小さな大魔法使いの自分探しの旅 親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします

藤なごみ

文字の大きさ
上 下
325 / 584
第七章 王都

第四百二十話 王都冒険者ギルドに到着

しおりを挟む
 朝食後は冒険者ギルドに行って、色々な手続きをしてきます。
 でも、場所が全く分かりません。
 そもそも、王都には馬車で来たもんね。
 すると、ギルバートさんからこんな提案がありました。

「今日は、馬車に乗って冒険者ギルドに行くといい。貴族子弟が冒険者をする事もあって、普通に馬車に乗って冒険者ギルドに行くのもいるぞ」

 あっ、そうなんだ。
 確かに王都だから沢山の人がいるし、貴族も多いもんね。
 という事で、僕とシロちゃん、それにユキちゃんは馬車に乗って冒険者ギルドに向かいます。
 ギルバートさんも王城に行くので、別の馬車に乗っていきました。

「行ってきます」
「いってらっしゃーい!」

 僕はクリスちゃんに見送られて、出発しました。
 なんと、お世話係の侍従さんまで付けてくれました。
 初めての場所だから、とっても安心です。
 ジェシカさんといって、赤い癖っ毛をポニーテールにしている十五歳です。

「当面の間、私がレオ様のお世話をいたしますので、どうぞ宜しくお願いします」
「こちらこそ、宜しくお願いします!」
「黒髪の天使様のお世話ができるのは、私にとっても名誉な事ですよ」

 ジェシカさんは僕にニコリとしてくれたけど、どうも誰が僕のお世話をするかで侍従さんによる壮絶な戦いがあったそうです。
 どんな戦いがあったかは、ジェシカさんは教えてくれませんでした。
 そして、さっそくユキちゃんがジェシカさんに抱っこされているから、ジェシカさんは良い人確定です。
 そして、暫く馬車に乗って大きな建物の前に着きました。

「えっ、これが冒険者ギルドですか?」
「左様です。五階建ての建物となっておりまして、地下もございます」

 どこかの貴族の邸宅かと思うくらい、とても大きな外壁がレンガの建物だった。
 しかも、専用の馬車置き場まで完備しています。
 本当に凄いとしか言いようがない建物ですね。
 その建物の中に、ジェシカさんと一緒に入っていきます。

 ガヤガヤガヤ。

「わあ、沢山の冒険者で溢れかえっていますね!」
「王都は人口が多いので、その分多くの冒険者がおります」

 一階は他の冒険者ギルドと同じで、受付や依頼に引取ブースがありました。
 講義を行う部屋も複数あって、一室では新人冒険者と思わしき人々が入っていました。
 シロちゃんも、ユキちゃんに抱かれて周囲をキョロキョロと見回しています。
 やっぱり人が多いと、熱気も凄いね。
 そして、暫く並んで僕の受付の番になりました。
 冒険者カードを取り出して、シークレア子爵領の冒険者ギルドで預かった手紙を渡します。
 結局、バーボルド伯爵領では冒険者ギルドに行かなかったもんね。

「到着の手続きをお願いします。あと、手紙を預かっています」
「拝見します。では、冒険者カードをお返ししますので、個室でお待ち下さい」

 受付のお姉さんは、受付奥にある個室を指さしていました。
 みんなで、指示された個室に入ります。
 すると、直ぐに他の職員がジュースを持ってきてくれました。
 しかも、ユキちゃんの分まであります。
 そんな中、ちょっと気になる事が。

「ジェシカさんは、ソファーに座らないのですか?」
「私は後ろに控えておりますので」

 ジェシカさんは、ソファーの後ろに立っています。
 うーん、やっぱり侍従さんはそれがお仕事なのかな?
 すると、直ぐに個室の中にスーツを着た一人の女性が入ってきました。
 背が高くて緑色の髪を短く刈り上げた、男性っぽい女性です。
 お胸も小さいですね。
 僕たちも、席を立ちます。

「レオ君、ようこそ王都冒険者ギルドへ。副ギルドマスターのシシーだ。かの有名な黒髪の魔術師を歓迎する」
「シシーさん、初めまして。僕はレオです、スライムがシロちゃんで、コボルトがユキちゃんです。後ろにいるのが、ジェシカさんです」
「うむ、流石はフランソワーズ公爵家の加護を受けているものだな。座ってくれ」

 シシーさんに促されて僕たちは座ったけど、やっぱりジェシカさんは座ってくれませんでした。
 ちょっと残念ですね。

「たまたまギルドマスターが、各地を統括するグランドマスターと共に王城に行っているのだよ。今日一日不在なんだ」
「あっ、午後から王城に行くので、もしかしたら会えるかもしれないです」
「ふふ、その可能性はあるかもな」

 うーん、タイミングが悪かったんですね。
 でも、シシーさんも良い人だと思いますよ。

「王都の冒険者ギルドとして、レオ君にはまず治療を頼みたい。それこそ、軍の治療施設や教会の治療施設、貴族からの個別依頼など様々なものがある。ある程度落ち着いたら、冒険者ギルド内での治療もお願いしたい」
「任せてください。治療は、僕たちの得意技です!」
「ふふ、頼もしいな。魔石への魔力充填の依頼などもあるし、レオ君に頼みたい事が山積しているんだよ」

 いきなりの指名依頼だけど、頑張ってお仕事しないとね。
 どんな治療依頼も、僕たちにお任せだよ。
 そして、シシーさんは別の事を話してくれました。

「あと、バーボルド伯爵領の軍の施設での手伝いの件は、もう少し報酬を待ってくれ。当初の予定よりも多くの怪我人を治療したのもあるのでな。バーボルド伯爵家からの依頼も同様だ」
「全然大丈夫です。お金は心配していないので」
「そう言って貰えると助かる。最初は少しずつ依頼をこなして、王都の環境に慣れていってくれ。なにせ、王都は他の領都や直轄地とは比較にならないくらい大きい」

