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第二章 アマード子爵領
第百十五話 新たな二つ名
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そして、安息日はいつもの通りにアマード子爵邸に向かいました。
「ははは、それで今度は黒髪の天使様って言われる様になったのか」
「うう、流石に天使様は恥ずかしいです……」
実はあの薬草採取の後の治療の件が大きく広まってしまい、僕は教会での治療の際に何故か年配の方から天使様と言われてしまいました。
そして、いつの間にか黒髪の天使様という二つ名が出来ちゃいました。
天使様と言われるのも非常に恥ずかしいし、新たな二つ名が二つも出来ちゃったのも恥ずかしいよ。
「レオ君が素晴らしい事をしたから、皆から言われているのよ。自信を持ちなさいね」
メアリーさんからも全く問題ないと言われちゃったけど、新しい二つ名に慣れるにはもう少し時間がかかりそうです。
「レオ君が使う合体魔法ってどんなものなのかな?」
「こんな感じですよ」
「わあ、本当に二つの魔法が混ざり合っているんだね」
僕はデイジーさんのリクエストに応えて、手のひらの上に光魔法と闇魔法の合体魔法の小さな玉を出現させました。
相反する魔法が一つになっていて、デイジーさんも合体魔法を見て思わずビックリしていました。
「魔法も、三つまで同時発動できる様になりました。今なら、例えば魔法障壁を張りながら攻撃魔法と回復魔法ができます」
「凄いわね。レオ君が部隊にいたら、一人で戦況が変わってしまうわ」
細かい魔力制御はまだまだだけど、ある程度は魔法使いとしてできる自信はつきました。
でもグレイスさんは僕の事を褒めてくれるけど、まだまだ実践訓練が足りないから、僕には応用力不足が課題ですね。
「レオももう少し大きくなって、動物や魔物の討伐を始めたら更に冒険者としての経験も積めるだろう」
「あっ、サイオンさん。動物と魔物の違いって何ですか?」
「魔物は魔素という魔力が多い所で発生する。基本は森の中だな。魔力の集まった魔石を体内に持っていて、通常の動物よりも体も大きく凶暴で力も強いぞ」
「あっ、魔導具に使われている魔石って魔物から取れるんですね」
「そうだ。今は人工魔石の研究も軍で行われているから、もしかしたらあと数年したら人工魔石を使った魔導具が普及するかもな」
チラッと冒険者の冊子にも動物と魔物の違いが載っていたけど、サイオンさんの説明はとても分かりやすかったです。
僕はまだ小さいから動物や魔物の討伐は出来ないけど、いつでも討伐ができる様に訓練はしておいた方が良いですね。
「因みに、馬車旅も注意しなければならないぞ。道中は動物が襲ってくる事も多々あるし、野営になる事もある。馬車便だって、定刻通りに着くとは限らないぞ」
旅をするのは、本当に大変なんですね。
暫くは、先輩冒険者と一緒に行動した方が良いですね。
「まあ、レオはまだ小さいから、様々な事を覚えないと。これからも街から街へ移動する事はあるだろうし、移動に必要なスキルは必須だな」
サイオンさんのいう通り、僕は覚えなければならないことが沢山あるね。
これで、僕の新しい二つ名と冒険者の話は終わりです。
「さて、ウィリアムが王都に向かう日程が決まった。新年の挨拶が三日で終わるから、四日に王都に行く事になったぞ。まあ、レオがウィリアムと一緒についていく事はないが、事件に関わった者としてそのくらいは知っていて良いだろう。何もなければ三月の始めには帰ってくる」
「通常は二月の半ばには帰って来られるのだけど、今回は内容が内容だけにね。嫡男に対する裁決も変更になるみたいだし、その点も含めて王都での滞在は長くなりそうだよ」
あのゴルゴン男爵家の暴走事件でウィリアムさんが王都に行くけど、二か月以上も領地を離れて王都に滞在するなんて大変だね。
偉い人ばっかりに会うなんて、僕でも肩凝っちゃいそうです。
「レオ君もそのうち王都に行くといいだろう。冒険者の数も多いが、何より魔法使いもいる。レオ君にとって良い経験になるだろう」
「師団長さんにも同じことを言われました。因みに、他に魔法使いのいる領地はありますか?」
「うーん、帝国と国境を接している辺境伯領は数人いると聞いたが、冒険者でいるかは分からないなあ。王都の場合は、軍直轄の魔導士軍団もあるんだよ」
となると、王都に行って魔導士軍団に会わない限り、僕がどんな魔法使いか分からないんだね。
じゃあ、いつかは王都に行く事を目標にしようと。
「難しい話はこの位にしましょう。今日はレオ君が大好きなトマトパスタよ」
「あの、僕がトマトパスタを好きなのも知っているんですか?」
「街ではかなり有名よ。その当時は、小さな魔法使いも大満足って宣伝していたわ」
うう、グレイスさんにニコニコしながら言われちゃったけど、そんなに大評判になっちゃったんだ。
確かにトマトパスタは大好きだし、お肉の入ったミートソースも大好きなんだよね。
