25 / 43
25
しおりを挟む
その言葉にギクリとなったアンリだが、自分の性癖などを知られるわけにはいかない。すぐさま否定をした。
「ち、違う。まぁ確かに日頃世話にはなっているがな……」
「お世話でしたら、私もアンリ様を秘書として支えています!」
「それは業務だろう?何だ?労って欲しいのか?」
「そういう意味ではありません……」
一体ウィードが何を言いたいのかさっぱりわからないアンリは首を傾げる。ウィード自身、自分の気持ちを知ってほしいのなら和史のように多少強引でもいかないとわかってもらえない。それほどアンリは鈍感なのだ。
「それよりもこの間の案件の詳細。お前の方に送っておいたから確認してくれ」
「畏まりました」
すでにビジネスモードに入ったアンリは、和史が持って来たフルーツをチラリと見てぶどうを一粒口に含んだ。噛んだ瞬間に甘みと酸味が口いっぱいに広がった。メロンも程よい完熟具合で甘かった。
(なんだかんだいつもよくしてくれてるんだよなぁ……)
まだ和史に対して好きとは言えないが、日常生活でもおおいに世話になっているので感謝はしているし、それを言葉にしたいとも思うが、それをわざわざ口にするのはなんだか恥ずかしい。
(そうだ!物ならいいのでは?)
言葉が無理なら物にしょうと思ったアンリ。だが財閥御曹司でありながら、普段物には執着がない分、物の値段も何を贈ればいいのかもわからない。贈る事が発生した場合はいつもウィードに任せている。だがこれだけは自分で選びたい。
「ウィード。今日は終わったら銀座に行く」
「はい?何かお探しでしたら私が買ってきますが?」
「いやいい……自分で見て選びたい」
さて何を贈ろうか。アンリの頭の中にはあれもこれもと浮かぶ。よく言う高すぎず安すぎずも、どの幅を安いで、どのくらいから高いのかはまったくわかっていなかった。しかし日本のいい品は銀座にあるという謎知識があるアンリは、銀座に行けば何かしら見つかるだろうと考えた。
仕事を終えたアンリは銀座にあるメンズスーツからアクセサリまでを扱う店に足を踏み入れた。店員に何を探しているか聞かれ、贈り物を探していると言うと、カフスやタイピンなどを進められた。
「十万か……随分安いな」
「えっ?」
興味を持たない分、金銭感覚がおかしいアンリは、十万のタイピンを安いと言って店員を驚かせる。それを見て十万は高いのだと気が付いた。
「あぁ、じゃあもう少し値段を抑えたので……」
「こちらなどいかがですか?」
「うーん……ちょっと派手かもしれないな。もう少し地味めな……」
金銭感覚はおかしいが、物を見る目はあるので、どんな感じがいいかなどを店員に言い、おそらく妥当であろう金額のタイピンやカフスを選んだ。
「さて、これをいつ渡すのがいいか……」
今日もどうせ来るはずだ。ならその時にそれとなく渡せばいいだろう。小さな紙袋を手にニコニコしながらマンションへと戻ったアンリ。しかし今日に限って和史は仕事でミスがあったとかで来れないと電話があった。
「なんだよそれ……」
不貞腐れるアンリはスマホをベッドに投げた。せっかくのプレゼント。和史がどんな顔を見せるか楽しみだっただけに、肩透かしを食らったように感じた。
「ち、違う。まぁ確かに日頃世話にはなっているがな……」
「お世話でしたら、私もアンリ様を秘書として支えています!」
「それは業務だろう?何だ?労って欲しいのか?」
「そういう意味ではありません……」
一体ウィードが何を言いたいのかさっぱりわからないアンリは首を傾げる。ウィード自身、自分の気持ちを知ってほしいのなら和史のように多少強引でもいかないとわかってもらえない。それほどアンリは鈍感なのだ。
「それよりもこの間の案件の詳細。お前の方に送っておいたから確認してくれ」
「畏まりました」
すでにビジネスモードに入ったアンリは、和史が持って来たフルーツをチラリと見てぶどうを一粒口に含んだ。噛んだ瞬間に甘みと酸味が口いっぱいに広がった。メロンも程よい完熟具合で甘かった。
(なんだかんだいつもよくしてくれてるんだよなぁ……)
まだ和史に対して好きとは言えないが、日常生活でもおおいに世話になっているので感謝はしているし、それを言葉にしたいとも思うが、それをわざわざ口にするのはなんだか恥ずかしい。
(そうだ!物ならいいのでは?)
