鬼に飼われて生きる少女 ~異世界転移し、鬼と一緒にヒトを食べて生きています~

しんいち

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鬼の世界へ

35 初体験…

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 それから一週間、特に何事もなく過ぎました。
 リューサさんからも、特段何も言われません。
 私はラクッサさんに人間界の料理のことをお教えしたり、逆に妖語を教えて貰ったりして過ごしました。

 しかし、多分あと一週間くらいで私は排卵日を迎えます。
赤首輪女性の性交は、排卵日とその前後三日の、七日間……。準備も有るでしょうから、もうそろそろお話が有っても良い頃です。

 初めてのセックス……。
相手は、もう決まっているのでしょうか?
 でもそれは、私にとっては全く知らない、話をしたこともない男性……。
そんな人と私は、いきなり裸で抱き合い、性器を合わせ、精液を入れられ、そして妊娠しなければならないのです。
 不安しかありません。


 その日の夕食後、リューサさんに、一緒に部屋へ来るよう言われました。
これは、ついに、ですね。心臓がドックドックと鳴ります。

 食堂を出て、一緒にお部屋へ入ります。イマさんカリさんも同席します。
私とリューサさんはソファーに坐り、イマさんカリさんはリューサさんの斜め後ろに立って控えた状態。
これから、初の性交についての話が有るに違いない…。もう、緊張しかありません。

「美玖。一週間前に生理があったとの報告が上がってきていますが、間違いないですね」

「は、はい。間違いありません」

「そうですか。では、あなたの次の排卵予定日は四日後です」

 ええっ! 思ってたよりも、ちょっと早いよ。四日後って!

「ナユから聞いているはずですが、赤首輪の性交は排卵予定日とその前後三日。つまり、明日の晩に、あなたは、初の性交をすることになります」

 ゴックンと、つばを飲み込みました。
まさか、前日に通告だなんて。もう少し余裕をもってもらえませんかね・・・。

 い、いよいよ。いよいよなんです。私のセックス初体験!
 ナユさんに手取り足取り教えてもらいました。実際の行為も見せてもらいました。あれを私はしなければならないのです。
 あ、顔が熱い…私、今、きっと真っ赤な顔してますよね。
 リューサさんは真顔ですが、イマさんカリさんは少し不安顔。普通は18歳からなんですよ。私はまだ、その年齢に達していませんからね。それを心配してくれているのですね……。

「美玖。こっちへ立ちなさい」

「は、はい」

 指定されたところへ、立ちます。

「裸になりなさい」

「は、はい?」

 何故?と一瞬思いました。が、性交前の最後の検診なんだと思い直し、着物を脱いで裸になり、真っ直ぐリューサさんを向いて立ちます。
 リューサさんの後方ではイマさんとカリさんが困惑顔…。あれ?こういうことは、あまり無いのかな?
 いや、普通はこれ、ナユさんの仕事なんですよね。リューサさん自らというのが珍しいのでしょう。

 リューサさん、立ち上がり、私の真ん前へ。

「う~ん。やっぱり、良いね。すごい。最高の肉体。最高の容姿。とっても、可愛いわ」

「あ、ありがとうございます」

 美人さんに、それも目の前で、更には裸体を凝視されて、そんなこと言われますと、恥ずかしいですし、少し照れちゃいます。
自分では、そこまででは無いと思うんですけどね…。でも嬉しい。

 リューサさん、優しく私の胸を触ってきます。
く、くすぐったい…。あ、そこはダメ…、くうっ、うっ、うあ……。

「張りも良くって、ホント、最高の肉体。とっても美味しそう。今すぐ食べちゃいたいわ」

 え、ええ~と、ですからそれ、怖いんですって。
 でも、ナユさん言っていましたよね。『美味しそう』って言うのは誉め言葉なんだって。『食べちゃいたい』ってのも、同じ意味ですよね…。

 あ、あれ? リューサさん、何か目つきが怪しいんですけど…。
ちょっと、いつもより瞳の色が赤っぽくありません? 

「ねえ~、美玖~。私は~、正直な気持ちが聞きたいの~。正直に、答えて頂戴~」

「は、はい……」

 いったい、何を訊かれるの??

「あなた、本当に、良いの~? 明日、全然知らない男なんかとセックスして~」

「えっ……」

 返答に困ります。

 赤首輪として、それをしないわけにいかないから、する決心をしたのです。したいか、したく無いかといえば、そんなの、したく無い。イヤですよ!
 で、でも、それをそのまま言ってしまって良いモノなのか…。いや良くないですよね。
だけど、正直に答えるようにって命令です。
 一体、ど、どうしたらよいの?

「どうなの~? あなたの、本当の気持ちは~?」

 間近に寄せられた、リューサさんの顔の赤っぽい瞳。とっても綺麗。
なんだか、吸い込まれてしまいそうな変な感じがします。
 頭の中が空っぽになるような、奇妙な感覚……。

 そして、それに気を取られ、ついつい本音を…。

「え、えっと…。そ、その……。正直に言えば……、出来ることなら、まだ……セックスなんて…。し、したくありません!」

 リューサさん、ニカッと笑い頷きます。
 手に持っているのは、カギ?
 へえっ?!私の首輪にカギが入れられ…カチッと音がして……外された?!
 私の首から外れた赤い首輪。リューサさんはポイッと放り捨てます。

 あ、赤首輪が外された・・・。
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