という事で、今日の昼食は皆でパスタを食べました。
流石アマード子爵家の料理だけあって、トマトパスタもとっても美味しかったです。
「ははは、それで今度は黒髪の天使様って言われる様になったのか」
「うう、流石に天使様は恥ずかしいです……」
実はあの薬草採取の後の治療の件が大きく広まってしまい、僕は教会での治療の際に何故か年配の方から天使様と言われてしまいました。
そして、いつの間にか黒髪の天使様という二つ名が出来ちゃいました。
天使様と言われるのも非常に恥ずかしいし、新たな二つ名が二つも出来ちゃったのも恥ずかしいよ。
「レオ君が素晴らしい事をしたから、皆から言われているのよ。自信を持ちなさいね」
メアリーさんからも全く問題ないと言われちゃったけど、新しい二つ名に慣れるにはもう少し時間がかかりそうです。
「レオ君が使う合体魔法ってどんなものなのかな?」
「こんな感じですよ」
「わあ、本当に二つの魔法が混ざり合っているんだね」
僕はデイジーさんのリクエストに応えて、手のひらの上に光魔法と闇魔法の合体魔法の小さな玉を出現させました。
相反する魔法が一つになっていて、デイジーさんも合体魔法を見て思わずビックリしていました。
「魔法も、三つまで同時発動できる様になりました。今なら、例えば魔法障壁を張りながら攻撃魔法と回復魔法ができます」
「凄いわね。レオ君が部隊にいたら、一人で戦況が変わってしまうわ」
細かい魔力制御はまだまだだけど、ある程度は魔法使いとしてできる自信はつきました。
でもグレイスさんは僕の事を褒めてくれるけど、まだまだ実践訓練が足りないから、僕には応用力不足が課題ですね。
「レオももう少し大きくなって、動物や魔物の討伐を始めたら更に冒険者としての経験も積めるだろう」
「あっ、サイオンさん。動物と魔物の違いって何ですか?」
「魔物は魔素という魔力が多い所で発生する。基本は森の中だな。魔力の集まった魔石を体内に持っていて、通常の動物よりも体も大きく凶暴で力も強いぞ」
「あっ、魔導具に使われている魔石って魔物から取れるんですね」
「そうだ。今は人工魔石の研究も軍で行われているから、もしかしたらあと数年したら人工魔石を使った魔導具が普及するかもな」
チラッと冒険者の冊子にも動物と魔物の違いが載っていたけど、サイオンさんの説明はとても分かりやすかったです。
僕はまだ小さいから動物や魔物の討伐は出来ないけど、いつでも討伐ができる様に訓練はしておいた方が良いですね。
「因みに、馬車旅も注意しなければならないぞ。道中は動物が襲ってくる事も多々あるし、野営になる事もある。馬車便だって、定刻通りに着くとは限らないぞ」
旅をするのは、本当に大変なんですね。
暫くは、先輩冒険者と一緒に行動した方が良いですね。
「まあ、レオはまだ小さいから、様々な事を覚えないと。これからも街から街へ移動する事はあるだろうし、移動に必要なスキルは必須だな」
サイオンさんのいう通り、僕は覚えなければならないことが沢山あるね。
これで、僕の新しい二つ名と冒険者の話は終わりです。
「さて、ウィリアムが王都に向かう日程が決まった。新年の挨拶が三日で終わるから、四日に王都に行く事になったぞ。まあ、レオがウィリアムと一緒についていく事はないが、事件に関わった者としてそのくらいは知っていて良いだろう。何もなければ三月の始めには帰ってくる」
「通常は二月の半ばには帰って来られるのだけど、今回は内容が内容だけにね。嫡男に対する裁決も変更になるみたいだし、その点も含めて王都での滞在は長くなりそうだよ」
あのゴルゴン男爵家の暴走事件でウィリアムさんが王都に行くけど、二か月以上も領地を離れて王都に滞在するなんて大変だね。
偉い人ばっかりに会うなんて、僕でも肩凝っちゃいそうです。
「レオ君もそのうち王都に行くといいだろう。冒険者の数も多いが、何より魔法使いもいる。レオ君にとって良い経験になるだろう」
「師団長さんにも同じことを言われました。因みに、他に魔法使いのいる領地はありますか?」
「うーん、帝国と国境を接している辺境伯領は数人いると聞いたが、冒険者でいるかは分からないなあ。王都の場合は、軍直轄の魔導士軍団もあるんだよ」
となると、王都に行って魔導士軍団に会わない限り、僕がどんな魔法使いか分からないんだね。
じゃあ、いつかは王都に行く事を目標にしようと。
「難しい話はこの位にしましょう。今日はレオ君が大好きなトマトパスタよ」
「あの、僕がトマトパスタを好きなのも知っているんですか?」
「街ではかなり有名よ。その当時は、小さな魔法使いも大満足って宣伝していたわ」
うう、グレイスさんにニコニコしながら言われちゃったけど、そんなに大評判になっちゃったんだ。
確かにトマトパスタは大好きだし、お肉の入ったミートソースも大好きなんだよね。
という事で、今日の昼食は皆でパスタを食べました。
流石アマード子爵家の料理だけあって、トマトパスタもとっても美味しかったです。
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