真の敵は愛にあり

Emi 松原

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合同訓練の始まり

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「そうね……この、第一騎士団の中でも一番順位が高い人たちとの決闘を受けましょう」
「えっ!?アマナ、本気で言ってるのか!?」
 俺は倒れそうになった。だって、俺たちはまだ入隊したばかりだ。
「えぇ、本気よ。きっとこの人達、あなたと私が決闘をした人と同じよ。ブランの言うように、私たちを見世物にしたいのよ。だけど、私はこのチームなら勝てる可能性があると思っているわ」
 俺は、助けを求めるようにブランを見たが、ブランはアマナに賛成のようだった。
「そうだな。いずれ、俺たちは必ず絡まれる。これは容易に計算できている。それならば、早い内に受けておいた方が良いだろう。負けても、新人だから当たり前だ。それに、俺もこのチームなら勝算はあると思っている」
 俺は、最後にモカを見た。
「アマナちゃんが、こう言ってるのですっ!それに……私、三人となら、勇気が出る気がするのですっ!私っ、貴族という目で見られるのが嫌でしたっ。だけれど、三人はっ、私を私として見てくれますっ、私は、それだけで安心するし、嬉しいのですっ」
 俺は、モカの言葉にハッとした。
 ここに来るために、俺は覚悟を決めて決闘をした。勧誘者としてここに来て、視線が痛かった。でも、ブランとモカは、俺を俺として見てくれている。勧誘者のコルじゃなくて、チームのコルとして。俺の夢の為に、一緒に歩くと言ってくれた。そんな俺が、一番弱気になってどうするんだ。
「分かった。アマナの言うチームとの決闘を受けよう。アマナ、ブラン、最初の作戦は二人に任せるよ。後は、モカの声を聞きながら動く」
 決意して言った俺に、三人が頷いた。

 俺たちの決闘には、戦闘に出ていない全員が見に来ているのではないかというほど人が来ていた。
 緊張する……だけれど、アマナがしっかりと作戦を考えてくれた。俺は、やるべきことをやるだけだ。
 そう自分に言い聞かせる。
 第一騎士団の人たちは余裕の表情で話をしている。
 俺は、アマナ、ブラン、モカと手を重ねた。
「大丈夫、思いっきりやってきてちょうだい」
 アマナが笑った。頷く俺たち。
 そして、決闘が始まった。
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