言葉が無理なら物にしょうと思ったアンリ。だが財閥御曹司でありながら、普段物には執着がない分、物の値段も何を贈ればいいのかもわからない。贈る事が発生した場合はいつもウィードに任せている。だがこれだけは自分で選びたい。
「ウィード。今日は終わったら銀座に行く」
「はい?何かお探しでしたら私が買ってきますが?」
「いやいい……自分で見て選びたい」
さて何を贈ろうか。アンリの頭の中にはあれもこれもと浮かぶ。よく言う高すぎず安すぎずも、どの幅を安いで、どのくらいから高いのかはまったくわかっていなかった。しかし日本のいい品は銀座にあるという謎知識があるアンリは、銀座に行けば何かしら見つかるだろうと考えた。
仕事を終えたアンリは銀座にあるメンズスーツからアクセサリまでを扱う店に足を踏み入れた。店員に何を探しているか聞かれ、贈り物を探していると言うと、カフスやタイピンなどを進められた。
「十万か……随分安いな」
「えっ?」
興味を持たない分、金銭感覚がおかしいアンリは、十万のタイピンを安いと言って店員を驚かせる。それを見て十万は高いのだと気が付いた。
「あぁ、じゃあもう少し値段を抑えたので……」
「こちらなどいかがですか?」
「うーん……ちょっと派手かもしれないな。もう少し地味めな……」
金銭感覚はおかしいが、物を見る目はあるので、どんな感じがいいかなどを店員に言い、おそらく妥当であろう金額のタイピンやカフスを選んだ。
「さて、これをいつ渡すのがいいか……」
今日もどうせ来るはずだ。ならその時にそれとなく渡せばいいだろう。小さな紙袋を手にニコニコしながらマンションへと戻ったアンリ。しかし今日に限って和史は仕事でミスがあったとかで来れないと電話があった。
「なんだよそれ……」
不貞腐れるアンリはスマホをベッドに投げた。せっかくのプレゼント。和史がどんな顔を見せるか楽しみだっただけに、肩透かしを食らったように感じた。
0
あなたにおすすめの小説
【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】
古森きり
BL
【書籍化決定しました!】
詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります!
たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました!
アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。
政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。
男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。
自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。
行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。
冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。
カクヨムに書き溜め。
小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
【16話完結】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている
キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。
今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。
魔法と剣が支配するリオセルト大陸。
平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。
過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。
すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。
――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。
切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。
お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /チャッピー
AI比較企画作品
過労死転生した公務員、魔力がないだけで辺境に追放されたので、忠犬騎士と知識チートでざまぁしながら領地経営はじめます
水凪しおん
BL
過労死した元公務員の俺が転生したのは、魔法と剣が存在する異世界の、どうしようもない貧乏貴族の三男だった。
家族からは能無しと蔑まれ、与えられたのは「ゴミ捨て場」と揶揄される荒れ果てた辺境の領地。これは、事実上の追放だ。
絶望的な状況の中、俺に付き従ったのは、無口で無骨だが、その瞳に確かな忠誠を宿す一人の護衛騎士だけだった。
「大丈夫だ。俺がいる」
彼の言葉を胸に、俺は決意する。公務員として培った知識と経験、そして持ち前のしぶとさで、この最悪な領地を最高の楽園に変えてみせると。
これは、不遇な貴族と忠実な騎士が織りなす、絶望の淵から始まる領地改革ファンタジー。そして、固い絆で結ばれた二人が、やがて王国を揺るがす運命に立ち向かう物語。
無能と罵った家族に、見て見ぬふりをした者たちに、最高の「ざまぁ」をお見舞いしてやろうじゃないか!
虚ろな檻と翡翠の魔石
篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」
不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。
待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。
しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。
「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」
記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。
-----------------------------------------
0時,6時,12時,18時に2話ずつ更新
炎の精霊王の愛に満ちて
陽花紫
BL
異世界転移してしまったミヤは、森の中で寒さに震えていた。暖をとるために焚火をすれば、そこから精霊王フレアが姿を現す。
悪しき魔術師によって封印されていたフレアはその礼として「願いをひとつ叶えてやろう」とミヤ告げる。しかし無欲なミヤには、願いなど浮かばなかった。フレアはミヤに欲望を与え、いまいちど願いを尋ねる。
ミヤは答えた。「俺を、愛して」
小説家になろうにも掲載中です。
推しにプロポーズしていたなんて、何かの間違いです
一ノ瀬麻紀
BL
引きこもりの僕、麻倉 渚(あさくら なぎさ)と、人気アイドルの弟、麻倉 潮(あさくら うしお)
同じ双子だというのに、なぜこんなにも違ってしまったのだろう。
時々ふとそんな事を考えてしまうけど、それでも僕は、理解のある家族に恵まれ充実した引きこもり生活をエンジョイしていた。
僕は極度の人見知りであがり症だ。いつからこんなふうになってしまったのか、よく覚えていない。
本音を言うなら、弟のように表舞台に立ってみたいと思うこともある。けれどそんなのは無理に決まっている。
だから、安全な自宅という城の中で、僕は今の生活をエンジョイするんだ。高望みは一切しない。
なのに、弟がある日突然変なことを言い出した。
「今度の月曜日、俺の代わりに学校へ行ってくれないか?」
ありえない頼み事だから断ろうとしたのに、弟は僕の弱みに付け込んできた。
僕の推しは俳優の、葛城 結斗(かつらぎ ゆうと)くんだ。
その結斗くんのスペシャルグッズとサイン、というエサを目の前にちらつかせたんだ。
悔しいけど、僕は推しのサインにつられて首を縦に振ってしまった。
え?葛城くんが目の前に!?
どうしよう、人生最大のピンチだ!!
✤✤
「推し」「高校生BL」をテーマに書いたお話です。
全年齢向けの作品となっています。
一度短編として完結した作品ですが、既存部分の改稿と、新規エピソードを追加しました。
✤✤
追放オメガ聖帝の幸せな結婚〜クールなスパダリ騎士に拾われて溺愛されるまで〜
あきたいぬ大好き(深凪雪花)
BL
ノルディーナ王国の聖帝サーナは、教皇のありもしない嘘のせいで聖宮から追放されてしまう。
行く当てがないサーナが国境に向かうと、そこで隣国ルミルカ王国の騎士であるムーシュと出会う。ムーシュから諸事情により偽装結婚を提案されて、サーナは期限付きの偽装結婚ならばよいと承諾し、一時的に保護してもらうことに。
異国暮らしに慣れていく中で、やがてムーシュから溺愛されるようになり……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる