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 胸を張って答えるリアーヌに、船員たちは「そこは『私すごいんで!』じゃないんだな……?」と、苦笑いを浮かべ合う。

「……うちの執事や侍女たちが居なかったら、ギフト持ちってことで専門学科にしか入学できてませんでしたよ……?」
「……ーーボスハウトの使用人、凄ぇな?」

 眉をひそめ、当然のことのように話すリアーヌに、その話が真実なのだと理解した船員たちは感心したようにアンナたちを振り返るのだった。
 それに困ったように微笑み会釈を返すアンナたち。
 その仕草を見て船員たちはさらに話に花を咲かせ始めた。

「今は子爵でも、元は公爵様だもんなぁ?」
「そりゃ、その血筋なら優秀な使用人だって雇ってられるよなー?」

(……私たちにその血は流れてないのにね……? ザームの子供にはその血筋が戻るから、もう少し我慢してください! 花園に人が増えたから、なんか予算が増えたって話だし、少しはボスハウト家おっきくなったと思うんで!)

「……ん? だとしても……嬢、六歳ぐらいから稼いでたことにならねぇか……?」
「いやそれは……」
「流石に……」

 そう言葉を交わし合いながら、伺うような視線をリアーヌに向ける船員たち。
 そんな視線を受け、リアーヌはこともなげに頷く。

「そうですよ?」
「ええ⁉︎」
「いくら力が使えるからって……どうやったんだよ?」
「それは……あー……ーー実は私、違うギフトも使えまして……」
「――ダブルってやつか!」
「……そういや坊の婚約者、風持ちだなんて聞いたことなかったな?」
「そういえば……ーー確か……?」

 そう言い合いながら首を傾げる船員たちにクスリと笑いながらリアーヌは答える。

「コピーって言って、なんにでも印刷できる能力なんですけど」
「あー! それだそれ! 陶器や革製品にだって印字出来るんだって言ってた!」
「……意外に詳しいですね……?」

 隠していたことではなかったのだが、まさかこんな初めましての人物にまで自分のギフトのことを知られているとは思わず、リアーヌはかすかに頬を引きつらせた。

「そりゃ、こっちからしたら、坊の婚約者だからなぁ?」
「しかもあの坊が惚れに惚れ込んで、王様に頼み込みにいっちまったんだろ⁉︎」
「一時期はその噂で持ちきりだったよなぁ⁉︎」

(……それは確かに噂になりそう。 近所の息子の嫁の情報ですら、母さんたち超詳しかったもんな……? その話に王様のエピソードまで加わったら、もはやその話は娯楽同然……ーーむしろ娯楽ゲームのシナリオだもんなぁ? そりゃ面白おかしく言われるか……)
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