 王都がどんなところか分からないし、きっと危険なところもありそうです。
 どんなところがあるのか、ちゃんと勉強しないとね。
しおりを挟む
感想 151

あなたにおすすめの小説

5歳で前世の記憶が混入してきた  --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--

ばふぉりん
ファンタジー
 「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」   〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は 「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」    この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。  剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。  そんな中、この五歳児が得たスキルは  □□□□  もはや文字ですら無かった ~~~~~~~~~~~~~~~~~  本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。  本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。  

結界師、パーティ追放されたら五秒でざまぁ

七辻ゆゆ
ファンタジー
「こっちは上を目指してんだよ! 遊びじゃねえんだ!」 「ってわけでな、おまえとはここでお別れだ。ついてくんなよ、邪魔だから」 「ま、まってくださ……!」 「誰が待つかよバーーーーーカ!」 「そっちは危な……っあ」

婚約破棄されたけど、逆に断罪してやった。

ゆーぞー
ファンタジー
気がついたら乙女ゲームやラノベによくある断罪シーンだった。これはきっと夢ね。それなら好きにやらせてもらおう。

聖女の力を隠して塩対応していたら追放されたので冒険者になろうと思います

登龍乃月
ファンタジー
「フィリア! お前のような卑怯な女はいらん! 即刻国から出てゆくがいい!」 「え? いいんですか?」  聖女候補の一人である私、フィリアは王国の皇太子の嫁候補の一人でもあった。  聖女となった者が皇太子の妻となる。  そんな話が持ち上がり、私が嫁兼聖女候補に入ったと知らされた時は絶望だった。  皇太子はデブだし臭いし歯磨きもしない見てくれ最悪のニキビ顔、性格は傲慢でわがまま厚顔無恥の最悪を極める、そのくせプライド高いナルシスト。  私の一番嫌いなタイプだった。  ある日聖女の力に目覚めてしまった私、しかし皇太子の嫁になるなんて死んでも嫌だったので一生懸命その力を隠し、皇太子から嫌われるよう塩対応を続けていた。  そんなある日、冤罪をかけられた私はなんと国外追放。  やった!   これで最悪な責務から解放された!  隣の国に流れ着いた私はたまたま出会った冒険者バルトにスカウトされ、冒険者として新たな人生のスタートを切る事になった。  そして真の聖女たるフィリアが消えたことにより、彼女が無自覚に張っていた退魔の結界が消え、皇太子や城に様々な災厄が降りかかっていくのであった。

俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜

早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。 食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した! しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……? 「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」 そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。 無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!

【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた

きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました! 「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」 魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。 魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。 信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。 悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。 かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。 ※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。 ※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です

転生しても実家を追い出されたので、今度は自分の意志で生きていきます

藤なごみ
ファンタジー
※2025年2月中旬にアルファポリス様より第四巻が刊行予定です  2024年10月下旬にコミック第一巻刊行予定です ある少年は、母親よりネグレクトを受けていた上に住んでいたアパートを追い出されてしまった。 高校進学も出来ずにいたとあるバイト帰りに、酔っ払いに駅のホームから突き飛ばされてしまい、電車にひかれて死んでしまった。 しかしながら再び目を覚ました少年は、見た事もない異世界で赤子として新たに生をうけていた。 だが、赤子ながらに周囲の話を聞く内に、この世界の自分も幼い内に追い出されてしまう事に気づいてしまった。 そんな中、突然見知らぬ金髪の幼女が連れてこられ、一緒に部屋で育てられる事に。 幼女の事を妹として接しながら、この子も一緒に追い出されてしまうことが分かった。 幼い二人で来たる追い出される日に備えます。 基本はお兄ちゃんと妹ちゃんを中心としたストーリーです カクヨム様と小説家になろう様にも投稿しています 2023/08/30 題名を以下に変更しました 「転生しても実家を追い出されたので、今度は自分の意志で生きていきたいと思います」→「転生しても実家を追い出されたので、今度は自分の意志で生きていきます」 書籍化が決定しました 2023/09/01 アルファポリス社様より9月中旬に刊行予定となります 2023/09/06 アルファポリス様より、9月19日に出荷されます 呱々唄七つ先生の素晴らしいイラストとなっております 2024/3/21 アルファポリス様より第二巻が発売されました 2024/4/24 コミカライズスタートしました 2024/8/12 アルファポリス様から第三巻が八月中旬に刊行予定です 2024年10月下旬にコミック第一巻刊行予定です

ぐ~たら第三王子、牧場でスローライフ始めるってよ

雑木林
ファンタジー
 現代日本で草臥れたサラリーマンをやっていた俺は、過労死した後に何の脈絡もなく異世界転生を果たした。  第二の人生で新たに得た俺の身分は、とある王国の第三王子だ。  この世界では神様が人々に天職を授けると言われており、俺の父親である国王は【軍神】で、長男の第一王子が【剣聖】、それから次男の第二王子が【賢者】という天職を授かっている。  そんなエリートな王族の末席に加わった俺は、当然のように周囲から期待されていたが……しかし、俺が授かった天職は、なんと【牧場主】だった。  畜産業は人類の食文化を支える素晴らしいものだが、王族が従事する仕事としては相応しくない。  斯くして、父親に失望された俺は王城から追放され、辺境の片隅でひっそりとスローライフを始めることになる。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。