26 / 44
第五話
2
しおりを挟む
「さて、お話をするのもいいけれど、本題の花嫁修業しなくては日が暮れますわね」
「そうでうね。よろしくお願いします」
「うーん、でもこの世界における花嫁修業とは言っても、特別すごい事をしてるわけでもないとも思うけど……茜華からは所作や床場でのあれこれを教えて欲しいと言われたわね」
「と、床場?」
「あら閨での女の嗜みよ」
クスっと微笑む蘭姉さんだが、私はそれを聞いてカーっと頬が熱くなる。茜華は一体私をどうしたいのだ。というより、そのことについては何故か蘭姉さんはノリノリだ。
「閨での嗜みは大切よ。殿方に全てを委ねていいのは処女だけ。それ以降は女だって頑張らないと、すぐ他の女に持っていかれるわよ」
「い、いえ……それは私の女度がかなり上がってからでいいです。まずは所作からでお願いします」
内容がハードすぎる。私自身そこれなりには知識あるが、それだけではいけないのだろうか?言い換えればここは現代で言う高級クラブ、もしくは高級風俗的なものだろう。そんな人達から学べる技はどこにいても通用しそうな気もするが……
「うー……疲れた」
蘭姉さんによるレッスンが終わり、屋敷に戻ってきた私は、速攻寝台にダイブする。
「お帰りなさいませ。久美子様。まぁ!帰宅して早々寝台に伏せるなんて品が悪いですよ」
「そう言われても、蘭姉さんかなり厳しかったんだもん」
たかが数時間。まずは正しい姿勢とやらから始まり、何度ダメ出しをくらったか。
「背が丸まってますよ」
「下を向かない」
「真っすぐ胸を張って」
「足音をさせない」
そんな言葉が延々と続いた。
その後に待っていたのはお茶の煎れ方。特に考えることなく、いつもやっているようなお茶の煎れ方をすると、蘭姉さんは「まずい。こんなものを星永様に差し上げてるの?」と笑顔で言われた。優しく落ち着いた物腰なのに、言っている事はかなりきつい。
「それはそれは。初日からかなり厳しいご指導を受けられたのですね」
「厳しいなんてもんじゃないよ」
私の話を聞いて茜華自身も「ご愁傷様です」と言って同情を寄せてくれた。
「そういえば茜華はどうして蘭姉さんと知り合いなの?」
「そうですね。孤児院は成人になる時には出なくてはいけない決まりでして、その前にどうしても教養を身に着けたく、たどり着いた先が色町一人気の蘭姉さんの下働きだったんです」
場所は色町だ。当然蘭姉さんは断ったそうだが、何もないからこその知識や教養が欲しいと頭を下げ続けた結果、押される形で蘭姉さんが首を縦に振ったそうだ。
「そうでうね。よろしくお願いします」
「うーん、でもこの世界における花嫁修業とは言っても、特別すごい事をしてるわけでもないとも思うけど……茜華からは所作や床場でのあれこれを教えて欲しいと言われたわね」
「と、床場?」
「あら閨での女の嗜みよ」
クスっと微笑む蘭姉さんだが、私はそれを聞いてカーっと頬が熱くなる。茜華は一体私をどうしたいのだ。というより、そのことについては何故か蘭姉さんはノリノリだ。
「閨での嗜みは大切よ。殿方に全てを委ねていいのは処女だけ。それ以降は女だって頑張らないと、すぐ他の女に持っていかれるわよ」
「い、いえ……それは私の女度がかなり上がってからでいいです。まずは所作からでお願いします」
内容がハードすぎる。私自身そこれなりには知識あるが、それだけではいけないのだろうか?言い換えればここは現代で言う高級クラブ、もしくは高級風俗的なものだろう。そんな人達から学べる技はどこにいても通用しそうな気もするが……
「うー……疲れた」
蘭姉さんによるレッスンが終わり、屋敷に戻ってきた私は、速攻寝台にダイブする。
「お帰りなさいませ。久美子様。まぁ!帰宅して早々寝台に伏せるなんて品が悪いですよ」
「そう言われても、蘭姉さんかなり厳しかったんだもん」
たかが数時間。まずは正しい姿勢とやらから始まり、何度ダメ出しをくらったか。
「背が丸まってますよ」
「下を向かない」
「真っすぐ胸を張って」
「足音をさせない」
そんな言葉が延々と続いた。
その後に待っていたのはお茶の煎れ方。特に考えることなく、いつもやっているようなお茶の煎れ方をすると、蘭姉さんは「まずい。こんなものを星永様に差し上げてるの?」と笑顔で言われた。優しく落ち着いた物腰なのに、言っている事はかなりきつい。
「それはそれは。初日からかなり厳しいご指導を受けられたのですね」
「厳しいなんてもんじゃないよ」
私の話を聞いて茜華自身も「ご愁傷様です」と言って同情を寄せてくれた。
「そういえば茜華はどうして蘭姉さんと知り合いなの?」
「そうですね。孤児院は成人になる時には出なくてはいけない決まりでして、その前にどうしても教養を身に着けたく、たどり着いた先が色町一人気の蘭姉さんの下働きだったんです」
場所は色町だ。当然蘭姉さんは断ったそうだが、何もないからこその知識や教養が欲しいと頭を下げ続けた結果、押される形で蘭姉さんが首を縦に振ったそうだ。
0
お気に入りに追加
57
あなたにおすすめの小説
月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~
真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。
【完結】うっかり異世界召喚されましたが騎士様が過保護すぎます!
