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第六章 バーボルド伯爵領

第三百八十五話 今日は重傷者の治療を行います

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 翌日は、いつも通りに朝の訓練をしてから軍の施設に向かいます。
 ぐっすり寝たので、体力も魔力もばっちり回復しています。
 僕とシロちゃんは、やる気満々で馬車に乗り込みました。

「レオ君、おはようございます。今日は治療兵が一緒に参加したいそうなので、私と秘書と一緒についていきます」
「「よろしくお願いします」」

 軍の施設の事務棟に着くと、コレットさんから二人の女性隊員を紹介されました。
 僕とシロちゃんは魔法で治療するけど、軍ではポーションや生薬を使った治療を行うんだって。
 僕としては、ポーションや生薬をどう使うかとっても興味があるんだよね。

「僕はポーションは作れるけど、一回飲んだ事があるだけなんです。作ったポーションを他の人にあげたり、魔法が使えない時に配ったりしていました」
「レオ君は、魔法が使えるだけでなくポーション作りにも秀でているのですね」
「そういえば、コバルトブルーレイク直轄領では、暫くの間レオ君が作ったポーションが出回っていました」

 コバルトブルーレイク直轄領の村でゴブリンキングと戦った時は、魔力が切れちゃって作ったポーションを怪我をした人に配っていたっけ。
 他の街でもポーション作りをしていたけど、いつか生薬も作ってみたいなあ。
 女性隊員と話をしていたら、あっという間に治療施設に到着しました。
 
「じゃあ、午前中は予定通り重症者が入院している個室で治療を行いましょう」
「はい、分かりました。個室は全部で何部屋あるんですか?」
「全部で二十部屋です。昨日部隊長の治療をしてくれたので、一人を除いて十八部屋対応する事になります」

 あっ、そうか。
 魔法を暴発させた魔法使いは、軍の対応が決定してから治療するんだっけ。
 頑張って残りの十八人を治療しよう。
 僕とシロちゃんは、ふんすって気合を入れました。
 そして、最初に治療する人がいる個室に入ってきました。

「ふう、午前中は思った以上に頑張れました」
「いやいや、予想以上でしたよ」
「やはり、黒髪の魔術師の噂は本当だったんですね」

 午前中の治療は予定通り進み、全部で六人の怪我人を治療できました。
 そして、一緒についてきた女性隊員の愚痴を聞きながら日替わりランチのお肉定食を食べています。
 重症者も、合体魔法が必要な人もいれば僕やシロちゃんが個別に対応できる人まで様々でした。
 このまま上手くいけば、明日の午前中には一人を除いて重症者を治療できますね。

「入院が必要な者はまだおりますが、一旦明日の午前中で治療を終えましょう。明日の午後から、魔導具に使用する魔石への魔力注入作業を行いましょう」

 そしてコレットさんから明日の予定を予定を聞いたけど、いよいよ魔石への魔力注入の作業が始まるんだね。
 魔石の魔力作業も久々だから、頑張ってお仕事しないと。
 シロちゃんも、頑張るぞとふるふると震えていました。
 因みに、いつも首からぶら下げている懐中時計型魔導具は、たまに僕が魔石に魔力を注入しています。
 でも、今度時間があったらキチンとメンテナンスをしてもらった方が良いよね。

「コレットさん、魔力を注入しないといけない魔石って沢山ありますか?」
「ええ、結構な量があるのよ。専任の魔法使いがいるんだけど、ちょっと手が足らないのよ」

 おお、流石は軍です。
 魔石に魔力を注入する為の、専任の魔法使いがいるんですね。
 という事は、初めて会う魔法使いの人なんだ。
 一体、どういう人なんだろう。
 僕は、何だかとってもワクワクしてきました。
 そんな僕に、コレットさんがすまなそうに話しかけてきました。

「レオ君、すまないけど午後は仕事があって同行できないのよ。代わりに、この二人が一緒についていくわ」
「いえいえ、コレットさんと秘書さんもお仕事がありますもんね。コレットさん、お仕事頑張って下さい」
「ええ、ありがとう。レオ君も、魔力量に気を付けて治療をしてね」

 コレットさんは、僕とシロちゃんに手を振ってから午後の勤務に向かっていきました。
 何だかキャリアウーマンって感じで、とってもカッコいいですね。
 昼食後も僕とシロちゃんは休みを挟みながら重症者の治療を続け、結果的に今日一日で十二人の治療を終える事ができました。
 予定通りに治療が済んで、僕もシロちゃんも大満足です。
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