小さな大魔法使いの自分探しの旅 親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします

藤なごみ

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第九章 久々のセルカーク直轄領

第六百三十九話 何とか無料治療が終了しました

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 こうして、色々あった無料治療も無事に終わりました。
 冒険者や鉱山で働く人たちは、明日もまた頑張るぞと意気込んでいました。
 やっぱりアマード子爵領には、気持ちのいい人が多いですね。

「今日は、レオ君に本当に助けられました。危ない目に合わせてしまい、教会を代表して改めてお詫びするわ」

 そして、後片付けを終えた僕たちにローラさんが頭を下げました。
 朝の教会にたくさん人が集まった件は、あの冒険者が悪い噂を流したからだもんね。

「ローラさん、僕は大丈夫です。セルカーク直轄領でもたくさんの人が集まったので広範囲回復魔法を使って治療しましたし、治療自体も無事に終わりましたので」
「本当にありがとうね。レオ君は、体だけでなく心も大きく成長しているわ」

 ローラさんも、ようやく笑顔になってくれました。
 きっと、教会の責任者として気をずっと張っていたのかもしれないね。
 そして、僕はシンシアさんたちに向き直りました。

「今日は、一日護衛をしてくれてありがとうございました」
「私たちこそ、レオ君と一緒にいることができて楽しかったわ。昔を思い出したかのようだったわ」

 僕は、シンシアさん、チェルシーさん、ナーシャさんと挨拶をしながら握手をしました。
 そして、デイジーさんと一緒に馬車に乗り込みました。
 今日は予想外のこともあったけど、概ね治療としては成功したね。

「デイジーさん、今日は色々手伝ってくれてありがとうございました」
「私こそ、レオ君のお手伝いができて楽しかったわ。とてもいい思い出になったわ」

 デイジーさんも、とてもいい笑顔で僕に返答してくれました。
 そんなデイジーさんは、ユキちゃんを抱っこしながらもふもふとしていてとてもご機嫌でした。
 そして、屋敷に着くと直ぐにグレイスさんが僕のところにやってきました。

「レオ君、教会に多くの人が集まったって聞いたけど大丈夫だった?」

 グレイスさんは、僕の体をペタペタと触りながらとても心配そうにしていました。
 デイジーさんがだいたいのことをグレイスさんに教えてくれたけど、夕食の際に改めて今日の話をすることになりました。

「なるほど、夢破れた冒険者が幼くして冒険者から貴族になったレオに嫉妬したのか。自信過剰なものほど、失望した時の反動もとても大きい。だから、奴はこんな馬鹿なことをしたのだろう。やっていいことと悪いことの区別をすることもせずにな」

 食事を終えたサイオンさんがその冒険者の行動を分析していたけど、前にも自信過剰な行動を取って大失敗した人がいたよね。
 そんなことを思い出しながら、僕はもぐもぐとお肉を頬張っていました。

「レオは、これからも出世をしていくだろう。それこそ、伯爵や侯爵になってもおかしくはない。それだけの功績を打ち立てたし、これからも功績を積み上げていくだろう。しかし、人というのは自分勝手な生き物で、レオの意思など関係なく勝手に嫉妬してくる。これからも、十分気をつけることじゃ」

 うーん、僕は目の前のことを頑張っただけで出世や功績のことを考えてはいないんだよね。
 でも、今日みたいなこともあるし軍での訓練でも色々あったから、サイオンさんの言う通り今後も周囲には十分気をつけた方がいいね。
 こうして、アマード子爵領での最後の夜は、みんなからこうした方がいいと色々な注意を聞かされることになりました。
 僕に色々教えてくれる人はとても貴重だから、本当に助かりますね。
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