成り上がり令嬢暴走日記！

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　ブツブツと検討を始めたゼクスと、その隣でそんなゼクスを見つめているリアーヌ。
　ーーそしてそれを遠巻きに眺めている他の面々。

「……職種によっては、どれだけ説明しても使い切ることを拒否する者たちが出そうだな？」
「……護衛や医者ーー……主人を持つ使用人は、どんな能力、どんな職種であれ、いざという時使えないことを良しとはしないのでは……？」

　フィリップの言葉にパトリックが眉を下げながら答える。
　フィリップの後ろではラルフとイザークがはっきり頷きながら同意している。

「……つまり、子供の頃ならば、ほとんどの者たちが気兼ねなく力を伸ばせるのでは……？」
「ーーその通りですね⁉︎」
「まぁ……レジアンナ様は目の付け所が違いますわ⁉︎」

　ポソリとつぶやかれた言葉にビアンカは目を丸くし、クラリーチェは尊敬するようにレジアンナを見つめていた。
　それにまんざらでも無いように返事をする。

　そんなやりとりを見つめながら、リアーヌはそっとゼクスにたずねかける。

「ーーあの、子供の頃って力を使い切らないもんですか……？」
「……その家や個人の考えがあるだろうから断言はできないけれど……――俺はあまり人前で使うなといい含められていたよ？」
「あー……」

（『魅了』だもんなぁ……）

「……私、無意味にコピーしまくってたんですけど……これ、私が少数派なんですかね？」
「……ーー使ってみたくなる気持ちは分かるかな……？」
「ですよね⁉︎」
「でも、ほっといてもリアーヌみたいにたくさん使える子供ばかりじゃない……危険とされるギフトもあれば、それを許さない家庭環境の場合もある」
「あー……魔法系？」
「火魔法や雷魔法なんてギフトは特に厳しく躾けると思う。　家が火事になったら大変だし、魔法系はどれも威力が凄いからね……遊び半分で使わせられないんじゃ無いかな？」
「確かに……」

　ゼクスの説明に「なるほど……」と、頷くリアーヌの奥で再びレジアンナたちが会話を始める。

「……つまりそのような子供たちには練習の場や、たくさん使える環境が必要……」
「ーーそれをもたらすことが出来れば、大きな貸しを作ることも可能……」

　レジアンナとクラリーチェがギラリと目を光らせながら言葉を交わし合いーー
　ビアンカはリアーヌやゼクスの会話を脳内に刻み込みながら、チラチラと視線を走らせてメモやペンを探していた。
　アロイスに伝えるべき内容を少しでも多く正確に覚えておきたいようだった。

「……そうなるとやはり問題は大人か」

　神妙な顔つきでフィリップが呟き、レオンやパトリックたちが同じような顔つきで頷き返した。