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燃えさかる炎
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しおりを挟むじいちゃんと、リルのおばあちゃんが俺たちを連れてきたのは、あの書庫だった。
「最後の守りだ。我々の魔力を全て使うぞ」
「ええ、何があってもこの書物は守らなければ。それに、私たちの魔力に反応して、必ずこの子達をむかえに来てくれるはず」
一体どういうことなんだ!?なんで、じいちゃんも、リルのおばあちゃんも、何も言ってくれないんだ!!
それに、魔力を全て使うと今言った。魔力を源に生きている俺たちだ。そんなことをしたら、死んでしまう!!
二人は、俺たちを連れて、書庫の中に入った。
そこには、膨大な数の本が本棚に置かれていた。全て黒い表紙で、何も描かれていない。この本は、一体なんなんだ!?
理解が追いつくはずがない。
じいちゃんと、リルのおばあちゃんは、いくつもの高度な防衛魔法を唱え始めた。
「おばあちゃん!!そんな高度な魔法をいくつも使ったら、本当に死んじゃうわ!!どうして!?この本は何!?どうしてグリーンクウォーツ王国が!?一体何が起きているの!?」
リルが、俺の心を一緒に代弁するように叫んだ。
だけれど、二人はそれに答えることはなく、呪文を唱えることを止めなかった。
じいちゃんと、リルのおばあちゃんが、その場に崩れ落ちた。
二人は、座ったまま息を切らしている。
外からは、爆発音と、グリーンクウォーツ王国の兵だと思われる怒鳴り声が響いている。
どうやら、グリーンクウォーツ王国の兵は、ここにかけられた防御魔法を壊そうとしているようだ。
体の震えが止まらない。
俺たちも、ここで炎にのまれて死ぬのか?
その時だった。
背筋がぞくっとする、感じたことのない、とても大きな魔力を感じた。
その瞬間、グリーンクウォーツ王国の兵の声が消えた。
「やっぱり、直接あの子が来たようですね」
リルのおばあちゃんが、どこかホッとしたように優しく微笑んだ。
じいちゃんが、無言で頷く。
俺とリルは、感じたことのない恐怖で、何も言えずにお互い抱きしめ合ってその光景を見ていた。
書庫の扉が、静かに開いた。
黒いマントを頭からかぶった二人組が、早足で入ってくると、扉を閉めた。
「……久しぶり。エミリィ。もう一人は、ラネンだな」
じいちゃんの言葉に、俺とリルはまた言葉を失った。
二人が、黒いマントの頭の部分を脱いだ。
そこから現れたのは、静かに光る長髪の銀髪を、左側に高く一つに結んだ女の人に、青色の短髪の男の人。
エミリィ……銀髪……。この人は、ホワイトクウォーツ王国の、破壊神様の、エミリィ姫様!?
「先生、久しぶり」
エミリィ姫様が、じいちゃんと、リルのおばあちゃんに向けて言った。男の人が、静かに頭を下げた。
「エミリィ、大きくなったわね。私たちの孫も大きくなったのよ。この子達と会うのは、赤ん坊ぶりね」
こんな時なのに、リルのおばあちゃんは冷静で、優しく言った。
エミリィ姫様が、チラリと俺たちを見た。
きつくつり上がった目からは、感情が読み取ることができない。
何故、何故、ホワイトクウォーツ王国の、破壊神様のエミリィ姫様が!?
エミリィ姫様は、今確かに二人を先生と呼んだし、リルのおばあちゃんは、エミリィ姫様を呼び捨てにしていた。
この国で、双子神様は絶対的な存在だ。それなのに……しかも破壊神様を、呼び捨てにするなんてあり得ないことだ。
何がどうなっているんだ!?
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