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第七章 王都

第四百五十一話 ヒルダさんを迎える準備

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 今日は午前中は軍の治療施設で治療をして、その後はヒルダさんとのお茶会です。
 朝からヒルダさんを出迎える為に色々な人が忙しく動いていて、そんな中僕たちは冒険者ギルド経由で軍の施設に向かいました。

「何だか、この前ヒルダさんが来た時よりも迎えの準備が凄いですね」
「本日は、マリアージュ侯爵家よりヒルダ様の命を救って頂いたレオ様への御礼も兼ねております」

 ジェシカさんから、とんでもない話を聞いちゃったよ。
 僕としては、知り合いのチャーリーさんの奥さんでモニカさんのお母さんであるヒルダさんを治療しただけって思っているんだよね。
 ヴァイス子爵を捕まえた時の対応は冒険者活動として報酬をもらうことになっているし、謁見でも報酬に関して言及があるそうです。
 僕はもう、十分に報酬は貰っているって思うけどなあ。
 そんなことを思いつつ、僕たちは軍の施設に到着しました。
 前回と同じ担当者が僕たちを待っていてくれて、そのまま治療施設に案内されました。

「黒髪の魔術師様が多くの兵を治療頂いたおかげで、事件の捜査もスムーズに進んでおります。治療頂いた司令官が、張り切って指揮を取っております」
「司令官さんは、もう部隊に復帰しているんですね」
「願わくは、ハンブルク男爵もいると捜査がより進むのですが、ご存じの通り事件に関係しておりますので……」

 先導する兵もとても残念そうに言っているけど、ガスターさんは軍でも功績をあげていたんだね。
 確かに、ガスターさんが事件に関係なければ、捜査はより早く進むと僕も思います。
 今日は重傷者用の個室に入院している人はいないそうなので、大部屋に入院している人を治療していきます。

 シュイーン、ぴかー!

「おお! 噂には聞いていたが、すげー魔法だな」
「この凄い魔法が、ドジをしたお前の為に使われるとはな」
「バカっ、恥ずかしいことだから黙っていろ!」
「「「ガハハ!」」」

 先週とは違って事件が進捗しているのもあり、入院している兵の雰囲気も良い感じです。
 先週は、入院していた人も早く現場に戻って事件を捜査したいとピリピリしていたもんね。
 捜査に必要な人数と上官も揃っているから、回復した兵も原隊に戻るのが優先だそうです。
 こうして、満床じゃないのもあってか午前中の早い段階で軍の治療施設での治療を終えることができました。

「皆さま、本当にありがとうございます。皆さまのお陰で重傷者が殆どいなくなった為、次の治療は半月後の第一師団駐屯地にて行う予定です」
「あっ、マイスター師団長さんが前に話をしていた件ですね」
「その通りです。当日は、冒険者ギルドに寄らずに直接軍の施設にお越し下さい」

 軍にも軽傷者なら治療できる魔法使いがいるそうなので、僕たちが頑張り過ぎちゃうとその人の仕事を奪うことになります。
 あくまでも、僕たちが治療をするのは中等症以上の入院患者です。
 冒険者ギルドで手続きをして早めに屋敷に戻ると、ヒルダさんを迎える準備は整ったみたいです。
 僕も早めにちゃんとした服に着替えて、それから昼食を食べ始めます。

「モニカさん、今日は何時くらいにヒルダさんがくるんですか?」
「うーん、二時くらいに来るって言っていたけど、お母様の性格からするともう少し早めに来るかもしれないわ」

 お肉を頬張りながらモニカさんが答えてくれたけど、ヒルダさんは楽しい事だと少し早めに動くことがあるんだって。
 一週間前は孫とのふれあいを楽しみにしていたのに不良ポーションの為に台無しになっちゃったから、今日フランソワーズ公爵家に行くのをとっても楽しみにしているそうです。
 その為に、午前中から準備を万全にしていたんですね。
 そして、モニカさんは僕にヒルダさんのある事を注意してきました。

「レオ君、お母様は夢中になると話が止まらなくなるのよ。絶対に、レオ君に沢山の質問をしてくると思うわ。私も気を付ける様にするけど、レオ君も気を付けてね」
「「「あはは…」」」

 モニカさんの注意に、フランソワーズ公爵家の子ども三人とも苦笑いを浮かべていました。
 クリスちゃんまで苦笑いになるなんて、ある意味凄いなあ。
 こうして、昼食ではヒルダさんがどんな人かがずっと話されていました。
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