ブラッディラビット

湖森 紅葉(こもり こうよう)

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「うさんくさいと思っていましたが悪魔······いえ、獣人でしたか。その耳は猫ですね」

 ライラは女性の耳をじっと見つめながら言った。

「ばれてしまったにゃらしょうがにゃい。そうにゃ。ウチは猫人族にゃ。お前達の言うところの悪魔にゃ」

 女性は立ち上がり帽子をかぶり直す。

「それで、どうするにゃ? ウチを捕まえて道具として利用するのかにゃ? それとも処刑するのかにゃ? どっちにしろクソくらえにゃ」
「そんなことはしません」
「ウチが生きていることをアイツが知ったら今度こそウチはおしまいにゃ。いっそ······そうにゃ、こうにゃったら一か八かアイツに気づかれる前にうって出るにゃ」
「猫さん、落ちついて。猫さん?」
「そこをどくにゃ。邪魔するにゃら······」

 マナリアの言葉に聞く耳を持たずに女性は動いた。一番近くにいたライラに当て身をくらわすと、そのまま持ち上げてフィルに向かって投げつける。

「ぐっ······!」
「うおっ、と危ねぇ」

 フィルはライラを盾で受け止めた。崩れた体勢を素早く立て直してライラを庇うようにかまえる。
 女性はライラには向かないでマナリアに襲いかかった。いつの間にか女性の爪が鋭く長く伸びている。マナリアが剣で左の爪の攻撃を受けてもその爪は折れなかった。それどころかギリギリとマナリアを圧している。

「くぅっ」
「お嬢っ!」

 女性が右の爪をふり上げる。フィルが走るが間に合いそうにない。アイリスの方が近い。
 アイリスはとっさに女性の右腕に飛び付いた。抱え込んでマナリアから引き離そうと引っ張る。

「マナリアさんから、離れて······っ。わ!?」

 女性が後ろへ飛んだ。腕を掴んだままのアイリスも一緒に。アイリスが腕を離す前に女性は更に飛び、アイリスを壁へ激突させた。

「がっ」 

 頭をぶつけた。目の前がチカチカする。体に力が入らない。
 ずるりと壁にそって落ちていくアイリスを女性が抱えあげた。首筋に爪がそえられる。

「動くにゃ。この子がどうにゃってもいいのかにゃ」
「アル!」

 マナリアが叫んだ。
 マナリアとフィルは剣をかまえたまま動けない。ライラは地面に倒れている。
 
「それでいいにゃ。ウチの邪魔したらこの子がどうにゃるかわからにゃいにゃ」

 女性はアイリスを人質にしてマナリア達から逃げ出した。

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