小さな大魔法使いの自分探しの旅 親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします

藤なごみ

文字の大きさ
上 下
417 / 585
第七章 王都

第五百十二話 新たにシークレア子爵領に到着した人

しおりを挟む
 夕方前になると、他の貴族もシークレア子爵領の屋敷に着きました。
 その中に、ビックリする人がやってきました。

「あら、みんなも着いていたのね」
「お、お母様?!」
「「「おばあさま!」」」

 なんと、シークレア子爵領にヒルダさんが来ていました。
 宰相で忙しいチャーリーさんの代わりに、マリアージュ侯爵家を代表してやってきたそうです。
 まあ、ヒルダさんの積極的な性格だったら、仮にチャーリーさんが来ても普通についてきそうです。
 すると、ビックリすることを話していました。

「私を乗せた馬車も、盗賊に襲われたのよ。軍の貴族と一緒に来たから事なきを得たけど、レオ君たちならともかくとして文官貴族だったら被害が出たかもしれないわ」
「「「ええー!」」」

 よりによって、前国王陛下の妹君でもあるヒルダさんを盗賊が襲うとは。
 僕たちが通り過ぎた後も、結局なにも対策をしなかったんだ。
 もう、間違いなく男爵は罰を受けることになるだろうね。
 そして、ヒルダさんはキラキラした目で僕の事を見ていました。

「レオ君、午前中は娘と孫たちの案内をしていたんだってね。明日は、私を案内してくれるかしら?」
「えっ? えーっと……」
「うふふ、とっても楽しみだわ」

 うん、これはとても断れる雰囲気ではないですね。
 ヒルダさんの笑顔の圧力が、とっても怖いです。
 ということで、明日の午前中の予定が決まっちゃいました。

 さっ。

 ウェンディさんたちの方を向いたら、一斉に視線をずらされてしまいました。
 既にヒルダさんに確保されているユキちゃんを除くと、誰もついてきてくれなさそうです。
 僕は、思わずガクリとしちゃいました。
 今日新たにシークレア子爵家の屋敷に泊まるのはヒルダさんだけで、軍人貴族は海軍の施設に泊まるそうです。
 なので、夕食時に追加されるのもヒルダさんだけです。

「しかし、結婚式もいよいよ三日後なのね。私もとっても楽しみだわ」

 夕食時も、ヒルダさんのテンションは高いままでした。
 結婚式は何回参加しても良いものらしく、特に教会の奉仕作業でも一緒になるライサさんの結婚式というのもあってかニコニコが止まりません。

「アンジェラも、早く良い人を見つけるのよ。父親である前領主が突然亡くなって大変だったかもしれないけど、こうして弟が無事に一人前になったのだからね」
「は、はい……」

 普段冷静なアンジェラさんも、ニコニコなヒルダさんに押されっぱなしです。
 でも、セルゲイさんの結婚式が終わって落ち着けば、今度はアンジェラさんの嫁入り相手を探さないと駄目ですね。
 すると、このタイミングでセルゲイさんの持っている通信用魔導具に連絡が入りました。

「あら、私の魔導具にも連絡が入っているわ。えーっと、軍が男爵家に行ったら男爵の姿がなかった。って、まあ!」
「これは大変なことになったわ」

 ヒルダさんとモニカさんの通信用魔導具にも連絡が入っていたけど、あの盗賊を放置させていた男爵が雲隠れしたという。
 うーん、これは嫌な予感がするね。
 すると、セルゲイさんがさっそく動きました。

「守備隊の夜間巡回を強化しよう。ただ、守備隊員の数が少ないから、冒険者にも協力を依頼しよう」
「畏まりました。では、ギルドマスターとオリガ殿に連絡いたします」

 執事さんが素早く動いてくれたけど、シークレア子爵領最強のオリガさんが動くとなればとっても安心です。
 ともかくとして、僕たちも気をつけた方が良いですね。

「ヒルダさん、明日の施設見学は延期……」
「あら、明日は普通にやるわよ。レオ君と一緒にいるのが一番の安心材料だわ」
「は、はい……」

 うん、明日の施設見学は中止にならなかった。
 念の為に、マリアージュ侯爵家の護衛もついてくれます。
 そして、夕食が終わったらヒルダさんはユキちゃんを連れて客室に戻って行きました。
 ユキちゃんも普通について行ったけど、やっぱりヒルダさんはゴーイングマイウェイですね。
しおりを挟む
感想 151

あなたにおすすめの小説

【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた

きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました! 「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」 魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。 魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。 信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。 悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。 かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。 ※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。 ※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です

【完結】クビだと言われ、実家に帰らないといけないの?と思っていたけれどどうにかなりそうです。

まりぃべる
ファンタジー
「お前はクビだ!今すぐ出て行け!!」 そう、第二王子に言われました。 そんな…せっかく王宮の侍女の仕事にありつけたのに…! でも王宮の庭園で、出会った人に連れてこられた先で、どうにかなりそうです!? ☆★☆★ 全33話です。出来上がってますので、随時更新していきます。 読んでいただけると嬉しいです。

聖女の力を隠して塩対応していたら追放されたので冒険者になろうと思います

登龍乃月
ファンタジー
「フィリア! お前のような卑怯な女はいらん! 即刻国から出てゆくがいい!」 「え? いいんですか?」  聖女候補の一人である私、フィリアは王国の皇太子の嫁候補の一人でもあった。  聖女となった者が皇太子の妻となる。  そんな話が持ち上がり、私が嫁兼聖女候補に入ったと知らされた時は絶望だった。  皇太子はデブだし臭いし歯磨きもしない見てくれ最悪のニキビ顔、性格は傲慢でわがまま厚顔無恥の最悪を極める、そのくせプライド高いナルシスト。  私の一番嫌いなタイプだった。  ある日聖女の力に目覚めてしまった私、しかし皇太子の嫁になるなんて死んでも嫌だったので一生懸命その力を隠し、皇太子から嫌われるよう塩対応を続けていた。  そんなある日、冤罪をかけられた私はなんと国外追放。  やった!   これで最悪な責務から解放された!  隣の国に流れ着いた私はたまたま出会った冒険者バルトにスカウトされ、冒険者として新たな人生のスタートを切る事になった。  そして真の聖女たるフィリアが消えたことにより、彼女が無自覚に張っていた退魔の結界が消え、皇太子や城に様々な災厄が降りかかっていくのであった。

俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜

早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。 食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した! しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……? 「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」 そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。 無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!

弟に裏切られ、王女に婚約破棄され、父に追放され、親友に殺されかけたけど、大賢者スキルと幼馴染のお陰で幸せ。

克全
ファンタジー
「アルファポリス」「カクヨム」「ノベルバ」に同時投稿しています。

無能と言われた召喚士は実家から追放されたが、別の属性があるのでどうでもいいです

竹桜
ファンタジー
 無能と呼ばれた召喚士は王立学園を卒業と同時に実家を追放され、絶縁された。  だが、その無能と呼ばれた召喚士は別の力を持っていたのだ。  その力を使用し、無能と呼ばれた召喚士は歌姫と魔物研究者を守っていく。

治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~

大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」  唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。  そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。 「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」 「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」  一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。  これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。 ※小説家になろう様でも連載しております。 2021/02/12日、完結しました。

魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな

七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」 「そうそう」  茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。  無理だと思うけど。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。