お姉さまは最愛の人と結ばれない。

りつ

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姉の瞳に映るもの

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 部屋に入り、銀のトレイに載せられた皿の中身を見てクロエは眉をひそめた。

「お姉さま。また少ししか食べなかったの?」
「だってもうお腹いっぱいなんですもの」
「それでも食べないと元気になれないわよ」

 ほら、とスプーンでスープを掬って口元に運んでも、エリーヌは困ったように微笑むだけだ。クロエはため息をつき器ごとトレイの上に戻した。姉はごめんなさい、と小さくつぶやき、また窓の外へと目を向けた。

「ね、クロエ。アルベリク様は今日はいらっしゃらないのかしら」
「……午後から伺うと連絡があったわ」
「ほんとう?」

 こちらを振り返り、嬉しいと姉ははにかんだ。クロエは内心苛立ちながらも呆れた口調でからかった。

「本当にお姉さまはモラン様のことがお好きね」
「だってとても素敵な人じゃない」

 彼のことを語るときだけ、姉は年相応の少女の顔をする。身体が弱いのに起き上がって、頬を上気させ、饒舌になる。生きる希望に満ち溢れる。

 クロエには決してできないことだった。

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