雨宮羽那
恋愛
いきなり神子様と呼ばれるようになってしまった女子高生×過保護気味な騎士のラブストーリー。
◇◇◇◇
私、立花葵(たちばなあおい)は普通の高校二年生。
元気よく始業式に向かっていたはずなのに、うっかり神様とぶつかってしまったらしく、異世界へ飛ばされてしまいました!
気がつくと神殿にいた私を『神子様』と呼んで出迎えてくれたのは、爽やかなイケメン騎士様!?
元の世界に戻れるまで騎士様が守ってくれることになったけど……。この騎士様、過保護すぎます!
だけどこの騎士様、何やら秘密があるようで――。
◇◇◇◇
※過去に同名タイトルで途中まで連載していましたが、連載再開にあたり設定に大幅変更があったため、加筆どころか書き直してます。
※アルファポリス先行公開。
※表紙はAIにより作成したものです。
お知らせ有り※※束縛上司!~溺愛体質の上司の深すぎる愛情~
ひなの琴莉
恋愛
イケメンで完璧な上司は自分にだけなぜかとても過保護でしつこい。そんな店長に秘密を握られた。秘密をすることに交換条件として色々求められてしまう。 溺愛体質のヒーロー☓地味子。ドタバタラブコメディ。
2021/3/10
しおりを挟んでくださっている皆様へ。
こちらの作品はすごく昔に書いたのをリメイクして連載していたものです。
しかし、古い作品なので……時代背景と言うか……いろいろ突っ込みどころ満載で、修正しながら書いていたのですが、やはり難しかったです(汗)
楽しい作品に仕上げるのが厳しいと判断し、連載を中止させていただくことにしました。
申しわけありません。
新作を書いて更新していきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
お詫びに過去に書いた原文のママ載せておきます。
修正していないのと、若かりし頃の作品のため、
甘めに見てくださいm(__)m
ウブな政略妻は、ケダモノ御曹司の執愛に堕とされる
Adria
恋愛
旧題:紳士だと思っていた初恋の人は私への恋心を拗らせた執着系ドSなケダモノでした
ある日、父から持ちかけられた政略結婚の相手は、学生時代からずっと好きだった初恋の人だった。
でも彼は来る縁談の全てを断っている。初恋を実らせたい私は副社長である彼の秘書として働くことを決めた。けれど、何の進展もない日々が過ぎていく。だが、ある日会社に忘れ物をして、それを取りに会社に戻ったことから私たちの関係は急速に変わっていった。
彼を知れば知るほどに、彼が私への恋心を拗らせていることを知って戸惑う反面嬉しさもあり、私への執着を隠さない彼のペースに翻弄されていく……。
後宮物語〜身代わり宮女は皇帝に溺愛されます⁉︎〜
菰野るり
キャラ文芸
寵愛なんていりません!身代わり宮女は3食昼寝付きで勉強がしたい。
私は北峰で商家を営む白(パイ)家の長女雲泪(ユンルイ)
白(パイ)家第一夫人だった母は私が小さい頃に亡くなり、家では第二夫人の娘である璃華(リーファ)だけが可愛がられている。
妹の後宮入りの用意する為に、両親は金持ちの薬屋へ第五夫人の縁談を準備した。爺さんに嫁ぐ為に生まれてきたんじゃない!逃げ出そうとする私が出会ったのは、後宮入りする予定の御令嬢が逃亡してしまい責任をとって首を吊る直前の宦官だった。
利害が一致したので、わたくし銀蓮(インリェン)として後宮入りをいたします。
雲泪(ユンレイ)の物語は完結しました。続きのお話は、堯舜(ヤオシュン)の物語として別に連載を始めます。近日中に始めますので、是非、お気に入りに登録いただき読みにきてください。お願いします。
森でオッサンに拾って貰いました。
来栖もよもよ&来栖もよりーぬ
恋愛
アパートの火事から逃げ出そうとして気がついたらパジャマで森にいた26歳のOLと、拾ってくれた40近く見える髭面のマッチョなオッサン(実は31歳)がラブラブするお話。ちと長めですが前後編で終わります。
ムーンライト、エブリスタにも掲載しております。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
エリート警察官の溺愛は甘く切ない
日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。
両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる