暴君王子は恋を知る

まぁ

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 アンリはその後、ヒースルー家の方へと連絡を入れ、今回の騒動をウィードの家とも相談した。
 結局ウィードは自ら辞意を申し出たので、ウィードの家もそれを受理。代理の秘書をウィードの家元から選ぶか、他所から引き抜くかで話し合ったが、今のところ一人でも十分なので、秘書はしばらく置かないと言った。
 だが仕事関係の連絡等はイギリスにいる兄アレンの秘書をしている者から送られてくる事になる。
 アレンは日本で伊澄という優秀な秘書がいるが、本家にもいる。ただ本家の秘書はヒースルー家の総合的な秘書でもあり、伊澄以上に口うるさいからとアレンが置いていったのである。
 ウィードからは「大変申し訳ない事をした。以後ヒースルー家に近寄らない」と代理を通して言ってきた。
 ヒースルー家という相手が相手なだけに、警察に届けるか。弁護士が、裁判がなどと揉めたので、面倒だからとアンリは近寄らないという条件だけで不問にした。
「仕事に関しては文句はないんだけどなぁ……まさかあんな行動とられるとも思わなかったし」
「けど俺のかわいい恋人を傷つけたやつだ。本当なら俺が制裁を加えたいくらいだ」
「お前が言うとなんか怖い。てか恋人って……」
 隣で恋人然として座る和史に、アレン引越し騒動から少し経った頃にウィードの事を話した。
「恋人だろ?それとも違うのか?」
「……違わなく、ない……」
 恥ずかしそうに俯きながら言うアンリの顎を捉え、上向かせると、和史はすぐに唇を奪う。
「お、おい!いきなりは止めろよ!」
「そんなかわいい顔して言うお前が悪い」
「か、かわいいとか言うな!」
「かわいい以外何がある?それよりも俺の事、好きって言って欲しいがな」
 セックスの時ならまだしも、巣表で好きなど、恥ずかしがり屋のアンリにはハードルが高い。未だ和史の名前も言えないくらいだ。
「べ、別に言わなくてもわかるだろ?」
「わかるわからないとかじゃなく、お前の口から聞きたいんだがな?なんだったら言わないとお仕置きにしようか?まだ俺の為に買ったおもちゃはいっぱいあるし」
「あ、あれを使うのは卑怯だ!」
 あれ以降、アンリは買ったおもちゃの使い方を一つ一つ調べた。知ったアンリはなんてものを買ったんだと赤面してしまったくらいだ。
 イボが着いた卑猥なバイブに始まり、貞操帯や尿道プラグなど、初心者にはかなりハードルが高いラインナップだ。だが和史はその一つ一つを「アンリが俺と楽しむ為に買った」と思い込み、使う気満々でいるのが最近の悩みである。
「アンリのかわいい姿も態度も俺だけが知っていればいい」
「な、何言ってるんだよ!」
「ん?知らないのか?お前以上に俺は独占欲の塊だ。お前が他の男にそんな顔を見せるのは嫌なんだよ」
「そんな顔ってどんな……」
「こういう顔」
 そう言うと和史はアンリを押し倒し唇を奪う。そのキスはすぐに深くなっていった。
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