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明かされていくもの
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しおりを挟む「あぁ。創造神、破壊神の双子神。それ以前に、エリィも、エミリィも、シークも、ユークも、一人一人のそれぞれの心を持ったヒトだということに」
俺は、その言葉を聞いたとき、ずっと心でモヤモヤしていて、でもそれがなんなのか分からなかったものの答えをもらった気がした。
エミリィ様は、破壊神様ということで怯えられ、利用されようとされ、暗殺までされかけた。だけれど、俺の知っているエミリィ様は、意地悪で、気分屋で、厳しくて、でも優しい……俺の、師匠だ。
「破壊神様」じゃなくて、「エミリィ様」を、俺はいつの間にか慕っていたのだ。
俺は、無意識に、リルの手をギュッと握っていた。リルが、その手を強く握り返してくれる。
「アーサさん、私たち……ギルさんのお店に行きたいです。ギルさんが、ルトのおじいさまの記憶石を見せてくれると言ってくれて……。私、戦争が始まる前に、それを見ないといけない気がするんです。それで、ルトは覚悟を、私は自分の気持ちを決めないといけないと思うんです」
アーサさんが、また、ふっと笑った。
「……ルトのクリソプレーズ。勇気を与え、未来へのビジョンを示す。何事にも愛を持って対処できる人間性を養う石。あいつはそれを願って、その石をお前の生誕指輪にした。お前は、その通りの人間に育った。復讐心を強く持ちながらも、それに溺れず、必死に悩んだ。リルの、ラベンダーアメシスト。ヒーリング効果の高い石。そして、変化の多い日々に振り回され、自分を見失いそうになった時にも効果的な石。リル、お前は、いつもルトを支え、癒やしてきた。そして今、自分と向き合おうとしている。……明日の夜にでも、あいつの店に行ける手配をしてやろう。昼間は修行をしっかりとするぞ。今のお前達には、力をつけることも必要だ」
「……はい!!」
俺とリルは、同時に返事をすると、頷いた。
そしてそのまま、また空を見上げた。
星は、静かに俺たち全員を照らしていた。俺とリルは、二人で手を握ったまま祈っていた。
※※※
町から離れた小さな小屋に、エリィ、エミリィ、ラネン、シーク、ユークの姿があった。
「私たちはともかく、あんた達、勝手に城を抜け出して大丈夫なの?」
エミリィが、不機嫌そうに言った。
「あぁ。今、父上様は、戦争の準備しか頭にないからね……。それより、エミリィ、体は大丈夫かい?」
シークが、エミリィに、不安そうに聞いた。
「うん。もうどうともない。それに、体は二人でしょ」
エミリィが、真面目な顔をした。
「俺は、そこまでじゃないけれど……」
シークが、そこまで言ってユークを見た。
ユークは、他人事のように微笑んでいる。
「今回の戦争で、あの武器に、決着をつけることになるでしょう……その時、二人は……」
エリィが、苦しそうに目を伏せた。
「大丈夫ー。俺たちは、とっくの昔に覚悟はできているからさー。だから、最後の賭けをしているわけだしねー」
ユークが、掴みどころのない笑顔で穏やかに言った。
「あぁ。俺たちは、全力で自分達のできることをやって、後は、覚悟できている。だから、今考えないといけないのは、戦争が始まった時の国民のこと。グリーンクウォーツ王国で、国王に内心不満を抱いている者は多い。ホワイトクウォーツ王国との戦争と同時に、内戦も起こるだろう。俺たちは、なんとか犠牲を減らすために、その内戦を、せめてホワイトクウォーツ王国との共同戦争に持っていかないといけない。後は……父上様をどうするかだ」
「いっそ、俺たちの手で、とも思ったんだけれどねー。双子神を制する者の考え方は、広がりすぎてしまったから……。これからの戦争が終わったその後、まだエミリィが世界を滅ぼしていなかったら、父上様もろともどうするか考えないとねー。ま、一番良いのは、俺たちも、父上様も逝ってしまって、グリーンクウォーツ王国そのものが滅びることかもしれないけどねー」
シークとユークが、続けて言った。
「……あんたも破壊神のくせに」
「知ってるよー。言いたいことも分かってるー。だけれど、俺は、破壊より興味の方が勝っちゃったんだよねー」
「知ってる」
エミリィとユークが、顔を見合わせて、少し笑った。
「……じゃあ、話し合いを始めましょう」
エリィが、場の空気を変えるように言った。
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