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合同訓練の始まり
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しおりを挟む「コルは右側の地上型を!俺が飛行型を仕留める!」
「分かった!」
「ブランっ、左方向から地上型が迫っていますっ!飛行型はコルに任せて、そっちをお願いしますっ!」
「了解、計算内だ!」
二人の声を聞きながら、俺はジャンプしてスピアを振ると、飛行型を仕留めていく。
俺は驚いていた。学校で、何度もチーム訓練はしている。だけれど、こんなにやりやすくて、安心するチーム訓練は初めてだ。
ブランはその場その場で的確に動いてくれるし、モカも、しっかりと指示を出してくれている。そのおかげで、俺は自由に動けた。
全ての魔獣が消えた。
振り返ると、アマナがニッコリとしていた。それだけで、このチームにして良かったんだと思えた。
「初めての合同訓練でここまでやれるなんて、凄いわ!」
アマナが弾んだ声で言った。
「あぁ、こんなに戦いやすいチームは初めてだ」
「俺もだ。コルの実力なら安心して前線を任せられる。それに、モカの指示も的確だった。これは、計算外に出来が良い」
「二人ともっ、凄いですっ!私の治癒が必要ないくらいにっ!どうやら、二人には魔力供給を重点的に行った方が良いと思うのですがっ、アマナちゃん、どうですかっ!?」
俺たちの言葉に、アマナはニコニコしてメモを見ながら答えてくれる。
「そうね、今のところ、コルとブランは油断しない限り怪我を負うことは少ないと思うから、魔力供給を絶やさないようにする方が良いわね。でも、モカちゃんは魔力に常に余裕を残しておいて。いざ怪我を負ったときのために。コルは、そのまま目の前の魔獣に集中して。ブランは、時々において動けるから、安心して後ろを任せていいわ」
アマナの言葉に俺たちは嬉しくなって、顔を見合わせると笑い合った。このチームなら、命を預けてられる。きっと全員そう思ったはずだ。そして午前中は、色々とパターンを変えて訓練を行った。
昼食を挟むと、俺たちはまた合同訓練所に足を運んだ。すると……。
「コル、君たちに決闘の申し込みが何件かきている。どうする?」
教官に言われて、俺たちは驚いた。アマナは、予想ができていたような顔をしている。
「えっと……俺たちと同じ新人ですか……?」
「いや、上は第一騎士団、下は新人だ。今日戦闘に出ていないチームが申し込んできた。これが、申し込んできた順番のリストだ。受けるかどうかは、君たちで決めてくれ」
俺はリストを受け取ると、三人にも見えるようにした。
「だっ、第一騎士団の方がっ、新人にですかっ!?」
モカが驚いて声を上げた。俺もそう思う。
「コルとアマナは勧誘者だからな。見世物のようになっているんだろう。これも計算の内だろう、アマナ?」
ブランがアマナを見た。アマナは、微笑んで頷いた。
「でも……これ、どうすれば良いんだ?第一騎士団だ。勝てるわけ……」
「あら、コル。また悪い癖が出てきたわね。勝てないなんて、誰が決めるの?」
アマナの言葉に、俺は驚いてアマナを見た。微笑んでいるアマナ。
「勝算が計算できているんだな?」
ブランも、アマナを見た。頷くアマナ。
「ブラン、さっきの戦いで、盾もいくつか見せて貰ったわよね?あの中から、片手で持てる盾を使うわ。モカちゃんは、さっきと同じように魔力供給をメインに。コルは、気合いを入れなさい」
「えっ……受けるの?」
俺の言葉に、アマナが俺を睨む。
「逃げるの?特別騎士団になりたいあなたが?特別騎士団になったら、この騎士団全てをまとめなくてはいけないのよ?」
アマナがいつものように核心を突いてくる。
「でも、こんなに沢山申し込まれてるんだ……どうすれば良いんだ?」
アマナにリストを渡すと、もの凄いスピードでアマナの目が動く。集中している証拠だ。俺たちは、アマナが口を開くのを待った。
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