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第六章 バーボルド伯爵領

第三百八十六話 修繕部の倉庫に到着です

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 翌日も順調に治療が進み、午前中に例の一人を除いて全ての重症者の治療を終えました。
 一度治療を終えた大部屋にも次の入院患者が入ってきているそうですけど、まだ治療の準備が整っていないので治療はお預けです。
 ということで、午後の話をする為に僕とシロちゃんはマイスター師団長さんの執務室に呼ばれました。

「やあ、レオ君お疲れ様。二週間かかるかなと思ったら、僅か三日間で治療を終えるとは。やっぱりレオ君は凄い魔法使いになったね」

 応接セットのソファーに座ると、マイスター師団長さんは僕のことをとても褒めてくれました。
 それに、僕もシロちゃんも治療が無事に済んでホッとしています。

「例の治療をしていない魔法使いは、今週中には裁定が下る。来週には治療してもらうけど、その際には私も立ち会う事になる」
「確か、大きな事件を起こした人ですもんね」
「そうだな。私が師団長になってから、トップクラスに入る事件だったからな」

 マイスター師団長さんも紅茶を飲みながら、少し苦笑をしていました。
 大きな事件を起こした人だけど、一体どんな人なのだろうか。
 そこは来週会う時の楽しみにしておきましょう。
 そして、ある人を師団長室に呼びました。

「師団長、へスターです。失礼いたします」
「うむ、入ってくれ」

 師団長さんが呼び寄せたへスターさんは、一見すると女の子にも見える茶髪のボブカットでとても可愛らしい男性でした。
 そして、へスターさんから少しだけど魔力を感じました。
 もしかして、この人が魔石に魔力を注入する専任の人なのかも。

「レオ君、初めまして。修繕部のへスターです。私は修繕部を管轄しているんだよ」
「えっ? へスターさんから魔力を感じたので、てっきり専任の魔法使いかと思いました」
「流石はレオ君だ。私もたまに魔石への魔力の補充を行うけど、今は隊員の管理をするのが主な仕事なんだよ」
「へスターは管理職としても優秀なんだ。魔法使いとしては、生活魔法などを得意にしている。レオ君もきっと参考になるはずだよ」

 おお、マイスター師団長さんが太鼓判を押すほど凄い人なんだ。
 時間があったら、僕もシロちゃんも生活魔法のいろはを教えて貰おう。
 僕はそのままへスターさんの後をついて、師団長の執務室から修繕部に向かう事になりました。
 修繕部がある建物は、事務棟とはまた別の建物だそうです。

「午前中重症者の治療を行ったと聞いたけど、レオ君は体調は大丈夫かな?」
「はい、まだ魔力も半分以上ありますし、全然大丈夫です!」
「それは凄いな。欠損部の再生まで行ったと聞いたし、やはり黒髪の魔術師はとんでもないんだね。同じ魔法使いとして、尊敬するよ」

 へスターさんは、魔法使いに多いとされる傲慢な性格とはほど遠いとっても穏やかな性格です。
 生活魔法を主に使うってのもあるのかもしれないけど、僕の事を気遣ってくれるしとっても素敵な人だね。
 そして、事務棟から歩いて直ぐに修繕部の建物に到着しました。
 何だか、大きな倉庫って感じの建物だね。
 そして、倉庫の中に入って更にビックリ。

「わあ、沢山の武器とかを修理していますね。凄いです!」
「部隊の武器や様々な道具の修繕を行っているからね。場合によっては、建物の修理なども行うんだよ」

 沢山の職人さんが様々な武器を修理していて、何だかとってもカッコいいです。
 こういう職人さんは僕は大好きだから、とってもテンションが上がってきました。
 僕とシロちゃんとへスターさんは、大勢の職人さんが働く倉庫の中を進んでいきます。
 そして、倉庫の奥の方に到着しました。

「レオ君、ここが魔導具を修繕しているところだよ。えーっと、ちょっと待っていてね」

 へスターさんは、僕に声をかけてから魔導具修繕の奥の方に入っていきました。
 そして、直ぐに一人の男性を連れてきました。
 見た目はスキンヘッドで筋肉ムキムキだけど、たまたまこの場にいたのかな?

「おお、この子どもがレオか。確かに小さいけど魔力を感じるな」
「えっと、兵の人に思いましたけど、もしかして魔法使いですか?」
「おう、俺はバッツだ。元々身体能力強化を使った前線兵だったが、今は後輩に役を譲って魔導具修理を行っているぞ」

 おお、バッツさんは豪快な人だけど中々の魔法使いって分かるよ。
 魔力も結構あるし、実はとっても強い人だったのかもしれないね。

「こう見えて、彼はとても手先が器用なんだ。功績もあるから、本来は出世コースなんだけどね」
「ははは、おらあ人の上に立つのは苦手なんだよ。そういう面倒くさい事は、師団長やへスターに任せるわ」

 やっぱりバッツさんは凄い人だったんだ。
 でも、何だかさっぱりとしていて気持ちい人ですね。
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