど、自覚はございまして？」
「そこまで……？」

　リアーヌは自分のほほをムニムニと押さえながら、ヘラリと愛想笑いを浮かべた。

「ーーなにをそんなに悩んでいましたのよ？」

　ビアンカは生徒も帰り始めた教室内に少し視線を走らせ、リアーヌの隣の席の生徒が帰っていることを確認すると、そこに腰掛けながら首を傾げた。
　どうやらリアーヌは、帰りのホームルーム中に物思いに耽っていたらしく、気がつけば生徒の大半が教室を出ていった後だった。

「あー……ーー仮説に仮説を重ねていったら、最終的に訳が分からなくなりました……」
「……なにか一つでも確かなことはありますの？」
「……レオン様がクラリーチェ様と婚約破棄なんかしたら、シャルトル家はレオン様の敵になるーーぐらい？」
「……とてつもなく縁起の悪い話だし……ーー結局それだって仮定の話じゃない……」
「ーーごもっとも」
「つまりーーかの方がどうして貴女をターゲットにしたのか、ってことを考えていますのね？」
「……その通りでございます！　さすがは大先生！」
「……その疑問は皆様、もうすでに持たれていらっしゃるのよ……」

　呆れたようにため息混じりに答えるビアンカに、リアーヌは身体を乗り出しながら（これで答えが分かる！）と顔を輝かせながらたずねた。

「ーーで⁉︎　なんでだと思う⁉︎」
「……さっぱりね」
「ええー……？」
「ーーちなみにボスハウト家としてはどうなさいますの？　ーー子爵様のご意見は？」
「あー……ヴァルムさんたちはなんか色々話し合ってたけど……ーー父さんはとくになにも言ってなかったような……？」

（ーーまぁ……うちの父さん、感覚派だから、基本話し合いの時ってあんまりしゃべらないんだけどさー……）